おばんです。
今日は、行政手続法の処分、昨日の申請に対する処分に引き続き、不利益処分について書いてみたいと思います。
不利益処分の定義から。
行政手続法第二条四号ですね。
四 不利益処分 行政庁が、法令に基づき、特定の者を名あて人として、直接に、これに義務を課し、又はその権利を制限する処分をいう。ただし、次のいずれかに該当するものを除く。
イ 事実上の行為及び事実上の行為をするに当たりその範囲、時期等を明らかにするために法令上必要とされている手続としての処分
ロ 申請により求められた許認可等を拒否する処分その他申請に基づき当該申請をした者を名あて人としてされる処分
ハ 名あて人となるべき者の同意の下にすることとされている処分
ニ 許認可等の効力を失わせる処分であって、当該許認可等の基礎となった事実が消滅した旨の届出があったことを理由としてされるもの
具体例
仙台市に住むOさんは、営業許可を受け、ラーメン店を営んでいました。
固定客も増え、順調に営業をしていたところ、行政の側から突然、理由もなしに営業許可の取消処分を受けてしまいました。
こんな感じですね。
どう思いますか?
こんなことがあったら、どんな基準でどんな理由で、はたまた文句も言いたいですよね。
そのために、不利益処分をする際に処分基準や意見陳述の手続(聴聞や弁明の機会の付与)、理由の提示と言った手続きを定めています。
聴聞と弁明の機会の付与は後日やりますね。
それでは処分基準から。
第十二条 行政庁は、処分基準を定め、かつ、これを公にしておくよう努めなければならない。
2 行政庁は、処分基準を定めるに当たっては、不利益処分の性質に照らしてできる限り具体的なものとしなければならない。
これ、不利益処分の性質に照らしてできる限り具体的なものとしなければならないとはなっておりますが、処分基準を定めるのも公にするのも努力義務なんですね。
事案が多種多様ってのもあるでしょうが、処分基準をきっちり定めてしまうと網の目を潜り抜けようとする悪いことを考える人もいるってことでしょうかね。
意見陳述の手続
第十三条 行政庁は、不利益処分をしようとする場合には、次の各号の区分に従い、この章の定めるところにより、当該不利益処分の名あて人となるべき者について、当該各号に定める意見陳述のための手続を執らなければならない。
一 次のいずれかに該当するとき 聴聞
イ 許認可等を取り消す不利益処分をしようとするとき。
ロ イに規定するもののほか、名あて人の資格又は地位を直接にはく奪する不利益処分をしようとするとき。
ハ 名あて人が法人である場合におけるその役員の解任を命ずる不利益処分、名あて人の業務に従事する者の解任を命ずる不利益処分又は名あて人の会員である者の除名を命ずる不利益処分をしようとするとき。
ニ イからハまでに掲げる場合以外の場合であって行政庁が相当と認めるとき。
二 前号イからニまでのいずれにも該当しないとき 弁明の機会の付与
2 次の各号のいずれかに該当するときは、前項の規定は、適用しない。
一 公益上、緊急に不利益処分をする必要があるため、前項に規定する意見陳述のための手続を執ることができないとき。
二 法令上必要とされる資格がなかったこと又は失われるに至ったことが判明した場合に必ずすることとされている不利益処分であって、その資格の不存在又は喪失の事実が裁判所の判決書又は決定書、一定の職に就いたことを証する当該任命権者の書類その他の客観的な資料により直接証明されたものをしようとするとき。
三 施設若しくは設備の設置、維持若しくは管理又は物の製造、販売その他の取扱いについて遵守すべき事項が法令において技術的な基準をもって明確にされている場合において、専ら当該基準が充足されていないことを理由として当該基準に従うべきことを命ずる不利益処分であってその不充足の事実が計測、実験その他客観的な認定方法によって確認されたものをしようとするとき。
四 納付すべき金銭の額を確定し、一定の額の金銭の納付を命じ、又は金銭の給付決定の取消しその他の金銭の給付を制限する不利益処分をしようとするとき。
五 当該不利益処分の性質上、それによって課される義務の内容が著しく軽微なものであるため名あて人となるべき者の意見をあらかじめ聴くことを要しないものとして政令で定める処分をしようとするとき。
これは、条文の紹介だけで次回やりますね。
理由の提示
第十四条 行政庁は、不利益処分をする場合には、その名あて人に対し、同時に、当該不利益処分の理由を示さなければならない。ただし、当該理由を示さないで処分をすべき差し迫った必要がある場合は、この限りでない。
2 行政庁は、前項ただし書の場合においては、当該名あて人の所在が判明しなくなったときその他処分後において理由を示すことが困難な事情があるときを除き、処分後相当の期間内に、同項の理由を示さなければならない。
3 不利益処分を書面でするときは、前二項の理由は、書面により示さなければならない。
まぁ、当たり前。
理由を示すことができない事情があるときを除き、同時または処分後相当の期間内に理由は示されるんですね。
先ほどのOさんの事例で理由の提示もなく営業許可を取り消されたら納得いかないですしね。
この、理由の提示には以下のように判断した判例があります。
特段の理由のないかぎり、いかなる事実関係に基づきいかなる法規を適用して当該処分がされたのかを、処分の相手方においてその記載自体から了知しうるものでなければならず、単に抽象的に処分の根拠規定を示すだけでは、それによつて当該規定の適用の原因となつた具体的事実関係をも当然に知りうるような例外の場合を除いては、法の要求する附記として十分でないといわなければならないとする判例があります。
昭和45(行ツ)36 法人税更正処分等取消請求 昭和49年4月25日
キチンと理由を知って、こちら側からも言いたいことは言えるようにってことですね。
次回、意見陳述の手続をやってみたいと思います。
んでは、また。