ドメーヌ・ルネ・ルクレール グリオット・シャンベルタン 1998
購入日 2006年5月
開栓日 2006年9月24日
購入先 うきうきワインの玉手箱
インポーター サントリー
購入価格 9980円
3日ばかり仕事場を閉めて、職場のメンバーとともにグアムに行ってきた。
珍しく向こうでは雨ばかりであったため、柄にもなくブランドショップ巡りに割く時間があった。
ブランドものは、今ではネットショップなどでいくらでも探せるから、新着もの以外では
価格的メリットはなさそうである。
しかしブランドものも、DRCのワインのように、正規ルート以外には偽物も出回っているから
ややこしい。
さて、先日来、澱だらけであった1本目にクレームをつけて、このブログにも顛末を書いたワインの
2本目である。
インポーターはサントリーだが、その後100%子会社のファインズに引き継がれている。
澱だらけであった1本目の残りを送り返し、ファインズおよびクルチエから原因報告を受けたが、
その原因は、酸化防止剤の亜硫酸不足による、という内容であったことは、先日記載した。
その後このブログにも書いた反論文を、ファインズにも知らせたところ、
責任者のT氏から、きちんと返信のメールをいただいた。
その一部を転載する。
今回は、生産者に直接連絡を取り、当該製品の製造・出荷について詳しく確認して参ります。
私共としましても、今回のことを契機として、さらに良いワインが日本のお客様に提供される
ようになることを願っています。その意味で、出来る限りの情報を収集し、納得のいただける
説明をできるよう努力を致しますとともに、生産者に対しても正すべきは正す姿勢で
臨んで参ります(後略)
わたしはたった1本のワインの状態を報告しただけなのだが、たいへん真摯な対応である、
と言っていいと思う。
しつこいようだが、わたしは開栓したワインが不良であったことを、インポーターや小売店に対し
怒っているわけではなく、唯一事実を知ることのできる消費者として、情報提供するのが
重要と思っている。
そこで今日の2本目だが、1本目とは状態はかなり違った。
以下に記載するこのワインの状態からでも、先日の報告書が矛盾に満ちていると分かる。
まずコルクだが、不良ではないにせよ相変わらずしょぼく、ドメーヌの刻印も入っておらず、
とてもグラン・クルに使うものとは思えない代物である。
(ファインズに送り返した1本目のコルクには、ドメーヌの刻印が入っていたと記憶している)
これを見ても、このドメーヌが本腰を入れて特級畑のワイン造りをしているようには思えない。
グラスに注ぐと、明らかにえんじ色がかっており、相当に酸化が進んでいるように見える。
ただし1本目のように混濁していることはなく、状態はまったく異なる。
グラスに注いでも芳香は立たず、鉄さびのような香りだけが漂う。
これも1本目とはまったく異なり、腐臭はしないが、残念ながらこの時点で失格と分かってしまった。
もしレストランで出されたら、口を付ける前に却下するワインである。
味はまったく平板で、果実味はほとんど残っていない。
グラスに注いでから1時間ばかり放置しておくと、もはやワインとは言えない赤い液体に
なり果ててしまった。
ボトル壁には澱が付着しているが、その量は多いとは言えず、底にも澱は多くないようだ。
これだけでも、1本目とはまったく異なる状態である。
この2本目の状態なら、亜硫酸不足による造り手から出荷後の変化である、
という説明でも納得できるかも知れない。
微妙な問題だが、もしこれが最初の1本だったら、ただちにクレームをつけるかどうか、
悩ましいところである。
さてさて、結果的には、この造り手のグリオット・シャンベルタン98は、2本ともダメだった。
ファインズのT氏は先日の電話で、ファインズで保管している同じワインを確認したら
状態は良くなかった、と言っておられた。
となると、2006年の現在、残されたこのワインのどのボトルにも、もはや希望は
持てなさそうである。
クルチエ氏は、
「ドメーヌ ルネ ルクレールが素晴らしいワインをつくるために最善を尽くしていることを
ご理解下さい」
と書いていたが、結果的に素晴らしいワインはできずに、8年で枯れてしまうワイン造りを
してしまったことになる。
これを造り手個人の資質や能力のせいにしていいものかどうか・・・
実は、同じワインの2001も同時に2本購入したのである。
やっかいなものを抱え込んだと言うべきか、面白いものを持っていると言うべきか。
インポーターにすれば、頭痛の種みたいな話なので申し訳ないが、
わたしは元来純粋に美味しいワインが飲みたいだけなのである。
このブログを始めた1年半前には、たまに当たるからやめられない、ということは分かっている
つもりだったが、ここまでブルゴーニュの上級ワインにハズレが多いとは思ってもいなかった。
ボルドーの5大シャトーなら、造り手出荷後の管理さえきちんとしておけば、
まず裏切られることはない。これはおそらく相当な努力の結果なのだろう。
個人個人が小規模生産しているブルゴーニュには、同じことは要求できない。
「まともな金銭感覚を捨てないなら、ブルゴーニュのグラン・クルには手を出しなさんな」
と、今日のルネ・ルクレールのグリオット・シャンベルタンのボトルが、わたしに小声で
語りかけているのが聞こえる。