硬質で地味・・シュニュ | ワインな日々~ブルゴーニュの魅力~

ワインな日々~ブルゴーニュの魅力~

テロワールにより造り手により 変幻の妙を見せるピノ・ノワールの神秘を探る

ワインな日々~ブルゴーニュの魅力~
ルイ・シュニュ サヴィニー・レ・ボーヌ 1er オー・クロ 2005
購入日    2007年5月
開栓日    2012年1月13日
購入先    Alcoholic Armadillo
インポーター ヌーヴェル・セレクション
購入価格   3500円

「東大教授にバカ発見」
昨晩NHK9時の NewsWatch9 を見ていたら、東大教授と称する人が登場し、
「冬は乾燥するから、不感蒸泄が増える。従って水分補給した方が良い」と宣っておられた。
  筆者註 不感蒸泄:自分で感じることなく気道や皮膚から蒸散する水分で、発汗は含まない。

この教授先生、医学部の教授かどうかは分からない。
医師かも知れないが、臨床医ではなさそうである。
間違いなく、天皇陛下を診ている泌尿器科の教授とは別人である。

まともな臨床医なら、一般者対象にこんなおバカなコメントはしない。
世の中、どれだけ水を飲みすぎの人間が溢れているか、現場を知らない学者の発言である。

乾燥した冬は不感蒸泄が増えるかも知れないが、確実に発汗は減る。
冬でも水分を摂りましょう、というのはまったくの誤りではないが、
厳密に言えば、1日尿量が1000ml以下の人に対するアドバイスである。

尿量が多い人には、百害あって一利なしで、大きなお世話である。
汗と不感蒸泄のどちらが脱水をもたらすのか、子供でも分かる。

このコメントを聞いて、真に受けた年寄りがまたも飲水に走るかと思うと、実にうんざりする。
いい加減に、テレビ番組は年寄りに水を飲ませるキャンペーンを止めたらどうか。

水分過多で尿量が増え、夜間に尿に起きて、生活の質を落とし、
医師に助けを求めて受診する患者はめちゃくちゃ多い。
そんな方々がわたしの収入の源になっているのだが、
これ以上収入は要らないから、アホな患者の相手はしたくない。

「水を飲むのをやめましょう」
「テレビで東大教授が飲めと言っていた」
「だったらその教授に治してもらいなさい」

という会話を今日はしなければならないかと思ったが、幸いせずに済んだ。
うちの患者さんは超高齢者が多いから、9時にはみんな寝ていたのだろう。


さて、これまた4年半も前に購入して、これまで放置していたワインである。
1級ものも購入したが、そっちは先に開けてしまった。

決して質の悪いワインではなく、状態も良かったのだが、心を動かされない。
これはワインのせいではなくて、自分の心変わりのせいだろう。

開栓時期が遅すぎたことは間違いない。
下ってはいないものの、このワインにとって最も華やいだ時期は過ぎている。
この前に開けたロックのクロ・デ・コルヴェもピークを過ぎていたが、
柔らかさがあって元のブドウの底力を感じさせた。

ところがこのワインからは痩せた果実が感じられて、これ以上置くことの意味を見いだせない。
ブドウをどう育てるかが醸造家の仕事のほとんどである、と改めて思う。

VVとなっているが、さほど強いブドウではなく、もっと早飲みすべきワインだ。
価格は妥当なところで、これに心を動かされないとは、実に贅沢になったものだなあ、
と自省させられた。

フレッシュな酸味が落ちないうちに、ささっと飲んでしまった方が良かったようである。