先週の学会がらみのワインを更新したいところだが、その前にちょっと手抜き更新を。
学会があけた今週は珍しく公用も宴会もなく、比較的自由になる時間があったのだが、
例のインフルエンザ狂騒曲のため多少振り回された1週間であった。
わが診療所でも15日から季節性インフルエンザの接種を始めたのだが、
接種者は今日までにもう80人を越えてしまった。
1階下の内科の予約はたった1時間で数百人が埋まったそうだから、1週間余で80人なんて
一般内科に比較すれば大した数ではない。
しかし何の宣伝もしていないのに接種希望者がやって来て、受付で押し問答になるので閉口する。
昨年まで勧めても乗り気でなかった人までが、今年に限って接種を要求してくるし、
新型のワクチンはどうなるのだ、早くしてほしいと訴える。
新型インフルエンザが大流行しているからといって、今年の季節性インフルエンザに
何か変化があるというわけではない。
今冬も例年と同じように流行が来ると思われる。
季節性インフルエンザで例年1万人が死亡している(統計の取り方による)。
新型インフルエンザの死亡者(疑い例も含む)は現在までに29人である。
新型インフルエンザの入院患者の9割は19歳以下である(先週のニュースによる)。
上の3行を読むだけで、ある程度の情報が得られると思うのだが、
世間の多くの方々は、季節性インフルエンザと新型との区別もついていない。
「年寄りは新型インフルエンザのワクチンは後回しや。年寄りははよ死ねということやな」
とまで言う人もあるが、高齢者に対するワクチン接種の重要性はどうなのか、
上の3行を読めばある程度は分かるはずだ。
マスコミ報道に煽られるのは、読む側の理解力というか、受け止め方にもよるわけで、
一方的にマスコミ報道の姿勢を非難すれば済むという問題でもなさそうだ。
例年だったら、希望者全員分のワクチンはあるのだが、今年は昨年の80%以下しか
入手できないのに、希望者は大幅に増えている。
インフルエンザに限らず、政治報道などでも明らかに風評操作を狙った報道が
いやになるほど目につく。
マスコミは国民を舐めきっているとしか思えないが、インフルエンザ狂騒曲を経験すると、
これもきっとどうしようもないことなのだろう、という気持ちになる。