2018 全米選手権 感想 | 閉じた眼

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40年以上愛好するフィギュアスケートに関する自己流観戦コラムです。
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全米選手権が、今日の午前中のアイスダンス・フリーで競技終了。男女シングルはJSportsが、ライブ放映していましたが、ペア&アイスダンスは、13日(土)放送のため、YOUTUBEでトップ5くらいの演技をチェックしました。オリンピック代表選手も発表済(アメリカは種目ごとに個別に発表するんですね)。オリンピックと世界選手権の代表は同じメンバーで、四大陸は予想通り、オリンピック代表以外のメンバーが選出されています(台湾での開催なので北米からの移動時間の負担が大きいので避けると思われました)。試合での演技&代表選考結果の感想です。

 

「女子」

意外なことに、女子が一番予想外のことはあまり起きず、競技結果も代表選考もほぼ予想通りでした。

ブラディ・テネルが初優勝。フリーの演技は、ロンバルディア杯の時より緊張のためか、固い印象はありましたが、2018ミス・パーフェクトが強さを発揮しました。長洲未来は、トリプルアクセルを決めていれば、10年ぶりの全米女王だったかもしれませんが、4年前に全米3位になりながら逃したオリンピック代表に決まったのは、よかったと思います。

女子で印象に残った演技は、ジュニアのスター・アンドリュース。自身の歌声を吹き込んでいるホイットニー・ヒューストンの歌で滑ったフリーは、一番勢いのある演技に映りました。

昨年の全米選手権で鮮烈な印象を残したジュニアのテッサ・ホンですが、ショート、フリーともにジャンプが決まらず、世界ジュニアの切符も逃しました。姿勢とかポジションは美しいと思うのですが、今一つスピード感が欠けているようには感じました。

オリンピック代表:ブラディ・テネル、長洲未来、カレン・チェン (全米1,2,3位がそのまま代表に)

四大陸代表:スター・アンドリュース、マライヤ・ベル、アシュリー・ワグナー

世界ジュニア:スター・アンドリュース、Ting CUI

 

「男子」

男子は、ショートの結果は予想通りでしたが、フリーは荒れました。4Lz以外は、抜群の安定感のあったリッポンが、2つのジャンプをパンクは、誰も予想できないことでした。それ以上にロス・マイナーのノーミス演技は、私の想像を超えていました。

今シーズンの最初、ロス・マイナーは好調に見えました。GPシリーズのアサインからも外れてしまい、やっとエンジンがかかったのかと思える演技を、オータム・クラシックやフィンランディア杯で見せていました。その甲斐あって、スケート・アメリカの開催国枠にアサインされました。そこでいい演技をするのかと期待しましたが、フリーで失速。スケートアメリカでいい演技をしていたら、オリンピック代表にも選ばれたのではないのかなというのが私の感想です。それにしても、補欠の2番目でなく1番目でもよかったのではないかと思いました。またオリンピックに選ばれなくても、世界選手権の代表に選ばれてもよかったのではと思いました。

男子で一番印象に残った演技は、ヴィンセント・ゾウのショートです。あの4Lz+タケノコ3Tには、セクシーピンクハートとしかいいようがないです。

ルッツが不調で回避したネイサンは、予定通りの優勝、またフリーも今シーズンのなかでは一番ミスが少なかったのですが、印象薄かったです。あの髪型と衣装は、誰のアドバイスによるものなのかよくわかりませんが、背を高く細長く見せる効果があったのかもしれませんが(ネイサンはとにかく黒が好きみたいですね)、私には?。昨シーズンの衣装の方が素敵でした。ショートは、これまで着ていた黒いシャツ&ズボンでいいと思うし、フリーは、モダンバレエダンサーをイメージするなら、上半身裸のような肌色のぴったりしたシャツに白いぴったりしたスパッツがいいのではと思います(私は、今シーズンの彼のフリープログラムは違和感しかないので、何を着てもらってもいい印象は持たないとは思いますが)。

また、ジュニアの樋渡知樹(ヒワタシ トモキ)のフリーも、ファイターという感じで印象的でした。ジュニアグランプリファイナルに出場していたクラスノジョン、トルガシェフもかすむような演技でした。トルガシェフは、ファイナルでのジャンプの不調でしたが、ジャンプを決めるため助走を長くとる戦略をとったようで、ショートでは成功しましたが、フリーではうまくいかず、世界ジュニアの切符も逃しました。

 

オリンピック代表:ネイサン・チェン、アダム・リッポン、ヴィンセント・ゾウ (全米1、3,4位が代表に)

四大陸代表:ジェイソン・ブラウン、ロス・マイナー、マックス・アーロン (全米9位に終わったアーロンもこれまでの実績で代表に)

世界ジュニア:アレックス・クラスノジョン、キャメダン・プルキネン、樋渡知樹

 

「ペア」

ペアは、5-6組が同じようなレベルで横並びの中1枠を争う形でしたが、優勝したクニエリム組は、ツイストとスロージャンプの質の高さ、迫力で、他の組を圧倒したような気がしました。

今回の大会でペアでもっとも注目を集めたのは、3位に入ったステラート&バーソロメイ組でしょう。この女性のステラートは、TSLのファウンダーであるジェニファー・カークと世界ジュニアの優勝を争った選手で、シニア以降後ケガでほとんど活躍しないまま引退、それから10年ほどたってペアの選手として復帰というストーリーもすごいですが、演技もトップレベルを目指しているところがすごいです。フリーでは4回転スローにも挑戦していました。ショートは、3位でしたが、一番印象に残る演技でした。

印象に残るといえば、昨年の全米選手権で脳震盪で途中棄権となり、今シーズンは試合に出ていなかったケイン&オシェア組もよかったです。特にダンスリフトからスローに入るエントリーが、すごく洗練された動きであったし、全体的に振付とかリフトの形とか、ただ難易度を追求するだけでなく、センスの良さを感じさせました。

 

オリンピック代表:クニエリム&クニエリム組

四大陸代表:ケイン&ルデュク組、ケイン&オシェア組、ステラート&バーソロメイ組

世界ジュニア代表:Feng/Nyman, Lu/Mitrofanov

 

「アイスダンス」

 

アイスダンスは、オリンピック代表争いというよりは、表彰台の並びに注目が集まりましたが、優勝候補のシブタニ兄妹は、フリーで痛いミスがあり、連覇を逃しました。優勝は、私はグランプリファイナルで生で演技を見て以来ハマっているハベル&ダナヒュー組となりました。フリーの演技は、ホット、ホットでした。フリーで1位となったのは、チョック&ベイツ組でしたが、見た印象では、要素の難易度はチョック&ベイツ組がハベルたちを勝っているように思えました。スコアシートを見たところ、やはりチョックたちの方がレベルの取りこぼしがありませんでした。でも全体の印象はハベルたちの方がずっとよかったでした。PCSは彼らの方が高かったのも納得です。

代表争いには絡めませんでしたが、ホワイエク&ベイカー組、パーソンズ兄妹の演技もよかったです。他の国であれば(例えば日本)、十分オリンピックに行けそうであるのに残念です。

 

オリンピック代表:チョック&ベイツ組、ハベル&ダナヒュー組、シブタニ兄妹

四大陸代表:ホワイエク&ベイカー組、マクナマラ&カーペンター組、パーソンズ兄妹

世界ジュニア代表: キャリエラ&ポノマレンコ組、グリーン&グリーン組、ルイス&バイ組