ピークを過ぎてバランス悪し・・ジブールのヴォーヌ・ロマネ村名 | ワインな日々~ブルゴーニュの魅力~

ワインな日々~ブルゴーニュの魅力~

テロワールにより造り手により 変幻の妙を見せるピノ・ノワールの神秘を探る

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ミュニュレ・ジブール ヴォーヌ・ロマネ 2004
購入日    2007年4月
開栓日    2012年11月1日
購入先    Alcoholic Armadillo
インポーター ラシーヌ
購入価格   6400円

2本購入したうちの2本目である。
1本目は昨夏に開けていたく感銘した。

初っ端からお金の話で恐縮だが、このミュニュレ・ジブールのヴォーヌ・ロマネ村名は、
2001は3480円、2002は4480円であった。

この2004は6400円で購入したが、この時は相当なユーロ高だった。
その後ユーロが落ち着いてから5000円程度で市場に出たこともある。

その後の2009は6280円であったがが、つい先日購入した2010は、
このユーロ安の時代にあって、7500円であった。
もはや2001の倍以上である。
それが市場価値なのか、それとも誰かが儲けているのか。

ここまで書いただけで憂鬱になる。
2000円も出せばそれなりに美味しいワインも世の中には多数あるというのに、
そうまでしてこのワインを手に入れ、飲まねばならないのだろうか。

この造り手のヴォーヌ・ロマネ村名は、ヴォーヌ・ロマネのテロワール(この言葉キライ)を
学ぶためのスタンダードである、と言って良いかも知れない。
個人的にはそう思っている。

フルトヴェングラーのベートーヴェンは、それを聴かずしてベートーヴェンは語れない、
とうのとちょっと似ている。
予想通り、カラヤンは時代の流れから取り残されてしまったと感じるし、
ブルーノ・ワルターは今も存在価値を保つが、ベートーヴェンのスタンダードだとは言えまい。

ただし、このミュニュレ・ジブールのヴォーヌ・ロマネは、相当壊れやすくて繊細なワインで、
絶妙のバランスで成り立っていると言っても良く、どのヴィンテージでも安定感がある、
というワインではないのも然り、である。

かつて2002の大当たりボトルに出くわしたし、昨年はこの2004にいたく感心したが、
再現性という点では相当疑問がつきまとう。

今回の2004、結果は昨年と違ってハズレであった。
すでにピークを過ぎており、わずかにぎすぎすした酸が興をそぐ。
このようにナイーヴなワインは、ちょっとバランスを崩しただけで満足感は激減する。

決して不味いワインではなく、保管も悪かったわけではない。
あの2002を造り上げた,同じ作家の作品としては納得がいかない。
2001もそうだったが、オフヴィンでは開栓時期が問題なのかも知れない。

1年前のボトルとの差が顕著で、これは開栓時期によるのかボトル差なのか、
判断は非常に難しい。

ラブワインさんが先日2005を開けられ、
「もう買わないだろうなあ」などと書いておられたのが、今回は何となく分かる。

これ以降のヴィンテージもこの体たらくだったら、もっと安くてもわたしだって買わない。
だったら何を買うんだ、と言われると困る。
もはや村名ワインには期待できない、ということなのだろうか。

ブルゴーニュにはまるということは、金遣いの荒い性悪女に捕まったのと同じことだ。
いつもこの結論に達する。
酔狂には金がかかる、ということなのだろう。