こんにちは。
今日は、婚姻や親族について見て行こうと思います。
すごく身近な内容ですね。
ただ、内容は理解していますかって聞かれると意外と理解していなかったりするところですよね。
日々、勉強ってことです。
今日の過去問は、平成25年度問35の問題を○×式でやりたいと思います。
それでは、早速。
問題
未成年者が婚姻をしたときは、成年に達したものとみなされる。したがって当該未成年者は、法定代理人の同意がなくても単独で法律行為をすることができ、これは当該未成年者が離婚をした後であっても同様である。
正解は?
○
この肢は、問題としては基本的なんですが、考えてみるといろいろと奥が深い内容ですね。
私が勝手にそう思っているだけですけど。。。
聞いたことがありますよね、成年擬制。
(婚姻による成年擬制)
第七百五十三条 未成年者が婚姻をしたときは、これによって成年に達したものとみなす。
「みなす。」ですから覆りません。
婚姻することによって、社会的に独立していると私法的には認められる訳です。
法定代理人の同意がなくても単独で法律行為をすることができるようになると言うことですね。
そのため、一度成年擬制されると未成年者が成年に達する前に離婚をしても未成年に戻ることはない訳です。
これは、いったん成年者の扱いとなった者が離婚を期に未成年者に戻ることになるとすると法律関係が複雑になってしまいますからね。
それと、この成年擬制、どういう効果があるのか
成年に擬制されるからと言っても成年の扱いになるだけで法的には何でも認められる訳ではありません。
法的安定性のため、私法関係では認められますが、公法関係、喫煙ができない、飲酒はできない、選挙権は生じません。☚ここ注意
それと根本的なことなんですが、婚姻すると届を出さなければなりませんよね。
婚姻をしたって届ではあるんですが、他にも意味合いがあるんですがわかりますか
「戸籍」ですね。
婚姻届を出すことによって、新しく婚姻をした二人の戸籍が作られます。
婚姻届で「夫の氏」を選ぶと筆頭者は夫になり、「妻の氏」を選ぶと妻が筆頭者になります。
仮に筆頭者の夫の名字になっても、夫の家の戸籍に入ると言う訳ではありません。☚ここもポイント。
問題
未成年者が婚姻をするには、父母のいずれかの同意があれば足り、父母ともにいない未成年者の場合には、家庭裁判所の許可をもってこれに代えることができる。
正解は?
×
この問題はどうですか
引っ掛るところは、「家庭裁判所の許可」ですね。
それでは、見てみましょう。
(未成年者の婚姻についての父母の同意)
第七百三十七条 未成年の子が婚姻をするには、父母の同意を得なければならない。
2 父母の一方が同意しないときは、他の一方の同意だけで足りる。父母の一方が知れないとき、死亡したとき、又はその意思を表示することができないときも、同様とする。
1項に書いてますね、「父母の同意を得なければならない。」と。。。
これは、未成年者は、社会的経験が乏しいってことと、まだ十分な判断能力があるとは言えないので、「父母の同意」を得ることで未成年者の婚姻の保護を図っているってことです。
そして2項です。
「父母の一方が同意しないときは、他の一方の同意だけで足りる。」と言うことは、問題にある「父母のいずれかの同意があれば足り、」ってことですね。
そのため、前半は○です。
これは、常に父母双方の同意が必要ってことになると父母双方が同意しない限り婚姻ができないことになってしまいます。
未成年者が婚姻をする機会が狭められてしまいますよね。
未成年者と言っても個人の意思は尊重しなければなりませんから。
そして気になる後半ですが、、、
「父母ともにいない場合」ですが、この内容は、民法には規定はないようです。
それではどうなるのか
普通に考えましょう。
父母がどちらもいないってことは、同意をすることができる人がいない訳です。
同意をすることができる人がいない以上、同意を得ることはできませんので、未成年者の意思を尊重すると言うことです。
そのため、家庭裁判所の許可は不要ってことですね。
これは、成年被後見人が婚姻するときも同意は不要ってことを考えれば、「意思が尊重される」ってのは納得できるんではないでしょうか。
(成年被後見人の婚姻)
第七百三十八条 成年被後見人が婚姻をするには、その成年後見人の同意を要しない。
それともう一つ有名な判例もありますよね。
昭和28(オ)47 家督相続回復請求 昭和30年4月5日 最高裁判所第三小法廷 判決 棄却 東京高等裁判所
婚姻は父母の同意がなくても戸籍吏が受理すれば後に取消なき限り有効に成立する。
父母がいる場合でも父母の同意を得ず婚姻し、届出が誤って受理された場合でも、未成年者の意思を尊重し、取り消し事由とはならず有効になります。
これは、法的に認められるものではないから「取消します」とはならないと言うことですね。
この辺の知識からも「家庭裁判所の許可は不要」ってのが判断できます。
問題
養親子関係にあった者どうしが婚姻をしようとする場合、離縁により養子縁組を解消することによって、婚姻をすることができる。
正解は?
