おばんです。
行政事件訴訟法の条文確認です。
次回、残った条文をみて、以降は過去問集中になりそうです。
それでは、早速。
えぇ~、タイトルの内閣総理大臣の異議の条文です。
過去問にも何度か登場していますのでしっかり把握しましょう。
(内閣総理大臣の異議)
第二十七条 執行停止の申立てがあつた場合には、内閣総理大臣は、裁判所に対し、異議を述べることができる。執行停止の決定があつた後においても、同様とする。
申立て、決定があった後、ようは前後を問わず異議を述べることができるんですね。
内閣総理大臣は行政の最高責任者です。
行政上の法秩序安定のために認められているんですが、逆に行政権による司法権への介入にあたり、三権分立に反するんではないかって言う問題もあります。
内閣総理大臣が異議を述べましたって話はなかなか聞くことではないんですが。
この異議、濫用されているってことはないんですが、濫用されることのないようにはなっております。
条文の順番を入れ替えますね。
2 前項の異議には、理由を附さなければならない。
3 前項の異議の理由においては、内閣総理大臣は、処分の効力を存続し、処分を執行し、又は手続を続行しなければ、公共の福祉に重大な影響を及ぼすおそれのある事情を示すものとする。
6 内閣総理大臣は、やむをえない場合でなければ、第一項の異議を述べてはならず、また、異議を述べたときは、次の常会において国会にこれを報告しなければならない。
*異議には、理由を附す
*処分を続行しなければ、公共の福祉に重大な影響を及ぼすおそれのある事情を示す
*やむをえない場合でなければ、異議を述べてはならず、異議を述べたときは、次の常会において国会にこれを報告する
4 第一項の異議があつたときは、裁判所は、執行停止をすることができず、また、すでに執行停止の決定をしているときは、これを取り消さなければならない。
これは大切です。
異議があったときは、執行停止を取消さなければなりません。
と言うことは、執行停止をするかどうかの最終的な決定権は内閣総理大臣が持っているってことですね。
この異議について、裁判所は理由があるかどうかの審査をすることができません。
つまり、異議を述べる=行政行為は続行されるってことになります。
5 第一項後段の異議は、執行停止の決定をした裁判所に対して述べなければならない。ただし、その決定に対する抗告が抗告裁判所に係属しているときは、抗告裁判所に対して述べなければならない。
ここで辞書です。
抗告裁判所=抗告を審理する上級裁判所。簡易裁判所の決定・命令については管轄地方裁判所、地方裁判所の決定・命令については管轄高等裁判所。
今まで、取消訴訟の審理についていろいろと見てきました。
ここからは判決についてみてみましょう。
判決とは、訴えに対する裁判所の裁断行為をいいます。
却下判決=訴訟要件を欠き、補正ができない場合に審理することなく訴え自体を退ける判決
口頭弁論は経ないため、本案についての判断はしていないため、処分の適法性は確定せず、請求の当否を判断する判決。
棄却判決=処分取消しの請求に理由がないとして排斥する判決
原告は上訴することができ、上訴がない場合に処分の適法性が確定する。
認容判決=処分取消しの訴えが理由があり、処分が取消される判決それと行政事件訴訟法特有の判決の事情判決です。
重要条文です。
(特別の事情による請求の棄却)
第三十一条 取消訴訟については、処分又は裁決が違法ではあるが、これを取り消すことにより公の利益に著しい障害を生ずる場合において、原告の受ける損害の程度、その損害の賠償又は防止の程度及び方法その他一切の事情を考慮したうえ、処分又は裁決を取り消すことが公共の福祉に適合しないと認めるときは、裁判所は、請求を棄却することができる。この場合には、当該判決の主文において、処分又は裁決が違法であることを宣言しなければならない。
1項は事情判決の内容ですね。
判決の主文において、処分又は裁決が違法であることを宣言する訳なんですが、これは、判決の主文に含まれる判断に既判力が生じるためです。
