安倍総理辞任会見に思う | ワインな日々~ブルゴーニュの魅力~

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わたしは一介の町医者だが、勉強会などには真面目に参加している。

東京で開催される1000人規模の講演会に招待されることが、例年多くて年に2〜3回ある。

多くはメーカー主催の新薬発売記念講演会だ。

 

壇上で1000人の招待客を前にプレゼンしているのは、

その分野ではわが国の第一人者であることに疑いない。

自慢になるが、わたしも500〜1000人規模の講演会で、単なる聴衆の1人ではなく

壇上に上がってプレゼンをしたことが5回くらいある。

末端の町医者でも、臨床経験があれば大会合で発表機会が与えられることがあるわけだ。

 

演者のプレゼンのあと、座長は会場に質問を求める。

一聴衆として参加した場合、1000人の聴衆を前に挙手をし、マイクを握って

わが国の第一人者に向かって質問を発するのには、相当な勇気がいる。

 

そこで的確な質問をしてその場の1000人の誰もが頷けば、

座長や演者から一目を置かれて名を上げることになるし、

大金をかけて会を開催した主催メーカーからは感謝される。

 

しかし、演者が返答に困るような難問を浴びせかけると顰蹙を買うし、

場違いでトンチンカンな質問ををすれば大恥をかく。

だから普通の神経の持ち主は決してマイクを握らない。
 

大観衆の前で、公然とマイクを握るにはそれなりに覚悟がいる。

講演を聴いている間にも常に頭を動かして、如何に的確な発言をするか

準備を整えておかなければならない。

実際に1000人を前に、わたしは何度もマイクを握ったことがある。

その結果情報交換会では、メーカーの代表者、多くは社長が名刺を持ってやって来られる。

 

こんなトレーニングをを何年も続けていると、

ある程度客観的に他の人の発言を評価できるようになる。

 

8月28日の安倍総理辞任会見を観た。

1000人どころではない桁違いの聴衆が観る大舞台において、

わが国を代表する大マスコミの代表者がする質問の内容があの結果だ。

 

もしわたしがあの会見に同席していたとして、

突然指名されたとしてもあれ以上の質問はできる。

 

これは決して自慢ではない。

わたしの周辺に同じことができる人間はいくらでもいる。

 

これがサイレント・インベージョンの結果だとしたら、目論見は大当たりだ。

しかしそれだけでは説明できないレベルの低さだ。

わが国のマスコミのレベル低下を憂うしかない。