アキュイールの世界 | ワインな日々~ブルゴーニュの魅力~

ワインな日々~ブルゴーニュの魅力~

テロワールにより造り手により 変幻の妙を見せるピノ・ノワールの神秘を探る

わたしがよく行くフレンチの名店として、アキュイールとハジメがある。

二つ星のアキュイールには今年になって4回も行っており、うち1回は20人で貸し切った。
三つ星のハジメにも、実は今年になって3回訪問している。
ハジメはなかなか予約が取れないこともあって、ブログに書いたことは1回しか
ないのだが、実はこれまで6回も行っている。

アキュイールとハジメとどちらが良いですか、とか
二つ星と三つ星の差はちゃんとありますか、などとよく聞かれる。

その質問に対するわたしなりの答えは、以下の通りである。
料理のレベルに差をつけることなどできない。
料理も含めて、これら2つの店にはそれぞれ個性があるから面白い。

アキュイールの方がよりカジュアルで、良く言えば融通が利く。
ハジメの方はどちらかと言えばフォーマルで、どことなく勿体ぶっているところが面白い。
といっても、決して堅苦しくはない。

価格はアキュイールが少し安いし、3000円でワインの持ち込みが可能である。
一方ハジメは持ち込みを受け入れていない。
2店ともワインリストは充実しているが、持ち込みを受け入れていない分だけ、
ハジメの方が品数は少し多いようだ。

いずれの店もワインの価格はリーゾナブルで、ソムリエと相談しながら
ワインを決めるのは楽しい作業である。
予算と好みをちゃんと伝えれば、ワインに詳しくなくても料理とのマリアージュを楽しめる。

シェフの奥様を含むアキュイールの女性スタッフ3人は、美人ソムリエ3姉妹と呼ばれる(@ブル魂)。
さらに忘れてならないのがメートルの大林さんで、ワインに対する知識も豊かだが、
この人の明るいキャラクターが店の性格を決定づけている。

一方のハジメでは、最近フロアスタッフが増員され、女性ソムリエもおられるようになった。
しかし、以前からの長身イケメンソムリエの活躍は相変わらずである。
アキュイールにはワインを持ち込ませてもらうことが多いが、
ハジメでは、いつも彼が勧めるワインを楽しませてもらっている。

最近彼の成長ぶりは著しく、とてもよく勉強されているようで、
さすがは三つ星レストランのフロアを任されているだけのことはある、と思う。

これら2店は甲乙つけがたいのだが、ハジメは今後も三つ星であり続けるだろうし、
アキュイールは良い意味で二つ星であり続ける、と思う。
要するに星の数はレベルの差なのではなくて、目指す方向性の違いなのだ。

神戸にカ・セントというこれまた予約の取れない三つ星レストランがある。
ここには1回しか行ったことがないので、大きなことは言えないが、
ちょっと人気先行の感がしないでもない。

まだ30才過ぎの若いシェフで、これからも伸びていくだろうと思うが、
とにかく予約が取れないので、何度も通うことが難しく、自宅からもやや遠いので、
定点観測するのは難しそうである。


さて、今回は7月21日に訪問したアキュイールの記事である。

単に面倒くさい、という理由で、ブログに書かないことも多いのだが、
3月、4月、6月に引き続き、今年になって4回目の訪問である。
行くたびに新鮮な発見があるから、本格的なフレンチなのに、飽きることがない。

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モリーユ茸のビスケット

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イタリア産モッツァレラとトマトのスープ

スープをかけて料理が完成

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トウモロコシのブランマンジェとオレンジの泡

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愛知県産鮎のフリットと肝のリゾット

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フォアグラとイチジク

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長崎県産太刀魚のカダフィ包み

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モヒートのグラニテ

$ワインな日々~ブルゴーニュの魅力~
スペイン産イベリコ豚のロティ

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レピノスモークと新ジャガイモ

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桃のコンポートとハーブティーのジュレ

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タルト・ミルティーユ

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フィナンシェのアイスクリーム

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小菓子

今回も料理は一切手抜き無く、シェフの全力投球が見て取れるものであった。
メインが豚だったので、珍しく全体のボリュームが大きく、
普段の訪問より満腹感が大きかったが、これは善し悪しではあろう。

個人的な好みからあえてコメントするとしたら、何度も通っているうちに、
ここの料理の全体の流れから、フォアグラの存在は少々重く感じるようになった。

フォアグラのミルフィーユは、シェフの得意料理の1つだが、
年齢の高い客にはやや重く、全体のバランスから、軽めのものと置き換えた方が、
最後の印象が一層鮮烈になるように思う。

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デヴィッド・クヴルール ブリュット・ブラン・ド・ブラン・ミレジム 2005
購入日    2011年4月
購入先    うきうきワインの玉手箱
インポーター ヌーヴェル・セレクション
購入価格   6640円

持ち込んだものだが、大林さんとソムリエのマダムに褒めて頂いた。
個性的(よく外れる?)クヴルールにあって、安定したシャンパーニュのようである。
ボディがしっかりしている良いシャンパーニュだと思う。

シャトー・ル・ピュイ マリー・セシル ブラン 2008
インポーター テラヴェール

大林さんのお勧めで開栓したお店の白ワインである。
ボルドーのコート・ド・フランのワインで、セミヨン100%のビオ系ワインだそうだ。

開栓直後はやや細めで繊細、ちょっとペトロール香を感じたが、
時間とともに果実が姿を現して、品のある甘さが感じられるようになる。
シャルドネでもソーヴィニオン・ブランでもない、独特の香味があるのが特徴で、
フォアグラの料理とは特によく合う。

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ミシェル・グロ ヴォーヌ・ロマネ 1er クロ・デ・レア 2005
購入日    2007年11月
購入先    かわばた
インポーター モトックス
購入価格   10000円

言うまでもなく個人的には定番のワインだが、まだ少し早めの開栓だったようだ。
とにもかくにも、香りは豊かだが知性的に過ぎ、淫靡でなく、エロくなく(同義か)、
従って耽美的でない。
香りも硬くて、舞い上がるが広がらない。なので美味しいが面白くない、というワインである。

とっても良いワインを造るのに、結局のところ大人気になって取り合いになることがないのが
分かる気がする。
大林さんとも感想が一致したのだが、造り手の性格の反映かも知れない、と思う。

まだ開店以来3年数ヶ月だが、年単位で見ると、明らかに料理の洗練度が増しており、
シェフの成長ぶりが見える。

繰り返し通うと、料理は創造であり、芸術である、ということが
徐々にわたしにも分かってくるようになってきた。

やっぱりこの店のレベルはとびきり高い。