免疫学者との再会 | ワインな日々~ブルゴーニュの魅力~

ワインな日々~ブルゴーニュの魅力~

テロワールにより造り手により 変幻の妙を見せるピノ・ノワールの神秘を探る

昨晩、麻酔科医会の先生から紹介いただいた、免疫学者の教授と再会し、
ル・ペガーズで食事会となった。

普段から親しくしている麻酔科医会の先生方2人と教授、わたしの4人でワインを4本開栓した。
会話に没頭していて、迂闊にも持ち込んだワインの写真を撮るのを忘れてしまい、
ボトルも持って帰らなかったので、写真がない(涙)。

フランソワーズ・ベデル アントル・シエル・エ・テール[NV]
購入日    2005年5月
開栓日    2006年8月12日
購入先    かわばた
インポーター ??
購入価格   4880円

2本買った自然派のシャンパーニュである。
ブログには書かなかったと思うが、昨年開栓した1本は実に香りが良くて感心した。
今回もほぼ期待通りだったが、香りは昨年の方が印象的だったようにも思えた。

さて、2本目は教授にご持参いただいた、プイィ・フュメ 2003であった。
まさにこの時期に最適。切れ味良く、繊細な中に微妙にコクを湛える良いワインであった。
不覚にも造り手すら失念した。
それだけ趣味や音楽の話に夢中になっていたのである。

この教授の音楽への造詣は相当なものである。
「モーツアルトの音楽は、一小節の中で転調する」「カラヤンなどいなくてもいい指揮者だ」
「ベートーヴェンの交響曲は駄作の山だ」「ベートーヴェンは第九を書くことで結局大衆に迎合した」
等々、普通の音楽ファンが聞いたら激怒するような話が、われわれの間では、当然のように語られる。


シャトー・ル・テルトル・ロートブッフ 1992
開栓日    2006年8月12日
インポーター 重松貿易
ブドウ品種  メルロー85%、カベルネ・フラン15%

この教授推薦のサン・テミリオンが、昨晩の主役であった。
今回はゆっくり飲めたが、ほどよいタンニンにおとなしい果実味がある。
柔らかくて押しつけがましさがない。酸味も少なく、いかにもボルドーの右岸らしいワインであった。
ボルドーでも、単にパワフルなワインが良いとは限らない、ということをはっきりと分からせる。

わたしもボルドーは右岸の方が圧倒的に好きで、自宅に買い込んであるのも、ほとんど
サン・テミリオンかポムロールである。
例えばシャトー・ラフルール・ペトリュス2000は1ケース購入してあるが、
これが飲み頃になったなら、きっとこの教授を心底感心させられるだろう、と思った。

ミシェル・グロ クロ・ヴージョ 2001
購入日    2005年5月
開栓日    2006年8月12日
購入先    かわばた
インポーター モトックス
購入価格   7580円
昨晩は、ロートブッフ1992に十分対抗できるブルゴーニュを持ち込んだつもりであった。
安定性を優先してグロにしたわけである。
実際同じ時に購入した6月の1本は若いものの、もう飲めた。

しかし、残念ながら今回の1本はずいぶん平板であり、期待は大いに外れた。
ただ、ブーケだけがグラン・クルであることを強く主張していた。
まったく、ブルゴーニュのグラン・クルは、どうしてこんなに思い通りの姿を見せてくれないのだろう。

昨日いっしょにル・ペガーズの料理を楽しんだ面々は、じつに得難い友人たちだ。
麻酔医の2人は一流の臨床家であり、わたしと共通の患者も多く、日々たいへんお世話になっている。
免疫学の教授は、専門外のわたしには分からないが、間違いなくその分野では
わが国を代表する学者だろう。
家内の小学校の同期生で、若くして東大教授になった(家内曰く)超秀才とも親しいと聞いた。

昨晩たいへん残念であったのは、この希有な五感の持ち主である免疫学者を、
ブルゴーニュで唸らせることができなかったことである。
これほどブルゴーニュばかり飲んでいるわたしでも、心底感嘆するブルゴーニュは年に数本しか
ないのだから致し方ないのだが、次回はわたしのワインセラーの前で、ワインを開けたいものだ。