これまでの話、Battle Day0-Day86 のあらすじは、以下のリンクをご覧ください、
*******Ｄａｙ８６以降・前回までの話*********
コオは、父の退院後ケアマネージャー立石と連絡を取あうようになる。
父が退院後すぐ自宅に戻ることはなく、老人保健施設に短期入所していたこと、莉子が父の自宅介護で必要なことを自分で決定できず、立石が困っていることを知る。莉子をキーパーソンとする、という大前提を先に明確にしたうえで、コオが影で動く立石との連携は機能し始める。
ゴールデンウイークにコオは家族4人で最後の幸せなひとときを過ごしたが
旅行から帰った次の日、莉子にケアプログラムを提案するために出かけ、莉子と決裂。コオは、何とか父と言葉を交わしはしたが、疲弊して実家を後にした。
遼吾に状況を話し、助けを求めたが、コオを突き放す遼吾の言葉に、絶望する。
コオは絶望を抱えたままそれでも、日常を送り始めるが、遼吾との距離は、徐々に深く、確実に遠くなっていく。
そのなかで、コオは莉子が決められなかった主治医候補をリストアップし、莉子の友人にコンタクトを取ろうと試み、莉子の受診支援を依頼するため行政のメンタルヘルス相談窓口を利用しようとするが、上手く行かず、焦燥感を深め、コオ自身も少しずつ病んでいく。
そんな時、父から電話が入り、コオはデイケアでのリハビリをもう一度すすめ、父は行くことをコオに約束する。
夜、莉子から電話が入った。 莉子のヒステリックな困るの！！という叫びに、コオは電話を切る。
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莉子からファックスが届いたのは次の日だった。しかしそれは前日の父のデイケアの件ではなく、母の印鑑を送れ、というものだった。銀行の通帳再発行の書類が着いたらしい。
母がコオの名義で積み立てていた通帳を、父はコオに持ってきたとき一緒に母の印鑑も渡していた。コオは、父が入院している間に、頼まれて父の通帳の再発行や印鑑の変更も、これでやっている。それを送れ、ということだった。
実は、コオが再発行の手続きをした後、通帳のうけとりができなかった。というのは、その時コオは印鑑を持っていくのを忘れてしまったのだ。そして、銀行は父の自宅に書類を送るから、所定のことを書き込んで送り返すように、といった。
印鑑をもう一度持っていけばよかったのかもしれないが、莉子と父を交えたあの日から、遼吾と全く意志相通もできず、コオは自暴自棄になっていた。
（ここまでやってんだから、後は莉子がやればいいじゃないの。自分で管理するって言ったんだから）
（何故わたしがこんなに色々やらなくちゃいけないわけ？こっちはこっちで面倒見なくちゃいけない家族がいて、しかもフルタイムで働いてるのに！！）
答えのないたくさんの何故で、押しつぶされそうになっていたコオは、2つの間違いをこのときしてしまった。一つは、銀行がもってこいと言った書類を父の自宅に送ってしまったこと、そしてもう一つは、母の印鑑を、莉子に要求されるがままに、宅配で送ってしまったことだ。
長くコオを悩ませる通帳は、これで完全に莉子の手に渡ってしまったのだった。
