最大公約数的だが旨い・・ボランジェ | ワインな日々~ブルゴーニュの魅力~

ワインな日々~ブルゴーニュの魅力~

テロワールにより造り手により 変幻の妙を見せるピノ・ノワールの神秘を探る


ボランジェ スペシャル・キュヴェ ブリュット NV
購入日    2007年2月
開栓日    2008年3月31日
購入先    ウメムラ
インポーター ラ・ラングドシェン
購入価格   6400円

昨日から後期高齢者医療制度というものが始まった。
3月までの保険証は使えなくなり、保険証番号もまったく変わってしまうので、
うっかり保険証を忘れてきた患者さんへの対応に困る。
基本的には、一旦自費扱いにして全額負担してもらわなければならないようだ。
保険料滞納者にはまず全額負担させる、という方針の一環かも知れない。

この医療制度のネーミングは非常に評判が悪く、うちの患者さんにも「後期高齢者」と呼ばれることに
不快感を表明される方がおられた。
政府も早々に気付いたようで、福田首相が急遽「長寿医療制度」と名前を変えるよう指示したそうだが、
内容が変わるわけではない。

この制度の目的はただ1つ、「医療費削減」である。
要するに、年金をもらう、税金を払わない、医療費をジャバジャバ使う老人は早く消えてください、
という制度ではないか、と考える医師は多いようだ。
「後期高齢者不要制度」と呼ぶ人もいるそうだが、日本の成長期を支えてきて老人になった人に対する
処遇としてあんまりではないか、と思うと同時に、自分が老人になった頃にはどうなっているのだろう、
という不安も感じる。

ま、そういう暗いことは抜きにしてワインだけは遠慮無く開栓していきたいものだ。
先週末にある会合でスタンダードのモエ・シャンドンを飲んだのだが、頼りなく感じて不満を覚えた。
1流どころのシャンパーニュを日々開栓していると、大したもので知らず知らずのうちに
舌が肥えてきているのである。
ついでに下腹部も肥えてきている。

このボランジェはモエとは大違いで、さほど細かくはないが泡も長く立ちのぼり、
何より酸味と甘みのバランスが良くて輪郭がくっきりしている。
約10ヶ月前に開けた際の印象にも「重厚感があり、芯がしっかりしている」と書いたが、
まさにその通りである。

こういうグラン・メゾンのシャンパーニュに、何か突出した個性を求めるのは無い物ねだりであり、
この安定感が常に得られるとしたら、この価格は安いとさえ感じる。
最近特にハズレのピノ・ノワールによく出くわすので、不安定なブルゴーニュにも
このシャンパーニュのようにいつでも安心して開栓できるワインがあればいいな、と思ってしまう。

もっとも、シャンパーニュに対するよりブルゴーニュに対しての方が、自分の要求水準が高いのかも
知れないのだが・・