おばんです。
今日は不利益処分を課せられた場合に自らの言い分を述べる意見陳述の手続きについて書いてみたいと思います。
これは、国民の側が受ける不利益度が高い場合には聴聞手続、不利益度が低い場合は弁明の機会の付与に分かれます。
例えば、資格や地位の剥奪などは聴聞手続であり、営業停止処分などは弁明の機会の付与ってことですね。
早速条文を。
第十五条 行政庁は、聴聞を行うに当たっては、聴聞を行うべき期日までに相当な期間をおいて、不利益処分の名あて人となるべき者に対し、次に掲げる事項を書面により通知しなければならない。
一 予定される不利益処分の内容及び根拠となる法令の条項
二 不利益処分の原因となる事実
三 聴聞の期日及び場所
四 聴聞に関する事務を所掌する組織の名称及び所在地
不利益処分を受ける者に対して、不利益処分の原因や法令の条項、聴聞の場所、聴聞事務を所掌する組織等をきちんと通知するってことですね。
2 前項の書面に、次に掲げる事項を教示しなければならない。
一 聴聞の期日に出頭して意見を述べ、及び証拠書類又は証拠物(証拠書類等)を提出し、又は聴聞の期日への出頭に代えて陳述書及び証拠書類等を提出することができること。
二 聴聞が終結する時までの間、当該不利益処分の原因となる事実を証する資料の閲覧を求めることができること。
3 行政庁は、不利益処分の名あて人となるべき者の所在が判明しない場合においては、第一項の規定による通知を、その者の氏名、同項第三号及び第四号に掲げる事項並びに当該行政庁が同項各号に掲げる事項を記載した書面をいつでもその者に交付する旨を当該行政庁の事務所の掲示場に掲示することによって行うことができる。この場合においては、掲示を始めた日から二週間を経過したときに、当該通知がその者に到達したものとみなす。
2項は防御方法ですね。
意見を述べることができますよ、証拠書類等を提出することができますよ、不利益処分の原因となる事実を証する資料を閲覧できますよってことですね。
また、聴聞は代理人によってもすることができます。
まぁ、ハッキリ言って何言ってんだかわがんねってこともあるでしょう。
専門家(弁護士さんや不利益処分の対象となっている分野の専門家)に依頼して代わりに行ってもらうことも規定されております。
第十六条 前条第一項の通知を受けた者(当事者)は、代理人を選任することができる。
2 代理人は、各自、当事者のために、聴聞に関する一切の行為をすることができる。
3 代理人の資格は、書面で証明しなければならない。
4 代理人がその資格を失ったときは、当該代理人を選任した当事者は、書面でその旨を行政庁に届け出なければならない。
また、不利益処分がなされることで、不利益を被る利害関係人がいる場合もありますので、その場合、聴聞手続に関与することが認められております。
第十七条 第十九条の規定により聴聞を主宰する者(主宰者)は、必要があると認めるときは、当事者以外の者であって当該不利益処分の根拠となる法令に照らし当該不利益処分につき利害関係を有するものと認められる者(関係人)に対し、当該聴聞に関する手続に参加することを求め、又は当該聴聞に関する手続に参加することを許可することができる。
2 前項の規定により当該聴聞に関する手続に参加する者(参加人)は、代理人を選任することができる。
3 前条第二項から第四項までの規定は、前項の代理人について準用する。この場合において、同条第二項及び第四項中「当事者」とあるのは、「参加人」と読み替えるものとする。
参加人も代理人を選任することができるんですね。
第十八条では文書の閲覧について書かれております。
当事者及び参加人が文書を閲覧する上で大切なポイントは、聴聞の通知があった時から聴聞が終結する時までの間に可能である点、第三者の利益を害するおそれがあるときその他正当な理由があるときでなければ行政庁は閲覧を拒めないと言うことです。
