どうも、kenです。
高校2年の体育は、柔道かダンスの選択であった。
女子の中に柔道を選択する人はちらほらいたが、男子はほぼ全員が(一人だけダンスだった)柔道を選択していた。
もちろん僕は柔道選択者である。
柔道選択者は柔道着を購入し、柔道場で体育の授業を行う。
授業では何ヶ月もかけて、受身や組み手、技のかけ方を練習し、最後に、階級別の総当り戦が行われた。
試合である。
女子は1階級、男子は軽・中・重量級の3階級に分けられた。
僕は重量級に割り振られた。
女子の試合は
『あ!!ごめん!!』
やら
『痛かったぁ?』
やら
『きゃっ!!』
などの単語が飛び交い相手を気遣いつつのものであったが、男子の試合はまさに激戦であった。
それぞれが己の面子にかけて勝利にこだわり、戦った。
【オレの方が強い】
そう知らしめるため、そして、柔道場内で力を誇示すべく、相手が友人であっても、試合になれば獲物を見る目で、かかんに組んでいく。
友人だからこそ負けたくないのかもしれない。
男の本能なのである。
さて、試合は全8試合。
僕も勝つことで快感を得るものの一人。勝ち越しを目標に試合がはじまった。
【第一戦】
……敗戦
畳にたたきつけられ測り知れない屈辱感を味わう。(男子の試合はほとんどの試合が一本で決まっていた。かなりさまになっている試合が続いた。)
くそっ…負けた
【第二戦】
第二戦の相手は、同じクラスになったことも無ければ一言も話した事のないやつだった。ただ、廊下ですれ違うたびに、僕は敵視していた(相手はたぶんまったく気にしてないが)。好かないタイプの人間だったからだ。いわゆるちょい不良っぽい調子のり。
負けるわけにはいかない相手だった。
野郎。絶対に負けん。お前見た目はイカツイが“がたい”がひょろい事は知っている。重量級にきたのが間違いだったな。
叩き潰す
試合が始まった。
パワーはこっちが上だと百も承知だったが、やはり試合になると、そう簡単には相手も負けない。
お互いに相手の体勢を崩しはするが、有効打を得る事ができない。
そのまま試合は1分ほど経過した。(戦っていると1分がものすごく長く感じる)
……
さて余談だが、男子3階級の試合のほとんどの決まり手は、「体落(たいおとし)」か「背負い投げ」であった。
特に「体落」での一本がとても多く、みんなが使っていて見飽き、なおかつ見た目の豪快さにかける「体落」を僕は嫌った。
新撰組の小説を以前読んでいた僕は、
「新撰組の隊員はそれぞれ、得意な技を一つしかもたない。それは一度戦った相手と二度戦う事はなく(相手か自分が必ず死ぬから)、唯一の得意技に対する戦略を練られることがないからだ。だから一つの技を極めれば、それが最強となる。」
という内容が頭にこびりついており、とても好きな物の考え方だった。
……
さて、有効打無しのまま試合は続く。
「体落」を嫌う僕は、「体落」以外の技を果敢に狙った。
1分30秒過ぎごろ…
僕は相手の体勢を後方に崩そうと、組んだ状態から右胸で相手の右胸に体当たりすると同時に、左足を踏ん張り、右足を相手後方に持っていき、相手の右足を後ろから思い切りはらった。「大外刈(おおそとがり)」である。
ダァァアアン!!!
相手は背中を畳に打ち付けられ、僕が上からやつに覆いかぶさり、やつが下という状態になった。
僕はやつの顔をみて「ニヤリ」とほくそ笑んだ。
一本勝ちだった。
あまりにも豪快に決まったため、技をかけた僕自身の体にも衝撃が伝わったが、その衝撃がまたなんとも言えず快感であった。
「大外刈」で勝利をもぎ取り、一勝一敗となった僕は、天狗になり、調子に乗り、
『これからは“大外刈のkaneshima”でいく』
と、友達らに豪語した。
その後の試合では「大外刈のkaneshima」であるために、「大外刈」ばかりを狙った。
が、「大外刈」がその後決まる事は一本もなく、まさかの6連敗。
「大外刈のkaneshima」の通り名が轟くことなく、ぶっちぎりの負けこしで柔道の授業は幕を閉じた。
自身の名誉のためにこのホームページを絶対に見ていないであろう当時の対戦相手にここで言っておく。
「柔道の授業中ずっと部活でねんざしててん実は…オレだけ包帯巻いてたやんな…なのに君たちは手加減しない……ショックだったよ…」
あ。ものすごくかっこ悪い終わり方になってしまった。