こんにちは。
今日は会社法です。
株式会社の設立に関する問題ですが、「種類株式発行会社を除く」と言う条件付きでの問題です。
この株式会社の設立については、過去にも随分と問われています。
そういう意味では、落とせない問題と言うことですね。
今日の過去問は、平成29年度問37の問題を○×式でやります。
会社法の規定に照らして○×れって問題です。
それでは、早速。
問題
株式会社の定款には、当該株式会社の目的、商号、本店の所在地、資本金の額、設立時発行株式の数、ならびに発起人の氏名または名称および住所を記載または記録しなければならない。
正解は?
×
まず最初に気になるところを書いておきますね。
問題の条件にある「種類株式発行会社を除く。」の種類株式発行会社とは何ですかってところから。。。
一般的に株式会社の「株式」と呼ばれているものは「普通株式」のことを言います。
そしてこの「種類株式発行会社」とは、「権利の内容が異なる株式」を発行している株式会社のことを言います。
(定義)
第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
一~十二 略。
十三 種類株式発行会社 剰余金の配当その他の第百八条第一項各号に掲げる事項について内容の異なる二以上の種類の株式を発行する株式会社をいう。
十四~三十四 略。
条文にもありますが、剰余金の配当や残余財産の分配について差異を設ける種類株式、他にも議決権制限付株式、譲渡制限付株式、取締役や監査役の選任解任権付種類株式なんかも聞いたことがあるんじゃないかと思います。
他にもあるんですが、ここでは割愛しますね。
そしてこの「権利の内容が異なる株式」のことを種類株式と言います。
この問題では、種類株式発行会社を除いて検討するってことですね。
ただ、問題とこの「除く」と言う条件、どう絡んでいるのかは
一問目は、定款の絶対的記載事項に関する問題ですね。
(定款の記載又は記録事項)
第二十七条 株式会社の定款には、次に掲げる事項を記載し、又は記録しなければならない。
一 目的
二 商号
三 本店の所在地
四 設立に際して出資される財産の価額又はその最低額
五 発起人の氏名又は名称及び住所
問題にある資本金の額や設立時発行株式の数は絶対的記載事項にはありません。
四号にあたる部分を記憶してますかって問題ですね。
問題
発起人は、その引き受けた設立時発行株式について、その出資に係る金銭の全額を払い込み、またはその出資に係る金銭以外の財産の全部を給付した時に、設立時発行株式の株主となる。
正解は?
×
この問題はなかなか良いですね。
発起人が「設立時発行株式の株主となる」タイミングです。
問題では、「その引き受けた設立時発行株式について、その出資に係る金銭の全額を払い込み、またはその出資に係る金銭以外の財産の全部を給付した時に、」となっています。
「その出資に係る金銭の全額を払い込み」、「その出資に係る金銭以外の財産の全部を給付した時に」
これは、お金等を払込み、給付したから株主になれるっていう感じですね。
まぁ、もっともな感じですが。。。
(株式の引受人の権利)
第五十条 発起人は、株式会社の成立の時に、出資の履行をした設立時発行株式の株主となる。
2 前項の規定により株主となる権利の譲渡は、成立後の株式会社に対抗することができない。
お金等を払込み、給付したからではなく、「株式会社の成立の時に」ですね。
「出資の履行をした」とありますので、当たり前ですが履行をしていなければ株主にはなれません。
問題
発起設立または募集設立のいずれの手続においても、設立時取締役の選任は、創立総会の決議によって行わなければならない。
正解は?
×
この問題もなかなか上手いですね。
「発起設立または募集設立のいずれの手続においても、」、「創立総会の決議によって行わなければならない。」
これは突っ込みどころですね。
行政書士試験 平成19年度問36 商法・会社法の問題 でやりましたよね。
創立総会は、募集設立の時だけです。
ここで×な訳ですが。。。
設立時取締役の選任についても見ておきましょう。
最初に発起設立です。
(設立時役員等の選任)
第三十八条 発起人は、出資の履行が完了した後、遅滞なく、設立時取締役(株式会社の設立に際して取締役となる者をいう。)を選任しなければならない。
2~3 略。
4 定款で設立時取締役、設立時会計参与、設立時監査役又は設立時会計監査人として定められた者は、出資の履行が完了した時に、それぞれ設立時取締役、設立時会計参与、設立時監査役又は設立時会計監査人に選任されたものとみなす。
1項では、発起設立の場合、設立時取締役の選任は発起人が行わなければならないと規定されています。
そして4項です。
定款で設立時取締役、以下略として定められた者は、出資の履行が完了した時に、それぞれ設立時取締役、以下略に選任されたものとみなすとも規定しています。
つまり、発起設立の場合、「発起人が選任する」か、「定款で選任する」ことができると言うことですね。
ちなみに、発起人が選任するときは、
(設立時役員等の選任の方法)
第四十条 設立時役員等の選任は、発起人の議決権の過半数をもって決定する。
2 前項の場合には、発起人は、出資の履行をした設立時発行株式一株につき一個の議決権を有する。ただし、単元株式数を定款で定めている場合には、一単元の設立時発行株式につき一個の議決権を有する。
3~5 略。
発起人の議決権の過半数で選任されます。
そして募集設立です。
(設立時取締役等の選任)
第八十八条 第五十七条第一項の募集をする場合には、設立時取締役、設立時会計参与、設立時監査役又は設立時会計監査人の選任は、創立総会の決議によって行わなければならない。
2 略。
1項に書かれていますね。
設立時取締役、以下略の選任は、創立総会の決議によって行わなければならない。
問題
設立時募集株式の引受人がその引き受けた設立時募集株式に係る出資を履行していない場合には、株主は、訴えの方法により当該株式会社の設立の取消しを請求することができる。
正解は?
