こんにちは。
昨日は長い解説になってしまいました。
最後までお付き合い頂いた方はお疲れ様でした。
最後、いくつか解説できなかったものがありますが、予習と解説と言うことで本日過去問でやってみたいと思います。
内容は昨日記事にしてますので、読んでいる方もいますよね。
今日は、平成21年度問31の問題を○×式でやりたいと思います。
それでは、早速。
条件
A、B、C三人がDに対して60万円の連帯債務を負っている
問題
DがAに対して60万円の債務を免除した場合に、A、B、C三人の負担部分が平等であるときは、B、Cは、40万円ずつの連帯債務を負うことになる。
正解は?
○
この問題は迷うことなく判断できますね。
免除の問題ですが、免除は絶対効でした。
(連帯債務者の一人に対する免除)
第四百三十七条 連帯債務者の一人に対してした債務の免除は、その連帯債務者の負担部分についてのみ、他の連帯債務者の利益のためにも、その効力を生ずる。
DさんがAさんに対して60万円の債務を免除した場合、全員が60万円を免除される訳ではなく、Aさんだけが免れます。
そのため、Aさん、Bさん、Cさんの三人の負担部分が平等であるとき、債務を免除されたAさんの負担部分(20万円)をBさんとCさんが支払う必要がなくなります。
BさんとCさんの負担は60万円-20万円(Aさんの負担部分)=40万円となります。
その結果、Bさん及びCさんはDさんに対して、Aさんの負担部分を除く40万円ずつの連帯債務を負うことになります。
問題
DがAに対して連帯の免除をした場合に、A、B、C三人の負担部分が平等であったときは、Aは、20万円の分割債務を負い、B、Cは、40万円ずつの連帯債務を負うことになる。
正解は?
×
これは良い問題ですね。
先ほどの問題は、債務の免除でした。
今回の問題は、連帯の免除です。
よく読まないとサラッと流してしまいそうですが、全然意味が違います。
「よく読みましょう。」って意味でも良い問題ですね。
連帯の免除とは、債権者が連帯債務者の連帯債務を負担部分までの分割債務にすることをいいます。
簡単に言うと、他の人の負担部分が免除される訳です。
この免除には、一部の連帯債務者に対して行なう相対的連帯免除と連帯債務者全員に対して行う絶対的連帯免除があります。
問題はAさんだけですので、相対的連帯免除です。
この場合、連帯の免除を受けた債務者Aさんだけが分割債務を負い(他の人の負担部分が免除)、他の連帯債務者は、依然として全部の給付をしなければなりません。
連帯の免除を受けたAさんの負担部分は平等ですので20万円です。
Aさんは20万円の分割債務を負うことになりますが、Bさん、Cさんは依然として60万円の連帯債務を負うこととなります。
問題
AがDに60万円を弁済した場合に、A、B、C三人の負担部分が平等であるときは、Aは、B、Cに20万円ずつ求償できるが、もしCが無資力のときは、Bに対して30万円の求償をすることができる。
正解は?
○
by Bisty
ちょっとおふざけが。。。
昨日解説できなかったところがこの問題以降には入ってます。
負担部分について、他の人に求償出来るってのはOKですね。
問題は三人が平等ですので20万円ずつです。
そのため、本来は、Aさんは、Bさん及びCさんに20万円ずつ求償することできます。
ですが、Cさんが無資力だった場合を聞かれています。
無資力=債務が責任財産を超過している債務超過状態のこと。
昨日解説できなかった条文です。
(償還をする資力のない者の負担部分の分担)
第四百四十四条 連帯債務者の中に償還をする資力のない者があるときは、その償還をすることができない部分は、求償者及び他の資力のある者の間で、各自の負担部分に応じて分割して負担する。ただし、求償者に過失があるときは、他の連帯債務者に対して分担を請求することができない。
Cさんは、これにあてはまりますね。
これは、仮にそれぞれの誰かが無資力のとき、その無資力の危険負担は、Aさん、Bさん、Cさん、で資力のある人達で各自の負担部分に応じて負担すると言うことです。
この問題は、Cさんが無資力ですので、Bさんに対して30万円の求償をすることができます。
Bさんの元の20万円+Cさんの20万÷2(AさんとBさんで負担部分に応じて負担)
条文を負うとこうなりますが、現実的には単純に二人で30万円ずつねって感じでしょうね。
そこには、Cさんの分を負担って感覚は薄いかもしれません。
これは私だけかもしれませんが。。。
問題
AがDに60万円を弁済した場合に、A、B、Cの負担部分が1:1:0であり(Cには負担部分がない)、また、Bが無資力のときは、Aは、B、Cに20万円ずつ求償することができる。
正解は?
