あなたの高級ワイン、ホンモノですか? | ワインな日々~ブルゴーニュの魅力~

ワインな日々~ブルゴーニュの魅力~

テロワールにより造り手により 変幻の妙を見せるピノ・ノワールの神秘を探る


この写真はイメージで、本文とは関係ありません。

たとえば今ネットで検索したら、超レアなワインが見つかったとする。
残りわずか1本。
2万円と高価だが、数年置いて飲み頃になれば、レストランで7万円以上の値がつく垂涎のワインだ。
さあ、クリックして購入だぁ~

こんな行為に警鐘を鳴らす記事がある。
大阪でワイン大学を20年以上にわたり主催されているgeorgesさんのブログがそれである
(アメブロのミラーサイトはこちら)。

詳細は元ブログを参照されたいが、かいつまんで書くと下記のごとくである。
georgesさんが昨日開けられた、エマヌエル・ルジェのACブルゴーニュ2003のキャップシール
はトップだけ色が変わっており、コルクは不自然に変形したものであった。
内容はブルゴーニュの2003にしては濃い色で、ガメイ香がしている。
そしてその産地はボージョレの有名どころではないかと思われ、明らかにACブルゴーニュとは異なる。
(インポーターがどこなのか興味深いところではあるが、georgesさんのブログでは
 明らかにされていない)
georgesさんとは昨年来何度かご一緒しているのでよく分かるのだが、
この方がニセモノだと断言されるなら、ニセモノであることは間違いないだろう。

1万円を越えるワインとなると、偽物が多く出回っている、という指摘がある。
ロマネ・コンティの1年の生産量の数倍が日本の繁華街で毎年開栓されている、というウワサもある。
わたしのようなシロウトにはどこまで真実なのか分からないが、業界の人にとっては
常識なのかも知れない。

そう言われてみれば、わたしにも思い当たる節がないことはない。
3000円くらいまでのワインを開栓しても大きく外れることはないが、
時々無理をして1万円前後のワインを開栓すると、3本に1本くらいガックリくる。
それらは古いヴィンテージだったりするからリスクもあるわけだし、普通ならピノ・ノワールの
脆弱性のせいにして納得したりあきらめたりしてしまう。
だが待てよ、最初からフェイクだったりする可能性はないのだろうか。

3000円のワインの偽物を造っても儲からないから、どうせなら高いワインのフェイクを
造りたくなるのは贋作者として自然である。
高いワインほど開栓時期が遅くなるので、数年から10数年も経って開栓されたら
ますますバレる危険性は少なくなる。

今回georgesさんが紹介されたフェイクワインはただのACブルじゃないの?
と安易に思うなかれ。
先日ネットでこのワインの2005を見かけたが、何と6400円もしていた。
さすがエマヌエル・ルジェと言うべきだが、フェイクの対象としては多少中途半端な値段だな、
とも思う。

ワインがますます高騰しつつある現在、偽物は増えることはあっても減ることはないだろうと
想像される。
わが国で出回っているブルゴーニュのグラン・クルの30%がニセモノだ、なんてことに
もしなったら、中国産の冷凍食品と同じで誰も買わなくなるだろう。
そうなったらきっと業界も大あわてで小売店の末端まで原産地認証を厳密に徹底するだろう。
たかが298円のギョーザですらできることだから、1万円以上のワインでできないわけが
ないじゃないか。

「高級ワインはニセモノだらけ」という記事が新聞紙上を賑わす時代が来たら面白い、
などと心の底で期待するというのは、わたしやgeorgesさんのような(失礼)
ひねくれ者の発想なのだろうか。