2007
朝日新聞社出版局
吉田 修一
殺人を犯した悪人(主人公)は本当に悪人なのか。
孤独をもて余すこんな人物は本当にいそうだ。この人の内面を他者の目から見てうまく描きだしているところがいい。最後は無欲と欲、犠牲の精神などについて考えさせられる。
ただし2007年と新しい話で携帯やら出会い系やらが重要な装置として登場するのだが、主人公以外の人物群など設定に違和感がある。なんだか時代が古く感じられるのだ。
短大卒や高卒の女子が大学生に憧れたり、30歳前になると行き遅れの年増のように感じたり、ヴィトンのバッグに安物の靴を履いてたり・・・といった描写が私の若い頃を思い出させる。著者は同世代の1968年生まれ。自分の若い頃を思い出して書いているのでは?
今の若い人って30で年増とは感じないのでは?
40男も自分のことを「おやじ」と思ってるだろうか?
疑問だ。
若い人がこんな話を書いた場合、ちがったものになるだろうな。
ただ、テーマは時代を超えたものだと思うので、少し前の話だと思って読んでもいいかもしれない。