ル・デュモン ニュイ・サン・ジョルジュ 1級畑 オー・ブド 1989
購入日 2005年3月
開栓日 2006年4月9日
購入先 かわばた
インポーター 山信商事
購入価格 6780円
ル・デュモンというネゴシアンは、日本人の仲田さんという人が2000年から代表を務めるという、
そこここで話題になっている造り手である。
あのAlcoholic Armadilloのいのまた専務も、HPで賞賛されていることからも、
信用に足る造り手と考えて良いだろう。
ただし、それは新しいヴィンテージのワインでの話であって、今日開栓したのは、この造り手が
ネゴシアンとして買い付けてきたものである。
仲田氏が、娘の誕生を祝って発売したという話だが、きっと厳選されたものに違いない、
と考えるのは人情である、のかも。
だが、まずい。
わたしは古酒が好きで、これまでもかなりの数の古酒をここでコメントしてきたが、
このワインはわたしを幸せにはせず、イライラさせるだけであった。
いちおう古酒としての体裁は整っている。
丸くなった酸味の中に、果実味も多少残ってはいるが、飲み進めるとフラストレーションが溜まる。
もうこうなると、理屈ではない。
おそらくどこかで何かが狂っているのだろう。
キャップシールは回り、はがしても液漏れの徴候はない。
液面はシール下縁から2.5cmも下がっている。
コルクは少し痩せていて、上部まで液体が染みていた。
このコルクの状態から、このワインは万全ではなく、造り手(またはネゴシアン)の意図と
かなり異なった状態になって、わたしの手元にある、と考えた方がいいかも知れない。
リリースされて時間が経って、もう飲み頃を過ぎているのかも。
今夜開栓するまでに、実はいやな予感はあった。
というのは、同じ時に同じところから購入した、同じネゴシアンのヴォーヌ・ロマネ 1988を
ちょうど1年前に開栓したのだが、そっちの方が輪をかけてまずかったのだ。
ほとんど臨終香に近い香りも漂っていた。
今日のワインは、さすがに臨終香はしないが、いつまでたってもイガ味は残り、
品のない香りがグラスに満ちる。
六覚燈でよく遭遇する、美しく熟した古酒とどこがどう違うのだろう。
こういうワインを開けると、ブルゴーニュの古酒はバクチである、という言葉が真実みを帯びる。
購入したかわばた酒店からは、ときにこんなものが出てくる。
昨日紹介した大当たりのミシェル・グロもここで購入したものだが、
まさにこの店の商品は、玉石混合の極み、開けてびっくり玉手箱。
今日のワインの方が、昨日のグロより高い。
酔狂には金がかかる、と言うべきか。