また、審理の進行に応じて必要となった資料の閲覧を更に求めることをができるのですが、この場合、行政庁は日時及び場所を指定することができることとなっております。
それと聴聞を主宰する者を処分をする行政庁と別にすることで、行政庁と当事者が対等の立場におかれ、審理の公正を確保し、裁判のような形式で審理を進めることとなっております。
第二十条 主宰者は、最初の聴聞の期日の冒頭において、行政庁の職員に、予定される不利益処分の内容及び根拠となる法令の条項並びにその原因となる事実を聴聞の期日に出頭した者に対し説明させなければならない。
2 当事者又は参加人は、聴聞の期日に出頭して、意見を述べ、及び証拠書類等を提出し、並びに主宰者の許可を得て行政庁の職員に対し質問を発することができる。
3 前項の場合において、当事者又は参加人は、主宰者の許可を得て、補佐人とともに出頭することができる。
4 主宰者は、聴聞の期日において必要があると認めるときは、当事者若しくは参加人に対し質問を発し、意見の陳述若しくは証拠書類等の提出を促し、又は行政庁の職員に対し説明を求めることができる。
5 主宰者は、当事者又は参加人の一部が出頭しないときであっても、聴聞の期日における審理を行うことができる。
6 聴聞の期日における審理は、行政庁が公開することを相当と認めるときを除き、公開しない。
第二十条の審理の方式は大切なところです。
質問、保佐人との出頭、非公開など過去に問われたところ満載です。
第二十一条には陳述書の提出、第二十二条には続行期日の指定、第二十三条には当事者の不出頭等の場合における聴聞の終結が規定されております。
第二十四条 主宰者は、聴聞の審理の経過を記載した調書を作成し、当該調書において、不利益処分の原因となる事実に対する当事者及び参加人の陳述の要旨を明らかにしておかなければならない。
2 前項の調書は、聴聞の期日における審理が行われた場合には各期日ごとに、当該審理が行われなかった場合には聴聞の終結後速やかに作成しなければならない。
3 主宰者は、聴聞の終結後速やかに、不利益処分の原因となる事実に対する当事者等の主張に理由があるかどうかについての意見を記載した報告書を作成し、第一項の調書とともに行政庁に提出しなければならない。
4 当事者又は参加人は、第一項の調書及び前項の報告書の閲覧を求めることができる。
第二十五条 行政庁は、聴聞の終結後に生じた事情にかんがみ必要があると認めるときは、主宰者に対し、前条第三項の規定により提出された報告書を返戻して聴聞の再開を命ずることができる。第二十二条第二項本文及び第三項の規定は、この場合について準用する。
第二十六条 行政庁は、不利益処分の決定をするときは、第二十四条第一項の調書の内容及び同条第三項の報告書に記載された主宰者の意見を十分に参酌してこれをしなければならない。
第二十七条 この節の規定に基づく処分又はその不作為については、審査請求をすることができない。
見てみると聴聞の規定はもれなく問われていることがわかると思います。
はしょる条文がないですね。
最後に弁明の機会の付与を。
聴聞の規定が準用されていますので、準用されてない二つだけです。
第二十九条 弁明は、行政庁が口頭ですることを認めたときを除き、弁明を記載した書面(弁明書)を提出してするものとする。
2 弁明をするときは、証拠書類等を提出することができる。
第三十条 行政庁は、弁明書の提出期限(口頭による弁明の機会の付与を行う場合には、その日時)までに相当な期間をおいて、不利益処分の名あて人となるべき者に対し、次に掲げる事項を書面により通知しなければならない。
一 予定される不利益処分の内容及び根拠となる法令の条項
二 不利益処分の原因となる事実
三 弁明書の提出先及び提出期限(口頭による弁明の機会の付与を行う場合には、その旨並びに出頭すべき日時及び場所)
弁明の場合、基本は弁明書の提出、証拠書類も合わせて提出することができる。
ポイントは、行政庁が認めた場合に口頭によってすることができる点ですね。
本日も長くなりましたが、この辺で。