Day380-ここまでのあらすじ

 コオは、

「莉子のYesを確認したいなら、まずは莉子が施設に確認に行くこと、見学を済ませる期限は来月末。」

「それをやらないなら、私は、もう、この老人ホーム探しの件からは手を引く」

と父に伝えた。父は、「莉子を、ゆっくり時間をかけて説得する」といい、コオは

次の月の末までに、莉子が施設を見学し、意思をはっきりさせるとこ。さもなければ、手を引くことを父に宣言.

 その意思表明は一定の効果はあったものの、結局莉子は、期限ぎりぎりに設定した見学日をドタキャンした。

父は、莉子は期限内に、「ノー」という結論を出したのだから、コオに次を考えてほしいという。

コオは、新たに条件を設定し老人ホームを探したい、と高齢者住宅紹介業者の藤堂を頼る。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

高齢者住宅紹介業者の藤堂は3つの施設を選び出し、見学が決まった。

 


「やはり、とても難しかったです。なんといっても、この辺は・・・首都圏の(老人)ホームでは、価格が高すぎて無理、という都内の方が、結構流れ込んできているので、激戦区なんです。その中で、3つ選びました。」

 高齢者住宅紹介業者の藤堂は、見学日当日、今回行く施設について説明をしてくれた。

 藤堂は、いつものように土曜日、職場までコオを車で迎えに来てくれ、この日、車はすでに遼吾に返してしまっていたコオには、ありがたかった。

「そうですよね…」
「2つは、同じGKグループの老人ホームでして”GKみや”と”GKおの”・・・場所が違います。こちら”GKみや”は駅から遠いですが、バス一本なので、交通は便利です。」
藤堂は説明しながらいつものように、車を施設の駐車場にいれ、コオの乗る後部座席のドアを開けてくれた。

 ”GKみや”。外観のレベルが前回見学した施設より落ちるのは仕方ない。
 しかし、施設の人に、中に招き入れられて、コオは顔をしかめそうになった。

 

 臭い。何だこの臭いは。
 

 なんだか・・・大学の地下道みたいな、カビ臭い、というか古い臭い?でも建物自体はまぁまぁ新しく見えるのだが。

「では、こちらでご説明いたしますので、どうぞ。」

コオと、藤堂は、迎えたスーツ姿の男性に小さな部屋に案内された。