おばんです。
今日もビッシリと知識を詰め込みましょう。
今日は義務付けの訴えと差止めの訴えについてやってみたいと思います。
それでは早速、義務付けの訴えから。
この義務付けの訴えは、処分を求めるためのものですので、国民の権利利益の救済が図れるってとこにメリットがあります。
不作為の違法確認の訴えは、処分をしないことについての違法を確認するだけでしたので、その先に一歩踏み込んだ制度ですね。
(抗告訴訟)
第三条 この法律において「抗告訴訟」とは、行政庁の公権力の行使に関する不服の訴訟をいう。
6 この法律において「義務付けの訴え」とは、次に掲げる場合において、行政庁がその処分又は裁決をすべき旨を命ずることを求める訴訟をいう。
一 行政庁が一定の処分をすべきであるにかかわらずこれがされないとき。
この6項1号は申請を前提としない第一号義務付け訴訟と言います。
二 行政庁に対し一定の処分又は裁決を求める旨の法令に基づく申請又は審査請求がされた場合において、当該行政庁がその処分又は裁決をすべきであるにかかわらずこれがされないとき。
6項2号は申請を前提とする第二号義務付け訴訟と呼ばれます。
第一号義務付け訴訟から見てみましょう。
(義務付けの訴えの要件等)
第三十七条の二 第一号義務付け訴訟は、一定の処分がされないことにより重大な損害を生ずるおそれがあり、かつ、その損害を避けるため他に適当な方法がないときに限り、提起することができる。
一号義務付けは申請を前提としませんので、例えば違法建築物の除去を周辺住民が求める場合に提起する場合などですね。
2 裁判所は、重大な損害を生ずるか否かを判断するに当たつては、損害の回復の困難の程度を考慮するものとし、損害の性質及び程度並びに処分の内容及び性質をも勘案するものとする。
3 第一項の義務付けの訴えは、行政庁が一定の処分をすべき旨を命ずることを求めるにつき法律上の利益を有する者に限り、提起することができる。
法律上の利益を有する者=例で違法建築物の隣の住人とかですね。
なんの関係もない隣町の人が訴えることはできないってことでしょう。
4 略。
5 義務付けの訴えが第一項及び第三項に規定する要件に該当する場合において、その義務付けの訴えに係る処分につき、行政庁がその処分をすべきであることがその処分の根拠となる法令の規定から明らかであると認められ又は行政庁がその処分をしないことがその裁量権の範囲を超え若しくはその濫用となると認められるときは、裁判所は、行政庁がその処分をすべき旨を命ずる判決をする。
過去問等をやってるとこの条文の内容については全て見たことがあるんじゃないかと思います。
次に第二号義務付け訴訟を見てみましょう。
一号と二号の違いをしっかりと確認して下さい。
第三十七条の三 第二号義務付け訴訟は、次の各号に掲げる要件のいずれかに該当するときに限り、提起することができる。
一 当該法令に基づく申請又は審査請求に対し相当の期間内に何らの処分又は裁決がされないこと。
第三十七条の三 3項一号により、処分又は裁決に係る不作為の違法確認の訴えを併合提起する。
二 当該法令に基づく申請又は審査請求を却下し又は棄却する旨の処分又は裁決がされた場合において、当該処分又は裁決が取り消されるべきものであり、又は無効若しくは不存在であること。
第三十七条の三 3項二号により、処分又は裁決に係る取消訴訟又は無効等確認の訴えを併合提起する。
2 前項の義務付けの訴えは、同項各号に規定する法令に基づく申請又は審査請求をした者に限り、提起することができる。
第二号義務付けの訴えは申請が基本ですので申請又は審査請求をした者に限り提起することができるのは当たり前ですね。
3 第一項の義務付けの訴えを提起するときは、次の各号に掲げる区分に応じてそれぞれ当該各号に定める訴えをその義務付けの訴えに併合して提起しなければならない。
一 第一項第一号に掲げる要件に該当する場合 同号に規定する処分又は裁決に係る不作為の違法確認の訴え
二 第一項第二号に掲げる要件に該当する場合 同号に規定する処分又は裁決に係る取消訴訟又は無効等確認の訴え
4 併合して提起された義務付けの訴えに係る弁論及び裁判は、分離しないでしなければならない。