×
この問題はどうでしょうか
養親子関係=養子縁組みによって生じた親子の関係。養親と養子。
養親= 養子縁組みによって親となった者。実の親ではないが、親として育ててくれた人。
養子=養子縁組みによって子となった者。
養親子関係と言うことは、養子縁組によって一度は親子の関係になっているってことですね。
婚姻をすることができるのか
(養親子等の間の婚姻の禁止)
第七百三十六条 養子若しくはその配偶者又は養子の直系卑属若しくはその配偶者と養親又はその直系尊属との間では、第七百二十九条の規定により親族関係が終了した後でも、婚姻をすることができない。
第七百二十九条の規定
(離縁による親族関係の終了)
第七百二十九条 養子及びその配偶者並びに養子の直系卑属及びその配偶者と養親及びその血族との親族関係は、離縁によって終了する。
まぁ、そうでしょうね。
一度は親と子の関係になっている訳ですから、それを秩序的に乱す訳にはいきません。
考えてみて下さい。
昨日まで「パパ」と呼んでいた娘さんが、翌日には「あなた」なんて呼ぶ訳です。
これは逆も考えられますね。
昨日まで「ママ」と呼んでいた息子さんが、翌日には「お前」なんて呼ぶってことです。
どう思いますか
エロ漫画の妄想世界ではあるかもしれませんが、現実的には倫理上好ましくはありません。
法的に認められるものではないと言うことです。
問題
協議離婚をしようとする夫婦に未成年の子がある場合においては、協議の上、家庭裁判所の許可を得て、第三者を親権者とすることを定めることができる。
正解は?
×
協議離婚についてですね。
協議離婚=夫婦で協議をし、お互いに離婚に合意をしたら「離婚届」を市町村役場に提出する方法。
協議は、話し合って決めるってことです。
ただ、未成年の子がある場合ですね。
(親権者)
第八百十八条 成年に達しない子は、父母の親権に服する。
2 子が養子であるときは、養親の親権に服する。
3 親権は、父母の婚姻中は、父母が共同して行う。ただし、父母の一方が親権を行うことができないときは、他の一方が行う。
1項で「成年に達しない子=未成年者」は、父母の親権に服し、3項で父母の婚姻中は、父母が共同で親権を行うと規定しています。
話し合って離婚をすることになったら。。。
(離婚又は認知の場合の親権者)
第八百十九条 父母が協議上の離婚をするときは、その協議で、その一方を親権者と定めなければならない。
2~6 略。
「その一方を親権者と定めなければならない。」とあります。
と言うことは、父か母のどちらかと言うことですね。
そして、協議が調ったら届を出す訳ですが、、、
(離婚の届出の受理)
第七百六十五条 離婚の届出は、その離婚が前条において準用する第七百三十九条第二項の規定及び第八百十九条第一項の規定その他の法令の規定に違反しないことを認めた後でなければ、受理することができない。
2 離婚の届出が前項の規定に違反して受理されたときであっても、離婚は、そのためにその効力を妨げられない。
届出の受理にあたっては、第八百十九条第一項の規定等、法令の規定に違反しないことを認めた後でなければ受理されませんので、この親権者の指定は離婚の要件と言うことになります。
そのため、問題にある「協議の上、家庭裁判所の許可を得て、第三者を親権者とすることを定めることができる。」と言うことはないと言うことですね。
離婚の場合、その他にも良く聞く問題がありますよね。
(離婚後の子の監護に関する事項の定め等)
第七百六十六条 父母が協議上の離婚をするときは、子の監護をすべき者、父又は母と子との面会及びその他の交流、子の監護に要する費用の分担その他の子の監護について必要な事項は、その協議で定める。この場合においては、子の利益を最も優先して考慮しなければならない。
2~4 略。
父又は母と子との面会、その他の交流
子の監護に要する費用の分担その他の子の監護について必要な事項
あくまで、未成年の子を優先して考えると言うことです。
こういうのをみるとTVドラマで「もうあの子には会わないで。」って台詞が思い浮びますね。。。
問題
離婚をした場合には、配偶者の親族との間にあった親族関係は当然に終了するが、夫婦の一方が死亡した場合には、生存配偶者と死亡した配偶者の親族との間にあった親族関係は、当然には終了しない。
正解は?
○
この問題は、何とな~く認識している人も多いでしょうね。
(離婚等による姻族関係の終了)
第七百二十八条 姻族関係は、離婚によって終了する。
2 夫婦の一方が死亡した場合において、生存配偶者が姻族関係を終了させる意思を表示したときも、前項と同様とする。
1項に離婚によって終了するもの=姻族関係とあります。
姻族関係=婚姻によって親族になった者どうし。民法では、三親等内の姻族を親族とする。
(親族の範囲)
第七百二十五条 次に掲げる者は、親族とする。
一 六親等内の血族
二 配偶者
三 三親等内の姻族
姻族関係は、離婚によって当然に終了します。
ですが、問題後半の「夫婦の一方が死亡した場合」はどうなのでしょうか
2項に書かれていますね。
「生存配偶者が姻族関係を終了させる意思を表示したとき」に終了する訳です。
と言うことは、終了させる意思表示をしなければ継続されるってことですので、「当然には終了しない。」と言うことになりますので○の肢と言うことです。
ここからは、興味のある方だけ読んで下さいね。(^^)v
2項の「生存配偶者が姻族関係を終了させる意思を表示したとき」をサラッと調べました。
戸籍法
第九十六条 民法第七百二十八条第二項の規定によつて姻族関係を終了させる意思を表示しようとする者は、死亡した配偶者の氏名、本籍及び死亡の年月日を届書に記載して、その旨を届け出なければならない。
姻族関係終了届
死亡した配偶者の氏名
本籍
死亡の年月日
これらを届出書に記載し、届出人の本籍地又は住所地の市町村役場に提出するだけのようです。
届出をした日から法律上の効力が発生するようです。
配偶者の死後、配偶者の血族との縁を切りたいと考える人もいるんでしょうね。
ちょっと複雑な気持ちになる内容です。
今日も最後まで有難うございました。
今日のところはここまでです。
んでまずまた。
是非、是非、ポチッとお願いします。
来たよって方はこちらをポチッと。