どんよりとした曇り空から、時折りパラパラと雨も落ちるような一日になった。ただ、傘が必要になるほど降ることもなく、何とか持ち堪えてくれた。
だから昨日のブログでも書いていたように、今日の午前中は、東山七条にある「智積院」で行われた「青葉まつり」に出掛けていた。
今年は弘法大師空海の生誕1250年と、真言宗の立宗1200年に当たる記念の年。だから誕生月の6月に、例年行われている「青葉まつり」も、特別の慶讃法要となったらしい。
この「智積院」は、そもそも豊臣秀吉が早世した子息・鶴松のために建てた祥雲禅寺だった。それを徳川家康が、秀吉に滅ぼされた根来寺のために、玄侑僧正に下げ渡した。
(境内の玄侑僧正の像)
そして秀吉の時代に制作された、長谷川等伯と息子・久蔵、さらに等伯一門の障壁画は、引き継がれて現在も残っており、「桜図」「楓図」などが国宝に指定されている。
ということで今日は、10時から金堂で慶祝法要が営まれていた。私は、〝法要はどうも〟という感じで敬遠をして、「諸堂巡り」というスタンプラリーに行っていた。
(大師堂の前の弘法大師の像)
今日は特別な御朱印も発行されていたけれど、それも私は集めていないから、ひたすら境内にあるお堂を巡って、スタンプを集めていたということになる。
(密厳堂)
(興教大師覚鑁の像)
本堂に当たる「金堂」や、不動明王を祀る「明王殿」、弘法大師空海を祀る「大師堂」に真言宗中興の祖・興教大師覚鑁(かくばん)を祀る「密厳堂」、それに「講堂」の5カ所。
(明王殿)
この5カ所のお堂の前にあるスタンプ所(?)では、若いお坊さんが梵字などのスタンプを台紙に押してくれる。5カ所揃うと、「こうぼうさん」という絵本の小冊子がいただける。
(スタンプラリーの成果)
(いただいた絵本「こうぼうさん」)
ということで、金堂の前の護摩道場という広場では、山伏の方々によって、中央に不動明王像が飾られて「柴燈大護摩供」の準備が整えられていた。
法要を終えられた猊下以下、紫衣の高僧の方々も列をなして、護摩道場の方に移動をされていた。もう少し待てば、いよいよ積み上げられた柴に火が付けられ護摩供が始まる。
ただ私は、この煙モクモクの「大護摩供」はとりあえずパスをして、人がそちらに集まっている間に、と思って、新しく建てられた「宝物館」に急いだ。
(新築の宝物館)
こちらは、国宝の「桜図」「楓図」や「雪松図」など、障壁画がガラス張りの中に展示されている。この障壁画は、とにかく豪華絢爛としか言いようがない。
特に夭折した長谷川久蔵の「桜図」は、桜の花びらが〝胡粉〟を用いて立体的に盛り上げられている。久蔵は20代半ばでこの世を去ったが、ホントに惜しい天才だったと思う。
現在、上京区の「本法寺」に残されている、高さ10mにも及ぶ「大涅槃図」は、父・等伯がこの夭折した久蔵を偲んで制作した、と伝えられているくらいだ。
ということで、今日は何とか雨に降られることもなく、「智積院」を後にすることができた。
ちなみに「智積院」の「講堂」の裏手、書院の前にある庭は国の名勝に指定されているのだが、こちらも今日は人が多いので、私は見ることもなく帰ってしまった。