既判力=訴訟において、確定した終局判決に認められる効果として、同一当事者間で同じ事柄が別の訴訟で問題になったとしても、当事者は確定した終局判決で示された判断に反する主張をすることはできなかったり、裁判所も確定判決に抵触する判決をすることはできなかったりする拘束力のこと。
既判力が生じることで、蒸し返しを防ぐ、一度争った事項については二度と争うことはできなくなります。
2 裁判所は、相当と認めるときは、終局判決前に、判決をもつて、処分又は裁決が違法であることを宣言することができる。
3 終局判決に事実及び理由を記載するには、前項の判決を引用することができる。
中間違法宣言判決ですね。
これ、予備校の模擬試験で出ました。
この中間違法宣言判決の違法であるという判断が終局判決で変更されることはありません。
この宣言がなされることにより行政側が違法であることを認識し、損害賠償など原告に対する救済手段を採ることを狙ったものです。
それから中間違法宣言判決をするということは、事情判決になる可能性を判断をさせることにもつながるため、両者に和解を促すことにもなります。
最初の事情判決のポイントですが、原告側は処分の取消しを求めて上訴することができ、又、被告側も違法宣言に不服があれば処分の適法を確定するために上訴することができます。
それと訴訟費用ですね。
原告敗訴を意味することになるんですが、訴訟費用の負担は被告の行政庁側が負担することになります。
(取消判決等の効力)
第三十二条 処分又は裁決を取り消す判決は、第三者に対しても効力を有する。
2 前項の規定は、執行停止の決定又はこれを取り消す決定に準用する。
第三者効(対世的効力)ですね。
第三十三条 処分又は裁決を取り消す判決は、その事件について、処分又は裁決をした行政庁その他の関係行政庁を拘束する。
2 申請を却下し若しくは棄却した処分又は審査請求を却下し若しくは棄却した裁決が判決により取り消されたときは、その処分又は裁決をした行政庁は、判決の趣旨に従い、改めて申請に対する処分又は審査請求に対する裁決をしなければならない。
3 前項の規定は、申請に基づいてした処分又は審査請求を認容した裁決が判決により手続に違法があることを理由として取り消された場合に準用する。
4 第一項の規定は、執行停止の決定に準用する。
取消す判決な訳ですから、振り出し(処分前)に戻るですね。
形成力が働きます。
形成力=処分の取消し判決がなされた場合、処分の効力は行政庁が取消すまでもなく遡及的に消滅し、はじめから処分が行われなかったのと同じ状態になる。
その結果、判決の趣旨に従って処分をやり直さなければなりません。
これにより、同一事情の下で同一理由による同一の処分をすることはできなくなります。
ただし、判決前の処分の理由とは別の理由で判決前の処分と同一の処分をすることは可能なようです。
(第三者の再審の訴え)
第三十四条 処分又は裁決を取り消す判決により権利を害された第三者で、自己の責めに帰することができない理由により訴訟に参加することができなかつたため判決に影響を及ぼすべき攻撃又は防御の方法を提出することができなかつたものは、これを理由として、確定の終局判決に対し、再審の訴えをもつて、不服の申立てをすることができる。
2 前項の訴えは、確定判決を知つた日から三十日以内に提起しなければならない。
3 前項の期間は、不変期間とする。
4 第一項の訴えは、判決が確定した日から一年を経過したときは、提起することができない。
第三者効が認められていますから、訴訟当事者だけでなく、第三者の訴訟参加についても認められなければなりません。
主観的期間、客観的期間をきちんと把握しましょう。
(訴訟費用の裁判の効力)
第三十五条 国又は公共団体に所属する行政庁が当事者又は参加人である訴訟における確定した訴訟費用の裁判は、当該行政庁が所属する国又は公共団体に対し、又はそれらの者のために、効力を有する。
この条文は大丈夫でしょう。
今日のところはここまでです。
んでまずまた。