ヘンリー・ジェイムズの『デイジー・ミラー』を再読しました。
きわめて流麗で、詩的で、しかし古風ではなく、
現代の恋愛小説の読者でもすんなり受けとれるような主題を扱った小説であるかと思います。
少女の生き生きした人格描写がなによりも秀逸です。
若い人が読んでくださるといいですね。
さて、この本を読みかえして気づいたのですが、スイスのヴヴェイのホテル『トロワ・クローネ』が出てきます。
前に読んで、忘れていたのです。
ヴヴェイはチャップリンの街であり、モントルー・ヴヴエイ音楽祭の街であり、
ピアニストとピアノ愛好家にとっては、クララ・ハスキルが生きた街です。
近隣にはクラシック音楽に縁故の深い土地がたくさんあります。
当然、『トロワ・クローネ』にも多くの音楽家が泊まってきました。
このホテル、私は泊まることはできなくて、お茶だけ飲ませてもらったことがありますが、
ずいぶんと居心地の良さそうなホテルでありました。
ヘンリ・ジェイムズを読みかえしながら、19世紀からそうであったんだなと感心した次第です。