この前、夫カンタロウとレストランへ行った。
俺はビーフカレー、カンタロウは天丼を頼んでいた。
ほどなくして料理が届いた。
「ねぇカンちゃん、このカレーのルーを入れる銀の入れ物って何て名前なの?」
と聞いてみた。
別に意地悪な気持ちや知ってるかどうかを試そうとかいう気持ちはなくて純粋に名前を知りたいだけだった。
「えっと、えっと、あー、何だっけ?確か、うー」
と考え始めたカンちゃん。
この手の質問に答えられないのは恥ずかしいと感じるのか、デート中のランチとは思えないくらい険しい顔になっていた。
俺はカレーをもぐもぐ食べながら、
「いや、知らないなら自分で調べるから別にいいよ」
と気楽に返事をした。
「知ってんのに…歳のせいでどうしても思い出せない」
しょんぼりカンちゃんになっていた。
スマホで調べればすぐに分かるだろうに、普段からカンちゃんはスマホ検索ということを一切しない。
スマホに頼りっきりだと脳機能が低下するかも…みたいに言ってるけど文明の利器に頼ればいいのにと思う。
もちろん俺はすぐに頼るタイプ。
そそくさと調べたみた。
ふむふむなるほど…
「カンちゃん、分かったよ。聞きたい?」
「うん、聞きたい」
ということだったので伝えた。
俺は聞いたことがない名前だった。
グレイビーボート
知ったかぶり(?)カンタロウは
「そうそう、グレイビーボートだった、思い出した」
と手を打っていた。
本当に知ってたんかいな?
そうそう、音楽にはかなり詳しいらしいので問題を出したことがある。
これはグレイビーボートとは違って、ちょっとだけカンタロウを試す気持ち、だった。
「うぉっほん、カンタロウさん。問題です」
「この手のショウタの出題って毎回くだらないから、やりたくな~い」
「慎みなさい。では出題します」
「はいはい、なぁに?」
結局は応じてくれるカンタロウを愛おしいなと毎回思う。笑
「音楽記号クイズです。『f』はフォルテ、『ff』はフォルテシモ。では『fff』は何でしょう?」
その時のカンタロウの「うっ」と答えに窮する顔は写真に撮っておきたいくらいだった。
「えっと、あー、うーん」
音楽には造詣が深いんですよね~?
悩みなさ~い❗️答えなさ~い❗️
「忘れちゃった。そういうショウタは知ってんの?」
もちろん知っている(事前にスマホで調べてますからね)。
「分からない。教えてショウタ」
潔く降参してきた。すぐにギブアップするなんて全く予想外のことだったので、動転した俺も調べていた正解が分からなくなってしまった。
何だっけ?
「フォルテッシモシモ?」
「は?何だって?」
(andante?)
「フォルテッシモシモ?」
「確かショウタは音楽に詳しいんですよねぇ?」
自分で出題しておきながら答えを失念するというまさかの大失態をしてしまい、カンタロウの目前で再度スマホ検索をすることになった。
あぁ、なんたる屈辱や。
フォルティッシッシモ
(非常に強く)
「ショウタ詫びなさ~い❗️」
めちゃ悔しいけど詫びるしかなかった。
そんな言葉、知るわけない