5 義務付けの訴えが第一項から第三項までに規定する要件に該当する場合において、同項各号に定める訴えに係る請求に理由があると認められ、かつ、その義務付けの訴えに係る処分又は裁決につき、行政庁がその処分若しくは裁決をすべきであることがその処分若しくは裁決の根拠となる法令の規定から明らかであると認められ又は行政庁がその処分若しくは裁決をしないことがその裁量権の範囲を超え若しくはその濫用となると認められるときは、裁判所は、その義務付けの訴えに係る処分又は裁決をすべき旨を命ずる判決をする。
6 略。
7 略。
一号義務付けと二号義務付けの相違点は、要件、提起することができる者、併合提起、申請が必要か否かなどです。
次に差止めの訴えです。
(抗告訴訟)
第三条 この法律において「抗告訴訟」とは、行政庁の公権力の行使に関する不服の訴訟をいう。
7 この法律において「差止めの訴え」とは、行政庁が一定の処分又は裁決をすべきでないにかかわらずこれがされようとしている場合において、行政庁がその処分又は裁決をしてはならない旨を命ずることを求める訴訟をいう。
(差止めの訴えの要件)
第三十七条の四 差止めの訴えは、一定の処分又は裁決がされることにより重大な損害を生ずるおそれがある場合に限り、提起することができる。ただし、その損害を避けるため他に適当な方法があるときは、この限りでない。
義務付けとは逆ですね。
処分、裁決がされそうなときにストップさせる訴えです。
2 裁判所は、前項に規定する重大な損害を生ずるか否かを判断するに当たつては、損害の回復の困難の程度を考慮するものとし、損害の性質及び程度並びに処分又は裁決の内容及び性質をも勘案するものとする。
この重大な損害を生ずるか否かの判断は義務付けとほぼ一緒です。
3 差止めの訴えは、行政庁が一定の処分又は裁決をしてはならない旨を命ずることを求めるにつき法律上の利益を有する者に限り、提起することができる。
処分又は裁決をしてはならない旨を命ずる訳ですから、これは当然ですね。
4 略。
5 差止めの訴えが第一項及び第三項に規定する要件に該当する場合において、その差止めの訴えに係る処分又は裁決につき、行政庁がその処分若しくは裁決をすべきでないことがその処分若しくは裁決の根拠となる法令の規定から明らかであると認められ又は行政庁がその処分若しくは裁決をすることがその裁量権の範囲を超え若しくはその濫用となると認められるときは、裁判所は、行政庁がその処分又は裁決をしてはならない旨を命ずる判決をする。
最後に仮の義務付けと仮の差止めです。
義務付け訴訟や差止め訴訟を提起しても、その判決を待っていたのでは申請者や訴訟提起者の必要な処分を受ける機会を奪ってしまうことにもなりかねません。
そのため、これらの訴訟を提起している場合に仮の救済処分として設けられている制度です。
(仮の義務付け及び仮の差止め)
第三十七条の五 義務付けの訴えの提起があつた場合において、その義務付けの訴えに係る処分又は裁決がされないことにより生ずる償うことのできない損害を避けるため緊急の必要があり、かつ、本案について理由があるとみえるときは、裁判所は、申立てにより、決定をもつて、仮に行政庁がその処分又は裁決をすべき旨を命ずること(仮の義務付け)ができる。
これの引っ掛け問題でよくあるのが次の言葉です。
償うことのできない損害○
重大な損害×
あと、申立てによりであって裁判所が職権ではできませんので注意が必要です。
2 差止めの訴えの提起があつた場合において、その差止めの訴えに係る処分又は裁決がされることにより生ずる償うことのできない損害を避けるため緊急の必要があり、かつ、本案について理由があるとみえるときは、裁判所は、申立てにより、決定をもつて、仮に行政庁がその処分又は裁決をしてはならない旨を命ずること(仮の差止め)ができる。
1項同様ですね。
義務付け、差止めは重大な損害、仮の義務付けと仮の差止めは償うことのできない損害です。
3 仮の義務付け又は仮の差止めは、公共の福祉に重大な影響を及ぼすおそれがあるときは、することができない。
これで要件が三つになりました。
1.償うことのできない損害を避けるため緊急の必要があること
2.本案について理由があること
3.公共の福祉に重大な影響を及ぼすおそれがないこと
4 第二十五条第五項から第八項まで、第二十六条から第二十八条まで及び第三十三条第一項の規定は、仮の義務付け又は仮の差止めに関する事項について準用する。
5 略。
中身は省略してますが、4項の準用規定も重要ですので時間がある時に確認は必要です。
内閣総理大臣の異議なんかありますからね。
今日も長くなりましたがここまでです。
んでまずまた。