やっぱりヴォーヌ・ロマネの教科書・・ミュニュレ・ジブール | ワインな日々~ブルゴーニュの魅力~

ワインな日々~ブルゴーニュの魅力~

テロワールにより造り手により 変幻の妙を見せるピノ・ノワールの神秘を探る


ミュヌレ・ジブール ヴォーヌ・ロマネ 2005
購入日    2008年7月
開栓日    2014年1月27日
購入先    ヴェリタス
インポーター ラック・コーポレーション 
購入価格   6980円

2005年という年はわたしにとって、いや多くのブルゴーニュ愛好家にとって
鬼門のような年ではないだろうか。

「良年だ、良年だ」という売り手側の過剰な煽りはなかったか。
2005がリリースされた頃、ユーロが高くて170円だったことは認めよう。
しかしあそこまで2005が高くなって、しかもオフヴィンテージだと言われる2006まで
同じような値段であることが、どうしても納得できない。

誰かが不当に儲けたのではないか、などと言うつもりはない。
為替レートや世界的な市場での結果、こういう価格が付いているのだとすれば、
それは受け入れざるを得ない。

しかしその後もブルゴーニュ全般のワインや、ボルドーの頂上のワインの価格は
2000年のレベルに戻ることはなく、少し落ち着きながら高値のまま現在に至っている。

ま、それはともかく、2005年が造り手やインポーターやショップの宣伝文句通り
本当に評価通り良年だったのか、自分で判断する以外にはない。
音楽でも同じなのだが、基本的に評論家の言うことなど信用しないのである。

裾ものワインは別として、まだ2005のまともなワインは飲み頃に達してはいないから、
この年の本当の実力は、われわれ買って飲む立場の飲み手にはまだ実感できていない。
だって、セラーに行って樽から飲ませてもらう機会など滅多に無いのだから。

先日セントレジスに持ち込んだグロ・フレールのクロ・ヴージョ・ミュジニ2005は
まだ飲み頃前でタンニンがざらついていたし、ほとんどの村名でも
本来の姿を知るには早すぎる。

そこでこの村名ワインだが、果実が豊かでまだまだ糖度を残す、3日目までへたらない、
ボディがしっかり、ということで、2005がなかなかの年であるということは実感できた。

ラブワインさんが言われているように、もはやこのレベルのワインには新しい発見はない、
と言うのは頂上の飲み手の偽らざる感想だろう。

不遜ながらわたしも同意するが、こんなものをデイリーワインとして
開栓できるのは、先手を打って購入し、保管場所に困らない一部の飲み手だけである。
そこいらのワインバーなど、世間一般ではすでに開けられてしまうだろうが、
個人的にはまだ5年は早い。

これをブラインドで飲んでも、ヴィンテージと村名を当てる自信はある。
これをもって、まとも過ぎて面白くないと言うとキザに聞こえるだろうが、
ヴォーヌ・ロマネらしくて安定感があることは疑いがない。

イッセルシュテットとウィーン・フィルのベートーヴェンの交響曲のように、
まっとうな音楽のまっとうな演奏と言えば良いだろうか。