『軍国日本の興亡』猪木正道 日清戦争から日中戦争へ | ぷぷぷ日記

ぷぷぷ日記

映画・マンガ・アニメ・小説・歴史・日々の雑記帳。

更新は思いついたとき。

中公文庫 1995
11月に98歳で亡くなった政治学者・猪木正道の本。主題は戦争ではなく、日本が日露戦争以降、どのように軍国化していったか。その過程を政治経済・社会状況を解説しながら見ていき、太平洋戦争開始までを述べる。

こう書くと大学の講義ノートのようですね・・・大学で教えていた人なので、実際そうなのかもしれません。内容的には教養科目の「日本近代史概説」なんかに最適。とてもわかりやすかったです。日露あたりを語る最初のほうはあっさりしすぎていて教科書みたいでつまんない、と思いましたが、なかなかどうして。テロ事件が起こり軍部の勝手が押し通り・・・と軍国化が進むにつれ、解説にも力がこもっていきます。

この本、私が待望していた内容でした。なぜ軍国化が進み無謀な自爆戦争に至ったのか? という疑問について抽象的に解説する本が多い中、この本は非常に具体的です。主な事件について原因・結果の事実を述べ、そのときの首相や外交の方針、メディアと国民の様子など背景を示して解説してくれる。それをほぼ時系列に従ってやっていくという手法です。

この本のおかげで、いろいろなことがわかった気がします。事件と事件のつながりがやっとおぼろげながら見えて、正しく歴史の勉強ができました。また、陸軍は一枚岩で暴走していたわけではなかったこととか、満州はある意味、日本人にとっても独立国の気分があったらしいことなど。知らなかった事実も多々ありました。

概説は概説ですから詳しいことは書いてないですが、「これはまた詳しい本を読もう」と思ったり、著者が紙面の少ないなか、余談のように突っ込んだ意見を述べていて「おっ?」と気になったところに付箋を貼っていると、付箋だらけになってしまいました。それだけまた見る価値のある事実と見解がたくさん載っていたと言えます。

訃報の記事などを見ると著者には「安保問題の論客」などという評もあり、とんがった人だったのでしょうね。しかし、本書は晩年の著作でもあり、かなり公平な視点からまとめられていると思いました。テキストとして手元に置きたい一冊です。

軍国日本の興亡 日清戦争から日中戦争へ/猪木正道【RCP】
¥840
楽天