よく言えばリアル女性をリアルに描いた漫画、

正直に言えば、女性の神経質さや拘りやモヤモヤ部分を抽出・拡大して

必要以上に傷つきやすくめんどくさげな主人公に仕立て上げた漫画、

が、たくさんある。

「そうそうそう」と、主人公たちの痛みに同意はしても、

「実際には毎回々々、そんな風に傷ついてられないよね」、

「いちいち傷ついて自己分析している余裕ないよね」、みたいな案件。

 

『セクシー田中さん』の漫画は、私もしばらく読んでいて、

テレビドラマは一度だけ観た

ドラマは原作通りのストーリーだったけど、

原作以上に面白くはなりそうになかったので、一度でやめた。

漫画の方はコミカルさとシビアさのバランスが良くて、

田中さんよりも、朱里ちゃんの頭の良さと、打算・割り切りの大胆さと、

そんな自分をクールに眺めつつも女の子ならではの行動に走るのが好きだった。

でも、田中さんの恋愛云々でグダグダしてきたときに、読むのをやめた。

 

NHKのドラマ『作りたい女と食べたい女』も原作を読んでいて

原作の描き方の丁寧さとか、まじめさはそれなりに好きだった。

ドラマの方も丁寧さは踏襲しているものの、

映像化したら薄っぺらくなってしまって、少しだけ残念だ。

ただ、原作よりも食べ物を作るシーンが長い。そしておいしそうだった。

(ラノベ原作、漫画経由のTVアニメ、『異世界放浪メシ』も、

 犬(?狼なのか?)シーンは原作漫画の方が良いが、

 料理シーンは圧倒的にアニメが良い、と、つい最近書いた。)

 

3、4年前だったか、『凪のお暇』という漫画がドラマ化されていたが、

原作漫画の時点で、私は、主人公の神経質さや行動パターンがピンと来なくて

(どんなにひどい扱いを受けてもウジウジするだけで、抵抗・反撃しない。

 で、挙句の果てにその場から逃亡する。で、また別件でウダウダする。)

だから漫画もわずかに読んだだけでやめてしまった。当然、ドラマもスルー。

でも、神経質系の働く女性主人公漫画のドラマ化の走りだったかな、と思う。

 

『ミステリーという勿れ』は逆に、原作にあった違和感や不自然さを、

ドラマ化したときに、風呂光・池本の登場バランスを変えることで回避した。

警察の使い方がうまい。とても、うまい。

珍しく文句のないドラマ化だとおもった。原作はSFを得意とする漫画家だから、

何かと「クリア」で作りやすいのかもしれない。

ただ、爆弾魔の話はドラマで余計な雑味を入れてしまって、イマイチだった。

原作通りだと、ドラマの1話分に足りず、余り時間が出るのかもしれないが、

余計なことをするなよ、と、思った。

 

『テセウスの船』も原作漫画とドラマの両方を観ていて

ドラマのカッティング(画面構成)まで原作と同じにしてたりして、

「おお!」と思ったし、そもそも主役二人の演技が素晴らしかったのだが、

後半になってグダグダになった。演出が悪いのか女優がダメなのか、

そんな演技されたら、謎解きが謎解きじゃなくなっちゃうやん。

というわけで、一気に残念になっちゃったドラマだ。

 

『岸辺露伴は動かない』も、原作漫画を読んで、ドラマもそれなりに観てた。

ジョジョを読んでいたのがずいぶん昔だから、

「こんな風に実写化するのか」と、ドラマを観て感激していたくらいで、

あまり悪い印象はない。

あんな風にキャラが立ってて、超現実的な世界観だと、

ドラマ化したからと言って、原作を乱しようがないのかも。

ただ、よくこの役者を選んだな、というキャラも、

いくらなんでもそれは違うやろというキャラもいた。

 

『ガンニバル』……原作読んでたけど、ドラマや映画はまだ見てないや

柳楽優弥がうまい役者だからなあ、

脚本がどうでも、何とかなっちゃうのかもしれないが。

 

『ブラックナイトパレード』は漫画原作の映画だが、

さすが映画ということで、ドラマよりはきちんと作ったんだろうな。

B級映画みたいなノリになってたけど、私は比較的好きだ。

原作は途中までしか読んでいないので、どの程度忠実なのかはわからない。

 

………セクシー田中さんの原作者、自殺してしまったそうで

『Piece』という、自殺してしまった女友達を探っていくを読んだとき、

心の底を読み解くような描き方が「面白くないわけではない」けど、

どーでもよいことも悩みとして引っ張り出しているようで、

私には合わない漫画だな、と、思った。

登場人物たちがデリケートすぎ、傷つきやすすぎ、

それを説明するコマが長すぎて、話の動きがない。

そうそうちょうど中高生時代に大島弓子が苦手だったのと同じような理由

たぶん私は、彼女らの心の機微がわからないのだと思う。

 

でも、一読者としてだって、好きな原作漫画につまらない改変をされると

無茶苦茶腹が立って、二度と見るものかと思うのだから、

原作者が、ドラマ化で漫画と違う話にされることや、

本質が現れるディテール部分を変えられる苦しさは、どれほどのものかと思う。

 

ただ、ドラマ化を受け入れた時の契約内容が不履行だったら、

裁判を起こすみたいな方向にはならなかったのかな――

と、残念に思うのだ。

 

 

というわけでPick.

つけまもスーツも、女の戦闘服さ、と、思う。

悩むよりも、嘆くよりも、戦え。攻撃は最大の防御だよ←根本的に違う。