「だんまり」
ショートショートの題名です。
たった2ページのショートショート
「ミュータント傑作選」 R・シルバーバーヴ編
講談社文庫 380円
に収録されている作品です、その昔(1960年代)のSFマガジンの裏表紙に
パイロット万年筆主催の
ショートショートのコーナー
がありました、そのコーナーの作品、読者の応募作なんですが(原稿用紙3枚程度)
毎回なるほどと頷ける作品ばかりでした。
このだんまりは、まさか素人の作品ではないでしょうが、作者はあまり聞いたことのない
フォレスト・J・アッカーマン
で、今日これを読み返したのは、短い事と、題名の
「だんまり」
が、何となく気になる題名だったからです、全文をここに書いてもいいくらいの短い作品なんですが・・・
この話に出てくるミュータントは、人間に比べて何ら優越性のない出来損ないばかり
ミュータントが生まれた原因は、お定まりの核戦争によるもの、頭が2つのミュータントが自分たちの出自について話している。
「人間はなぜ自分たちに似せて俺たちを作らなかったのか」
「俺はあの爆弾で生まれたって話を信用していない」
等々そして、片方の頭が通りがかった旅人に尋ねる
「あんたはどうだね」
2つ頭のミュータントの問いかけに旅人は答えない。
2つ頭のミュータントは、どちらの頭も目が見えない・・・旅人はミュータントの問いかけになぜ「だんまり」なのか・・・
核戦争後の世界に超人的なミュータントが現れて・・・と言うようなお話はSF界ではよくあるパターンです。
最近ではそのような脳天気なパターンは少なくなったと思いますが、同時に核や
放射能の怖さもあまり騒がなくなったのではないでしょうか。
私が小・中学生の頃は欧米の核実験が盛んで、実験がある度に放射能の恐ろしさを聞かされたものでした。
曰く「放射能を含んだ雨に当たると頭がはげる」
等はその代表的なものでした。
当時は本気で雨に濡れないよう必死の努力を怠らなかったものです。
ただ、私の場合その努力の甲斐もなく・・・
ではありますが、いつの頃からかあまり騒がなくなった。
あれは・・・欧米の核実験が一段落し、中国などの核実験が始まった頃からでしょうか、マスコミをはじめとしてあまり騒がなくなったようにおもいます。
その流れをくんでかどうか、北朝鮮に関しては核実験だろうと、核を積載するであろうミサイルの実験であろうとマスコミはおろか自称平和団体さえ騒がない
むしろ批判的な言論を表に出さぬよう、人の耳目にふれさせぬ様との涙ぐましい努力が伺われる。
まさに「だんまり」を決め込んでいる。
で一句
北鮮の 核の恐怖を 書く気なし
白鹿庵
日本のマスコミは複数のはずですが、言ってることは皆同じ、きっと体は一つのミュータントではないでしょうか、出来損ないの方ではありますが。
この体に最近毛色の変わった頭が生えてきたようで、友愛などと声高に叫び、数々の後ろ暗いことを口をそろえて「だんまり」・・・
口々に椿の小枝をくわえていて、しゃべることが出来ないのでしょうか。
民放の劣化腐敗はスポンサーの自覚を待つとしても、NHKへの受信料の支払いが日本に対する裏切りのような気がして・・・