VVの方が格上・・ペロ・ミノ | ワインな日々~ブルゴーニュの魅力~

ワインな日々~ブルゴーニュの魅力~

テロワールにより造り手により 変幻の妙を見せるピノ・ノワールの神秘を探る

ワインな日々~ブルゴーニュの魅力~
ドメーヌ・ペロ・ミノ ブルゴーニュ・ルージュ VV 2008
購入日    2010年9月
開栓日    2011年11月27日
購入先    ヴェリタス
インポーター ラック・コーポレーション
購入価格   3180円

12月に入って、今年もプレゼンがあと1つ、ということになって少しホッとする。
日々の診療が忙しいのは毎度のことで、今日もまた診断に難渋する患者さんに
頭を使ったが、こんなことをやっている間はボケないで済みそうだ。

今日は午後が休診の日だったので、所用で家内と千里中央に出かけた。
家内に付き合って入った本屋さんで、「父・宮脇俊三への旅」という文庫本を見つけた。
鉄道紀行作家である故宮脇俊三の娘さんである宮脇灯子という人が、父親について書いた本である。

一部を読んだだけだが、宮脇俊三は大変な遅筆で、1ヶ月にせいぜい100枚程度しか
書かなかったそうである。
文章の推敲に多くの時間を割いていたらしい。

この人の文章には隙がなく、非常に緻密に仕上げられていると感じるが、
やはり入念に練り上げられたものだった、ということである。

意外なことに、最晩年には酒浸りの生活となっていたようで、
ろくに食事も摂らず朝から酒を飲んでいたようだ。
あれほど知的な文章を生み出す人が、晩年とはいえ酒に溺れる生活になるとは、
ちょっと信じられない気がする。

「父は六十を超えたあたりから筆力がおち、酒の力を借りて書くようになった」
という文章が出てくるが、わたしなど酒の力なくしてこんなブログを続けることはできない。

いや、名文家と自分を重ねるとは、大変不遜なことを書いてしまった。
わたしは医師を引退したら鉄道紀行作家になりたい、と冗談で言っているのだが、
全盛期の宮脇俊三の文章を読むと、それが如何に現実的ではないかが分かる。
冗談にすることすら憚られるくらいである。

この人がいたおかげで、少なくともあと半世紀は、
わが国に「一流の鉄道紀行作家」というのは出現し得ないのではないだろうか。

そんな作家でも酒の力を借りるくらいだから、わたしも酒の力を借りて
ブログを書くくらいは許してもらうことにしよう。


さて、ブルゴーニュの裾ものの記事が続く。
11月は異常に忙しかったから、まともにワインに構っていられなかった、というのもあるが、
実はワインの状態を確認したいという目的もあって、わざとこのあたりのワインばかり開けて
検証している。

前回の記事にしたルロワのガメイは論外として、このレベルのピノ・ノワールばかり開けていても、
もはや面白くも何ともない、と思うようになってきた。
ピノ・ノワールが本来の魅力を感じさせるのは、もう少し上のレベルからなのだろう。

今回のミノさんは、先日開けたブルゴーニュ・ルージュより約500円高のVVである。
2002ヴィンテージの同じワインは、2005年に1780円で売っていたから、
5年で倍に高騰したことになる。

非常に残念なことだが、内容は倍ほど美味しくなっているはずもなく、
そのあたりにブルゴーニュ・ワインの悲哀を感じる。
この価格になると、裾ものとしてもはや買う価値があるのか、はたと立ち止まって考えてしまう。

ともあれこのペロ・ミノ、明らかにVVの方がコクと深みがあってワンランク上である。
価格以上の差はある、と言っていいと思う。
しかし2002と比べると、やっぱりずいぶん軽めの造りになっている。
これは単にヴィンテージの差ではなく、造り手が多少方針転換した結果だろう、と想像される。

薄いピノ・ノワールを好むわたしでも、ミノさんのACブルは濃いままでいてほしかった。
こんなことを書いてしまうと、造り手に対して大変失礼ではあるのだが、
たまには高級なカップ麺を食べてみたくなる、のと同じ発想なのかも知れない。