芸術品・・fujiya1935 | ワインな日々~ブルゴーニュの魅力~

ワインな日々~ブルゴーニュの魅力~

テロワールにより造り手により 変幻の妙を見せるピノ・ノワールの神秘を探る

今やミシュラン三ツ星の洋食のレストランは、関西では神戸のカ・セントとこの店、
fujiya1935しかないはずである。

カ・セントには昨年1度訪れただけだが、この店は実は3度目である。
昨年初めてここを訪れた際には、さほど素晴らしいとは思わなかったのだが、
値上げをしたあとの今年2月末の訪問では、あまりの素晴らしさに舌を巻いて帰った。

一緒におじゃましたはるいちごさんと、先輩のAK先生といっしょに舞い上がり、
シェフの説明を冷静に聞いていたのは、酒を飲まない家内だけであった。

そのシェフは2代目で、4月に39歳になったばかりとのこと。
フロアのソムリエも控えめでとても感じの良い人である。

この店は、内本町の交差点近く、松屋町筋沿いにある。
小さな土地に建つ、3階建て(だと思う)の幅の狭い建物が店舗である。
約2年半前にこのような形になったのだそうだ。
1階は暗くした前室とキッチン、2階だけが客室で18席ほど、3階はトイレである。

昨日30日、今回もうちは夫婦連れで、はるいちごさん夫妻と訪問した。
ワインは事前に持ち込ませてもらっている。

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暗い前室で供される 白樺の樹液

喧噪な町中から小さな店に入ると、そこは暗い空間である。
食事の前に気分を落ち着かせる、という演出なのだ。

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しっかりと火を入れた蛤と碓井えんどう豆のフラン

最初だからまず見栄えで勝負?
泡もハマグリのだしで造られているそうな。
食べるのが勿体ないくらいだが、もちろん食べても美味しい。

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人参のスナック 本物の人参と葉っぱはかざりで食べない

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ごぼうのスナックとピスタチオのマシュマロ

このあたりは定番である。
ちょっと意表を突いている。

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小さなじゃがいも(の形をした料理) 中はチーズで食感が柔らかい

下に敷いてあるのはジャガイモの皮を揚げたもの。
パリッとしてめちゃうま(はるいちごさんの弁)
お皿いっぱい欲しい。

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気泡を含ませた碓井えんどうのパン

これまた定番の気胞パン。ふわふわで、つまんで食べる。
前回は丹後産黒豆のふわふわパンにサワークリーム添えだった。
同工異曲だが、いずれも美味しい。

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赤ムツ 泉州産の蕗 島根県匹見産のわさび

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取り立てのホワイトアスパラガス

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これが1人分 ホワイトアスパラと古代チーズ(蘇)のソースの上に乗っているのは「こしあぶら」

こしあぶらとは、植物である。
知らなかったなあ・・

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手延べパスタ 車海老とグリーンアスパラと凝縮した卵黄のソース

これがまた実に繊細な料理である。
色んな素材の香りがする。しかも押しつけがましくない。

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天然鯛 新玉ねぎ ディルの花

ディルの花の香りが見事。
このシェフは、とても嗅覚に優れた人であることが一目瞭然。
香り使いの名手である。

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8週間熟成させた但馬牛 青菜 ラッキョウ 山椒のソース

肉の赤い色と対照的なソースの緑色がきれいで印象的。
これに黒糖ビネガーが少しだけ注がれる。
ソースと肉のマッチングがお見事である。

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八朔の粒粒とその綿のクリーム ココナッツ

視覚も満足させるが、食感と温度との調和がよい。

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よもぎと 春イチゴ

当然、はるいちごさんのためのスペシャルである。

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ホワイトチョコレートのマシュマロ 手でつまむとこわれそう

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ワインはシャンパーニュとブルゴーニュと年代物のボルドー
シャンパーニュ アヤラ 2003
ブルゴーニュ ロベール・グロフィエ シャンボール・ミュジニー 1er. レ・ザムルース 2003
ボルドー サン・ジュリアン シャトー・ブラネル・ドゥクリュ 1982

家内はほとんど飲まないので、ワインは4人で3本。
シャンパーニュははるいちごさん、ブルゴーニュはわたしが持参したもの。
良年1982のボルドーは、はるいちごさんのご主人の秘蔵品とのこと。

シャンパーニュは酸と果実のバランスが良く、良い意味で万人受けする名品。

グロフィエのザムルースは、2月前に開けた2004(ブログ未記載)が飲み頃だったので
チョイスしたが、これがまだまだ若かった。
宴の終わりごろになってようやく開いてきて、干しぶどうの凝縮した甘さが現れる。

この2003の方が、ワインとしてのランクは2004よりかなり上である。
開栓時期はまだ2年は早かった。
1本しか買わなかったのを後悔するがあとの祭り。
しかし、すぐ近くの畑、オードワ2003はまだ2本あるぞ。

シャトー・ブラネル・ドゥクリュ 1982は、柔らかに熟成した良いワインであった。
香りはインキーだが、舌に感じるタンニンは優しく、さすがは1982だと思わせる。
これならあと10年しても十分楽しめるだろう。

実は、こういう飲み方がボルドーの真骨頂なのではないか。

とか何とか言いながら、楽しい夜は更けていった。
新装なったポワンといい、☆は落としたが、Hajimeといい、
大阪には実に素晴らしい店があって、ほんとうに幸せである。