おばんです。
今日は平成21年度問29の問題を○×式でやります。
まぁ、解説にそってやりたいんですが、なかなかドンピシャ(死語?)な過去問はありません。
ということで、今日は抵当権の予習問題です。
それでは、早速始めましょう。
条件
Aに対して債務を負うBは、Aのために、自己が所有する土地に抵当権を設定した(他に抵当権者は存在しない)。
民法の規定及び判例に照らし、○×なさいって問題ですね。
問題
BがAに対し、残存元本に加えて、最後の2年分の利息および遅延損害金を支払った場合には、Aの抵当権は、確定的に消滅する。
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正解は?
×
この問題、昨日の抵当権の効力って。。。でやりましたね。
(抵当権の被担保債権の範囲)
第三百七十五条 抵当権者は、利息その他の定期金を請求する権利を有するときは、その満期となった最後の二年分についてのみ、その抵当権を行使することができる。ただし、略。
2 略。
この条文ですね。
最後の二年分に限定されているのは後順位の抵当権者や一般債権者の立場を考慮しての規定ってことでした。
○で良いじゃんってことになりそうですが、問題と条文を照合してみましょう。
条文の最初は抵当権者は、から始まります。
問題の最初はB(債務者)がAに対し、から始まります。
もう気付きましたね。
最後の二年分に縛られるのは抵当権者で債務者ではありません。
この問題の場合、抵当権設定者であるB(債務者)は、残存元本、満期となった利息、遅延損害金の全額を弁済しなければ、抵当権を消滅させることができないってことですね。
問題
第三者Cが、土地の所有権を時効によって取得した場合には、Aの抵当権は、確定的に消滅する。
正解は?
○
これは、予習問題ですね。
(抵当不動産の時効取得による抵当権の消滅)
第三百九十七条 債務者又は抵当権設定者でない者が抵当不動産について取得時効に必要な要件を具備する占有をしたときは、抵当権は、これによって消滅する。
条文そのままですね。
第三者C
↕
債務者又は抵当権設定者でない者
土地の所有権を時効によって取得した場合
↕
抵当不動産について取得時効に必要な要件を具備する占有をした
取得時効ですが、ちょっと不安って方は、権利の取得を認めて下さい。。。をご確認くださいね。
問題
Aの抵当権が根抵当権である場合において、Bが破産手続開始の決定を受けたときは、被担保債権は確定して満足し、根抵当権は確定的に消滅する。
正解は?
×
まず最初に、根抵当権ですね。
(根抵当権)
第三百九十八条の二 抵当権は、設定行為で定めるところにより、一定の範囲に属する不特定の債権を極度額の限度において担保するためにも設定することができる。
2 前項の規定による抵当権(根抵当権)の担保すべき不特定の債権の範囲は、債務者との特定の継続的取引契約によって生ずるものその他債務者との一定の種類の取引によって生ずるものに限定して、定めなければならない。
3 特定の原因に基づいて債務者との間に継続して生ずる債権又は手形上若しくは小切手上の請求権は、前項の規定にかかわらず、根抵当権の担保すべき債権とすることができる。
根抵当権は設定行為で定め、一定の範囲に属する不特定の債権を極度額を限度として担保するために設定される抵当権ってことです。
事業をしていると、もちろん一回だけの取引ってのもあるんでしょうが、どちらかと言うと継続性がある取引の方が多いのではないでしょうか?
この場合、債権の発生と消滅が頻繁におきますよね。
その都度に抵当権を設定するって言うのは面倒じゃありませんか?
そんな場合に、この根抵当権が使われます。
簡単にイメージすると極度額を定め、その中で借りる、返すを繰り返しできるってことです。
問題に戻ります。
(根抵当権の元本の確定事由)
第三百九十八条の二十 次に掲げる場合には、根抵当権の担保すべき元本は、確定する。
一 根抵当権者が抵当不動産について競売若しくは担保不動産収益執行又は第三百七十二条において準用する第三百四条の規定による差押えを申し立てたとき。ただし、競売手続若しくは担保不動産収益執行手続の開始又は差押えがあったときに限る。
二 根抵当権者が抵当不動産に対して滞納処分による差押えをしたとき。
三 根抵当権者が抵当不動産に対する競売手続の開始又は滞納処分による差押えがあったことを知った時から二週間を経過したとき。
四 債務者又は根抵当権設定者が破産手続開始の決定を受けたとき。
2 前項第三号の競売手続の開始若しくは差押え又は同項第四号の破産手続開始の決定の効力が消滅したときは、担保すべき元本は、確定しなかったものとみなす。ただし、元本が確定したものとしてその根抵当権又はこれを目的とする権利を取得した者があるときは、この限りでない。
1項四号に問題の破産手続開始の決定がありますね。
これ、単に元本が確定するだけのようですね。
根抵当権を実行していない状況ですので満足する訳がありませんね。
ここで、満足って何?ってことですが。
ここで辞書です。
満足=不平不満がなく満ち足りた状態。不足がなく満たされること。
辞書の意味合いとはちょっと違うんですが、ここで言う満足は、Aに全額の弁済がなされた状態又はそれと同等の状態という意味合いをいいます。
問題の状態では、元本が確定された根抵当権として存続し、その後発生するものが担保されなくなるだけで、根抵当権は確定的に消滅する訳ではありません。
問題
第三者Cが、BのAに対する債務の全額を弁済し、その弁済と同時にAの承諾を得ていた場合には、CはAに代位することができるが、抵当権は、確定的に消滅する。
正解は?
×
代位弁済がなされたときの抵当権の扱いですね。
(任意代位)
第四百九十九条 債務者のために弁済をした者は、その弁済と同時に債権者の承諾を得て、債権者に代位することができる。
2 略。
(弁済による代位の効果)
第五百一条 前二条の規定により債権者に代位した者は、自己の権利に基づいて求償をすることができる範囲内において、債権の効力及び担保としてその債権者が有していた一切の権利を行使することができる。以下 略。
第三者Cが任意に代位弁済し、債権者Aの承諾も得ています。
と言うことは、抵当権は代位弁済者Cに移転し、Bに対して求償することができるってことですね。
代位する求償債権に随伴して抵当権も移転するため、抵当権は消滅しません。
問題
Aの抵当権が根抵当権である場合において、元本が確定した後に、Bから土地の所有権を取得したCが、極度額に相当する金額をAに支払い、根抵当権の消滅請求をしたときは、確定した被担保債権の額が極度額を超えていたとしても、Aの根抵当権は、確定的に消滅する。
正解は?
○
(根抵当権の消滅請求)
第三百九十八条の二十二 元本の確定後において現に存する債務の額が根抵当権の極度額を超えるときは、他人の債務を担保するためその根抵当権を設定した者又は抵当不動産について所有権、地上権、永小作権若しくは第三者に対抗することができる賃借権を取得した第三者は、その極度額に相当する金額を払い渡し又は供託して、その根抵当権の消滅請求をすることができる。この場合において、その払渡し又は供託は、弁済の効力を有する。
2、3 略。
先ほどの根抵当権ですね。
問題のポイントは、
根抵当権である。
元本が確定した後である。
根抵当不動産を第三者が取得する。
極度額を超えていても、極度額に相当する額を支払う。
根抵当権の消滅請求をする。
言い回しは違いますが条文そのままですね。
これはそのまま記憶しましょう。
今日のところはここまでです。
んでまずまた。