×
設立時募集株式の引受人がその引き受けた設立時募集株式に係る出資を履行していない場合
これは会社運営に影響が出ますね。
株主さんとしては訴えを提起したいですよね。
会社の設立の取消しを請求することができるのか
(会社の組織に関する行為の無効の訴え)
第八百二十八条 次の各号に掲げる行為の無効は、当該各号に定める期間に、訴えをもってのみ主張することができる。
一 会社の設立 会社の成立の日から二年以内
二~十二 略
2 次の各号に掲げる行為の無効の訴えは、当該各号に定める者に限り、提起することができる。
一 前項第一号に掲げる行為 設立する株式会社の株主等(株主、取締役又は清算人をいう。)又は設立する持分会社の社員等
二~十二 略
1項と2項を合わせて考えると言うことですね。
会社の成立は、設立する株式会社の株主等が訴えをもってのみ主張することができる訳です。
ただ、問題にある取消しの請求ではなく、「株式会社の設立の無効の訴え」と言うことです。
会社の成立の日から二年以内であれば行うことができると言うことですね。
それと問題の「取消しの請求」ですが、、、
(持分会社の設立の取消しの訴え)
第八百三十二条 次の各号に掲げる場合には、当該各号に定める者は、持分会社の成立の日から二年以内に、訴えをもって持分会社の設立の取消しを請求することができる。
一 社員が民法その他の法律の規定により設立に係る意思表示を取り消すことができるとき 当該社員
二 社員がその債権者を害することを知って持分会社を設立したとき 当該債権者
取消し請求は、持分会社には認められています。
訴えは、こちらも「成立の日から二年以内」です。
問題
金銭以外の財産を出資する場合には、株式会社の定款において、その者の氏名または名称、当該財産およびその価額、ならびにその者に対して割り当てる設立時発行株式の数を記載または記録しなければ、その効力を生じない。
正解は?
○
この問題は、定款の相対的記載事項に関するものですね。
金銭以外の財産を出資する=現物出資のことです。
条文は次のものですね。
第二十八条 株式会社を設立する場合には、次に掲げる事項は、第二十六条第一項の定款に記載し、又は記録しなければ、その効力を生じない。
一 金銭以外の財産を出資する者の氏名又は名称、当該財産及びその価額並びにその者に対して割り当てる設立時発行株式の数
二 株式会社の成立後に譲り受けることを約した財産及びその価額並びにその譲渡人の氏名又は名称
三 株式会社の成立により発起人が受ける報酬その他の特別の利益及びその発起人の氏名又は名称
四 株式会社の負担する設立に関する費用
「次に掲げる事項は、定款に記載し、又は記録しなければ、その効力を生じない。」とあります。
つまり、効力を生じさせるために定款に記載しなければならないものと言うことですね。
1問目で見た絶対的記載事項は必ず記載しなければなりませんが、この相対的記載事項は「効力を生じさせるために」記載する訳です。
問題の内容は、1項ですね。。。
会社設立時の現物出資については、定款の相対的記載事項と言うことです。
今日も細かい知識が結構ありましたね。
ちなみに、除外された種類株式発行会社については、今日見た条文に以下のものがありました。
第二十八条 株式会社を設立する場合には、次に掲げる事項は、第二十六条第一項の定款に記載し、又は記録しなければ、その効力を生じない。
一 金銭以外の財産を出資する者の氏名又は名称、当該財産及びその価額並びにその者に対して割り当てる設立時発行株式の数(設立しようとする株式会社が種類株式発行会社である場合にあっては、設立時発行株式の種類及び種類ごとの数。第三十二条第一項第一号において同じ。)
二~四 略
種類株式発行会社の場合、相対的記載事項として追加で「設立時発行株式の種類及び種類ごとの数。」を記載、記録すると言うことです。
(設立時役員等の選任の方法)
第四十条
1、2 略。
3 前項の規定にかかわらず、設立しようとする株式会社が種類株式発行会社である場合において、取締役の全部又は一部の選任について議決権を行使することができないものと定められた種類の設立時発行株式を発行するときは、当該種類の設立時発行株式については、発起人は、当該取締役となる設立時取締役の選任についての議決権を行使することができない。
4、5 略。
この2つが目に入りましたとさ。。。
今日も最後までお付き合い有難うございました。
今日のところはここまでです。
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