京都伝統産業ミュージアムが面白い | がいちのぶろぐ

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岡崎公園にある京都市勧業館〝みやこメッセ〟の地下に、「京都伝統産業ミュージアム」という展示施設がある。

 

 

京都の「伝統工芸」を一堂に集めていて、とても見応えがある施設だ。その企画展示ゾーンで、現在、「楽焼茶碗でめぐる山鉾巡行」と題した伝統工芸品の展示が行われている。

 

 

 

そもそも私は、この伝統産業ミュージアムと隣り合った、事務スペースに所在する財団におられる知人に、相談事があって出掛けていたのだが。

 

その知人とは、知り合ってもう結構長くなるが、お会いするのは久しぶりだった。今日は、私が関わっている「やさしい日本語」と関連して、ちょっと相談に乗ってもらっていた。

 

その相談自体は30分余りで片付いたので、その後で、この「伝統産業ミュージアム」の企画展示ゾーンを見るために、ほんの少しの時間だったが立ち寄ってみた。

 

 

 

この企画展が、祇園祭の山鉾巡行をモチーフにしていて、なかなか興味深かった。

 

 

 

祇園祭の山鉾は、先頭を行く有名な長刀鉾をはじめ、前祭り・後祭りを合わせると総勢34基にも上る。それが、34個の〝楽焼〟の茶碗になっていた。

 

 

 

〝楽焼〟という手法だから、仕上げは〝手ひねり〟で作られている抹茶碗。そこに山や鉾が、一つずつ手書きで描き入れられていた。これだけで、十分に見て楽しかった。

 

 

 

その他の展示として、ミニ神輿と四方を守る「四神の霊獣」を描いた「幡(ばん)」もあった。「四神」とは、「東=青龍・南=朱雀・西=白虎・北=玄武」という四つの霊獣である。

 

 

 

特に「北=玄武」は亀と蛇が合体した形で、なかなかに不気味な形状。東は青龍=青=春だから「青春」だし、西は白虎=白=秋だから「白秋」となる。この名前に聞き覚えがある。

 

 

 

 

南は朱(赤)=夏で「朱夏」。意味するところは「燃え盛る夏=壮年」だが、今ではこの言葉はもはや馴染みが薄くなっているかも知れない。

 

 

 

 

そして北=玄武=黒=冬だが、こちらはもう今では、まったく連想が湧きにくい言葉になってしまった。玄武とは黒であり冬を意味する、と言ってもピンとこないと思う。

 

「玄武」という言葉に関しては、私の昔の記憶をたどれば、京都市上京区に玄武公園という公園があった。公園の所在地は、京都市内で考えると割と北の方に当たる地域だ。

 

もっと例を挙げれば、京都御所と接する今出川通りの北側、同志社大学のキャンパスの南部や冷泉家のある一帯が、地名では玄武町という。ここも〝御所の北側〟だから、だろう。

 

という話はさて置いても、こうしてなかなかに楽しい展示が行われていた。私は今日たまたま用事で出掛けたけれど、外国人旅行者が大勢、雨の中このミュージアムを訪れていた。

 

 

 

 

こんな「伝統産業ミュージアム」が、今のところ無料で見られるというのも、あまりにもったいない気がすると思っていたら、どうやら、やはり有料化の動きがあるらしい。

 

過去には、伝統工芸の職人さんの実演が見られる場合もあった。この先、有料化するのであれば実演や体験コーナーなど、あれこれと活発にチャレンジできるのではないだろうか。