行政書士試験 平成18年度問20 国家賠償法の問題 | 行政書士試験 独学チャレンジ!!

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おばんです。

 

今日は国家賠償法の過去問をやってみたいと思います。

 

解説の時に判例が中心ですとお話しましたが、独学の場合、参考書に載っているくらいの知識しか持てないですからね。

 

私も大変でした。

 

判例も見れるようにやっていきたいと思いますので、最後の問題まで確実に記憶しましょう。

 

今日の問題は、国家賠償法1条による賠償責任に関するもので、最高裁判所の判例の立場に照らして妥当なものを問うています。

 

第一条は、公務員の不法行為についての規定ですね。

 

成立要件を思い出しながら解答を考えてみましょう。

 

それでは早速。

 

 

 

問題

警察官でない者が、公務執行中の警察官であるかのような外観を装い、他人を殺傷した場合、当該被害者ないしその遺族は、いわゆる外形理論により国又は公共団体に対して国家賠償法1条に基づき損害賠償を求めることができる。

 

 

 

 

正解は?

×

 

 

 

この問題を一問目に持ってきました。

 

警察官、外形理論、おぉ~、って学習初期の頃は引っかかってましたね。

 

よく読めよって話なんですが、そんな意味も含めての一問目です。

 

思い込んじゃうとどこが間違っているかがわからない。

 

ホントよく読めよって自分で思ってました。

 

外形理論=公務員が職務執行を行っている主観的な意図は必要なく、行為の外形からその行為が、客観的に職務執行の外形をそなえる場合には、職務の範囲内の行為と捉えて、それにより被害を受けた者を保護する理論

 

昭和29(オ)774 損害賠償請求 昭和31年11月30日 最高裁判所第二小法廷 判決 棄却 東京高等裁判所

 

この問題は、警察官でない公務執行中の警察官であるかのような外観を装い他人を殺傷した場合ですので、その人から被害を受けても、国家賠償を請求することはできません。

 

外形理論は、あくまでも公務員の行為に対してです

 

 

 

問題

国会議員が国会で行った発言によって他人の名誉や信用を害した場合、憲法51条により国会議員の法的責任は免責されるため、被害者は国家賠償法1条に基づく損害賠償を求めることができない。

 

 

 

正解は?

×

 

 

 

憲法五十一条ですね。

 

日本国憲法

第五十一条 両議院の議員は、議院で行つた演説、討論又は表決について、院外で責任を問はれない

 

議員さんは、議院で行つた演説、討論、表決について、院外で責任を問はれないと規定していますね。

 

ですが、判例で肯定されるには○○だと判断しちゃってます

 

国会議員が国会で行った質疑等において、個別の国民の名誉や信用を低下させる発言があったとしても、これによって当然に国家賠償法一条一項の規定にいう違法な行為があったものとして国の損害賠償責任が生ずるものではない

 

右責任が肯定されるためには、当該国会議員が、その職務とはかかわりなく違法又は不当な目的をもって事実を摘示し、あるいは虚偽であることを知りながらあえてその事実を摘示するなど、国会議員その付与された権限の趣旨に明らかに背いてこれを行使したものと認め得るような特別の事情があることを必要とすると解するのが相当である。

 

平成6(オ)1287 損害賠償 平成9年9月9日 最高裁判所第三小法廷 判決 棄却 札幌高等裁判所

 

問題としては憲法第五十一条により国会議員の法的責任は免責されるためと、例外を排除する点が誤りとなります。

 

国会議員の法的責任が免責されても、その違法性までもが阻却されるわけではないと言うことですね。

 

 

 

問題

パトカーが逃走車両を追跡中、逃走車両が第三者の車両に追突し、当該第三者が死傷した場合、被害者たる第三者の救済は、国家賠償法1条による損害賠償ではなく、もっぱら憲法29条に基づく損失補償による。

 

 

 

正解は?

×

 

 

 

警察官は、その職責を遂行するために被疑者をパトカーで追跡することが許されております。

 

ですが、その追跡行為が職務の目的を遂行する上で不必要であるか、又は、追跡の開始、継続若しくは追跡の方法が不相当であれば、追跡行為は違法となり得ます。

 

判例では、国家賠償法1条による損害賠償が認められ得る要件を示しているため、もっぱら憲法第二十九条に基づく損失補償によるとはいえません。

 

昭和58(オ)767 損害賠償 昭和61年2月27日 最高裁判所第一小法廷 判決 破棄自判 名古屋高等裁判所 金沢支部

 

 

 

問題

公立学校のプールにおける飛込みで事故が起きた場合、国家賠償法1条にいう「公権力の行使」とは、「行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為」を意味するから、国家賠償法1条は適用されず、民法上の不法行為として損害賠償を求めることになる。

 

 

 

正解は?

×

 

 

 

公立学校の教師の教育活動も、公権力の行使に当る公務員にあたと判示し、国家賠償を認めております

 

昭和59(オ)1058 損害賠償 昭和62年2月6日 最高裁判所第二小法廷 判決 棄却 東京高等裁判所

 

 

 

問題

消防職員の消火ミスにより、一度鎮火したはずの火災が再燃し、家屋が全焼した場合、失火責任法が適用されるため、被害者は国又は公共団体に対して国家賠償法1条に基づく損害賠償を求めることができない。

 

 

 

正解は?

 

 

 

失火責任法を見てみましょう。

 

この法律は一条だけです。

 

旧字は変換してあります。

 

失火の責任に関する法律

民法第七百九条の規定失火の場合には之を適用せず但し失火者に重大なる過失ありたるとき此の限に在らず

 

不法行為による損害賠償

第七百九条 故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う

 

この民法の第七百九条は失火の場合には適用されず、失火と言う限られたケースには失火責任法が民法の特別法として適用されます

 

昭和52(オ)1379 損害賠償 昭和53年7月17日 最高裁判所第二小法廷 判決 破棄差戻 名古屋高等裁判所

 

ただ条文には、重大なる過失ありたるときは此の限に在らずとあるように失火者に重大な過失があれば、損害賠償を求めえる余地があります。

 

行政書士試験では、問題設定でどうなんだろうってのもありえるってことなんですど、試験中にそこに気付いて試験に向かっている受験生はどのくらいいるんだろうってのも興味がありますね。

 

参考書に載っているくらいの知識しか持てない独学者たる苦悩ですね。。。

 

 

今日のところはここまでです。

 

 

んでまずまた。

 

 

 

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