おばんです。
実務に携わり始めて思うこと。
書類の作成ってムズカシイ。
提出場所によっては、一字一句補正が入るんですよ。
お客様のために補正して提出する訳なんですが、お客様の用意したものまで補正があるので時間がかかります。
その分、面白味はあるんで、今はちょっと楽しいです。
今日は、平成22年度問20の問題を○×式でやります。
それでは、早速。
問題
ガードレールの上に腰掛けるなどの通常の用法に即しない行動の結果生じた損害についても、道路管理者は、賠償責任を負う。
正解は?
×
通常の用法に即しない行動=腰掛けるなど
どう考えますか?
ガードレールに腰掛けるってのは普通の使い方ではないですよね。
ガードレールのあるべき意義ではありません。
ただ、私も昔、景色の良い観光地でやった記憶はあるんですが。
それで事故が起きた場合にその損害の責任を道路管理者に取れっていうのは酷な話ですよね。
通常の使い方ではないので、自己責任ですね。
判例もそうです。
昭和53(オ)76 損害賠償 昭和53年7月4日 最高裁判所第三小法廷 判決 棄却 大阪高等裁判所
問題
土砂崩れによる被害を防止するために多額の費用を要し、それについての予算措置が困難である場合は、道路管理者は、こうした被害についての賠償責任を免れる。
正解は?
×
この問題は公の営造物(土砂崩れ防止対策)の問題です。
この公の営造物の設置又は管理の瑕疵とは、公の営造物が通常有すべき安全性を欠いていることでした。
それと公の営造物については無過失責任ですね。
無過失責任ってことは、予算措置が困難であっても、立てられる予算の範囲で土砂崩れによる被害の防止対策を考えなければなりません。
それを考え行うことが道路管理者さんの仕事です。
道路管理者が、被害防止対策をしなければ安全性が欠いていることになるので、賠償責任を免れることはないと判断しました。
昭和42(オ)921 損害賠償請求 昭和45年8月20日 最高裁判所第一小法廷 判決 棄却 高松高等裁判所
問題
道路の欠陥を原因とする事故による被害についても、道路管理者は、それを原状に戻すことが時間的に不可能であった場合には、賠償責任を負わない。
正解は?
○
国家賠償責任は無過失責任です。
営造物の設置管理者に損害を回避する時間的な余裕がなかったような不可抗力があった場合にも賠償責任を負わなければならないってのはどうでしょうか?
問題の判例では、県道上に道路管理者の設置した工事中であることを示した工事標識板、バリケード及び赤色灯が設置してあったんですが、先行車がバリケード等を倒し、赤色灯が消えたままになっており、後から来た車が事故ってしまったって事案です。
この事案自体、夜間、それも通行車によって起されたもので道路管理者がその倒されたバリケードを戻すのは時間的に不可能だった訳です。
この事実関係から道路の管理に瑕疵はなく、そこまで責任は負わなくて良いって判断したんですね。
昭和46(オ)887 損害賠償請求 昭和50年6月26日 最高裁判所第一小法廷 判決 棄却 大阪高等裁判所
問題
国家賠償の対象となるのは、道路の利用者の被害に限られ、沿道住民の騒音被害とについては、道路管理者は、賠償責任を負わない。
正解は?
×
この問題は、以前、似たものをやりました。
騒音は、それ自体が営造物としての物理的な瑕疵ではありません。
営造物を使用したことから生じている瑕疵ですね。
こうした営造物を使用したことから生じる瑕疵による損害については、営造物の利用者に限らず、当該営造物の存在に起因して被害が及ぶその周辺に居住している者等にもまた損害賠償を請求することができるとする判例があります。
前回もやりましたが、国家賠償の対象となるのは、利用者に限らないってことです。
平成4(オ)1503 国道四三号・阪神高速道路騒音排気ガス規制等 平成7年7月7日 最高裁判所第二小法廷 判決 棄却 大阪高等裁判所 |
問題
道路上に放置された故障車に追突して損害を被った者がいたとしても、道路自体に暇疵があったわけではないから、道路管理者が賠償責任を負うことはない。
正解は?
×
この問題は3問目とは違うんですね。
3問目もそうですが、「あっ、あの判例だ。」って分からないと判断できないくらい問題に情報が少ないです。
まぁ、そんな試験でもあるんですが。
この事案は、道路中央線付近に故障した大型貨物自動車が87時間にわたって放置されていた事案です。
先ほどの問題とは違い時間的な余裕はある訳です。
道路管理者には、道路を常時良好な状態に保つように維持管理し、修繕し、交通に支障を及ぼさないように努める義務があります。
事案の大型貨物自動車を87時間放置ってのは職務怠慢以外の何ものでもありませんよね。
道路の安全性を保持するための措置を講じていなかった訳ですから。
事故発生当時、道路管理に瑕疵があったと判断されています。
昭和47(オ)704 損害賠償請求 昭和50年7月25日 最高裁判所第三小法廷 判決 棄却 大阪高等裁判所