久しぶりに金曜ロードショーで火垂るの墓が放映されたので視聴。
ネットで前評判をのぞくと、
清太はクズ
清太はなぜ働かない
暗いだけ
おばさんと清太 どっちが悪
などと評判が悪い。作品の意義そのものに疑問を持つ人も多いようだ。
自分としては戦争の中で悲惨な成り行きとなった数多の人間のうちの一つの例を描いた物語であって、いいも悪いもないと思っていた。過酷な状況下の人の生き方をジャッジできるものではない。
今回の放映で改めて見ると、たしかに清太は自由で裕福な育ちのせいか、わがままで不器用で周りに気を遣うのが嫌で、その結果妹を死なせてしまったと言える。妹の世話も自己満足の範疇に終わっていた。
つまり、清太は同調圧力に負けたくなかった。妹と、以前のとおりに暮らしたかった。切実に。それが、そんなに不評で、非難されるべきことなのか?
この問題についてネット上にいろんな人が評論を上げているけれど、高畠さんのインタビューを見てとても腑に落ちた。
戦争のドラマはたくさんあるけど、家族を守るために戦うなんて、当時は言ってなかったからね。
戦争の悲惨さを描くならもっと酷く描かないと、という人も多いけど、戦争中だって悲惨ばかりじゃない。子供は何かしら楽しい嬉しいことを見つける天才だから。
主人公ががんばって戦うヒーローだったらみんな安心して気持ち良くなるんでしょう、そのために映画を見に行くんだもの。
概略、このようなことを高畠さんは述べていました。要するに、清太の心情はリアルなものなのだと思います。
戦争になったからって、誰もが熱心な軍国少年になるなんて変じゃないですか。
自由で裕福に育った中2くらいの少年が現実を少し見誤って引き返せなくなってしまった……誰に相談する気にもなれず。
とても納得がいきます。
清太は褒められた人間ではないけど、真実味がある。
ふと、妹尾河童の『少年H』を思い出しました。こちらは戦争が終わったときの混乱と怒りの心情を読むことができます。