どこもかしこもそうなのですが | 緑の錨

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歴史家の山本尚志のブログです。日本で活躍したピアニストのレオ・シロタ、レオニード・クロイツァー、日本の歴史的ピアニスト、太平洋戦争時代の日本のユダヤ人政策を扱っています。

 さまざまな分野の専門家のかたとお話ししていて、すこし感じるところがあります。どの世界でも専門家の一般的認識というものがあるのですが、それと世間のずれというのがはなはだしいのです。マスコミに書かれていることや世間の常識が専門家の非常識であったりします。

 それはピアノについて、ピアノ演奏について、ピアニストについても同様です。幻想に依存して商売をするということもあるのですが、それに専門家は絶対にいつも正しいので必ずそれに従えという気もないのですが、それにしても、世間一般と専門家の間であまりに認識のずれが大きいというのは問題であると思います。

 逆に、あまり根拠のない音楽界の慣習というものもあって、これにはやや当惑させられることもあるのですが、そのあたりのことも世間一般には伝わっていないようです。率直にいって、こんなことすぐやめてしまえばいいということもあるのですが、あまり知られてはいないようです。

 専門家と世間の溝は大きく、わたしなども文筆家のはしくれでありますから、なんとかその間の溝を埋めようと考えてきたのですが、力が及びません。ただ、最近専門的な事情にも通じたすぐれたアマチュア愛好家のかたと知りあう機会も多く、そういったひとびとが存在していることは、とても救いになる事実です。すぐれたアマチュアはすぐれたプロと同じくらい貴重な存在です。