泥水ワイン、その後 | ワインな日々~ブルゴーニュの魅力~

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今年の6月25日に開栓し、泥のように濁って腐敗臭がしたワイン関する報告である。

ドメーヌ・ルネ・ルクレール グリオット・シャンベルタン 1998
購入日    2006年5月
開栓日    2006年6月25日
購入先    うきうきワインの玉手箱
インポーター サントリー
購入価格   9980円
開栓時の記事はこちら

開栓したがこんなものは飲めるはずもなく、小売店である、うきうきワインの玉手箱に
メールで連絡した。
すると、残ったワインをインポーターが取りに伺いたい、との連絡をもらった。
このインポーターはサントリーになっているが、今年1月からサントリーの100%子会社で、
高級ワインの輸入・販売は、ファインズという会社が担当しているそうである。

東京からわざわざ取りに来てもらう、というのも面倒なので、残ったワインを宅急便で同社に
着払いで送った。
その約2週間後に、文書で連絡があった。
報告書には、サントリー品質保証推進部安全性科学センターによる分析結果が記載されていた。
それを、そのまま以下に記載する。

【官能検査結果】
当該品は開栓から1週間ほど経過していますが、明らかに混濁が認められ、香味のバランスが崩れ、
酸味を強く感じ、お客様のご期待に応えられる品質でないことを確認しました。

【分析結果】
アルコール分(v/v%):13.0%
遊離亜硫酸(mg/l):ND(検出せず)
総亜硫酸(mg/l):21・・・(通常より、数値的には低いと思われます)
揮発酸(g/100ml):0.08・・・(通常ワインで、0.10以下)
総酸(g/100ml):0.73・・・(異常は認められませんでした)
上記分析結果から、微生物汚染による劣化などは認められませんでした。
一方、酸化防止の機能を果たす遊離亜硫酸が検出されなかったことから、今回の原因としては、
酸化による色素混濁が発生したためにワインに濁りが発生し、併せてワインの中のポリフェノール
含量が低下することで、香味のバランスが崩れ、酸味が強く感じられたものと考えられました。
コルクには特に異常がなかったことから、設計時の亜硫酸添加量が低いことによって起こる現象と
推測されます。
分析結果は以上です。

さらに報告書は続く。要約すると、次のようになる。
このワインは、ルアーブル港を2000年7月29日に出港し、東京港に同年8月24日に
入港し、以後はサントリーが契約する倉庫(名称明示)に保管されていた。本年1月に
ファインズが在庫を買い取り、別の倉庫(名称明示)に保管されていた。

これを当然と言っていいのか分からないが、フランス出航後の記録はきちんと
残されているということである。

さて、ここで1回目の報告書は終わっており、フランスのクルチエに連絡を取ってから、
再度連絡いたします、ということであった。
このクルチエとは、ワインの仲買人のことだと思われるが、このワインは、サントリーが
フランス人のクルチエを通して買い付けたものだと分かる。

以上、この1回目の報告書を要約すると、次のようになる。
ドメーヌにおけるワインの生産とインポーターが買い付け後の管理に問題はないが、
亜硫酸量が少なかったために、予期せぬ酸化が起こってしまい、結果として
「お客様のご期待に応えられる品質でない」状態となった。

そして、クルチエのコメントを含む、2回目の報告書が、8月22日付けで送られてきた。
精読すると、いくつかの点で、反論したくなる。

長くなるので、つづく。