×
この問題は複雑です。
Cさんには負担部分がありません。
また、Bさんが無資力です。
Aさんは60万円全額弁済しているため、本来は負担部分のあるBさんに求償することができます。
これは先ほど見ましたが無資力でなければ、30万円です。
負担部分0のCさんには求償することはできないからですね。
また、無資力者Bさんの負担部分については、AさんとCさんで分担することになりますが、Cさんは負担部分が0です。
実際どうなるのよって感じですね。
これは、分担の必要性について、判例と学説で対立してます。
考え方が二つですね。
通説は、負担部分0の者は無資力者の負担部分を分担する必要はないとしております。
Aさんは60万円全額弁済した後に、Cさんに対して求償も分担も求めることができない。
全額自腹説←私が命名しました。
また、判例では、負担部分0の者も無資力者の負担部分を分担すべきとしたものがあります。
この判例に沿うとAさんは、Cさんに15万円(無資力者Bさんが資力があった場合に負担すべき30万÷2 AさんとCさんで負担部分に応じて負担)の分担を求めることができます。
これを時々やる穿った考え方で。。。
AさんとCさんで負担部分に応じて負担
Cさん負担部分0じゃね=求償も分担も求めることができない
こう考えると判例も全額自腹説になりますね。
まぁ、戻しますといずれをとってもAさんは、Bさん、Cさんに20万円ずつ求償することはできません。
全額自腹または15万円ですから~~~残念!。
問題
A、B、C三人の負担部分が平等である事情の下で、DがAに対して連帯の免除をした場合に、Bが債務全額を弁済したときに、もしCが無資力であったとすると、Cが弁済することができない部分のうちAが負担すべき10万円はDが負担する。
正解は?
○
この問題も複雑ですね。
最初の方で見た連帯の免除と無資力者の組合わせ問題です。
この問題の基本は60万円の連帯債務です。
この問題はAさんが連帯の免除をされてますので、Aさんは20万円の分割債務、BさんとCさんは60万円の連帯債務を負っています。
そして、Cさんが無資力だったらって問題です。
これも昨日解説できなかったところの条文です。
(連帯の免除と弁済をする資力のない者の負担部分の分担)
第四百四十五条 連帯債務者の一人が連帯の免除を得た場合において、他の連帯債務者の中に弁済をする資力のない者があるときは、債権者は、その資力のない者が弁済をすることができない部分のうち連帯の免除を得た者が負担すべき部分を負担する。
条文に照らし合わせてみましょう。
Bさんが債務全額を弁済した場合、無資力、連帯の免除を考慮せず、負担部分が平等の場合、Aさん、Bさん、Cさんは20万円ずつを負担します。
ところがCさんが無資力者で、Aさんは連帯を免除されています。
本来は、Cさんが無資力の場合、AさんとBさんが30万円ずつを負担します。
ところが、Aさんは連帯を免除されているのです。
ここが問題点です。
Aさんは連帯の免除をされてますので、Aさんは20万円の分割債務と言うのは最初に確認しました。
と言うことは、Aさんは20万円以上の負担をする必要はない訳です。
Aさんが連帯の免除がなければ負担すべき10万円(Cさんが無資力で連帯の免除がなければAさんが負担していた部分)については、連帯の免除によって、Aさんではなく債権者であるDさんが負担することになると条文では規定しています。
連帯の免除によって、Aさんは自己の負担部分である20万円以上は負担する必要がないからですね。
Bさんは60万円全額支払った後、Aさんへの20万円の求償と債権者Dさんへの10万円の返還請求によって、30万円が戻ってくることになります。
確認します。
債務者
1.Aさん、分割債務の20万円を負担。
2.Bさん、債務60万円全額を払う(自己の負担部分20万円+無資力者Cさんの分10万円を負担を含む)+AさんからAさんの負担部分20万円を求償により返還+Aさんが負担するべきだった10万円がDさんより返還。
3.Cさん、無資力で負担はありません。
債権者
1.Dさん、債権回収により60万円が入る。+無資力者Cさんの連帯の免除でAさんが負担するはずの10万円を負担。
これ、字面だけ負うより、借り方貸し方で四人分をおいて見るとよく解りますよ。
数字が絡むと難しくなりますね。
今日も最後まで有難うございました。
今日のところはここまでです。
んでまずまた。
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