一昨日は、鳥取県議会議員選挙で起きた、まさかと思われた立候補者の、ハプニングとも言える当選劇のことを書いた。選挙では、何が起こるかわからない代表例のようなものだ。
それにしても、昨日からは統一地方選挙の後半戦がスタートしている。そんな中、すでに選挙戦が始まっている衆議院の補欠選挙で、今度は岸田総理がテロに遭いかけた。
殺傷能力があったかは分からないが、爆弾のようなものを投げつけられた。これがもし強力な爆発物だったら、演説を聞きに来た聴衆を巻き込んで、大惨事になっていただろう。
選挙の街頭演説は、止めるわけにいかない。また、聴衆がいなければ話にならない。だが聴衆に紛れてこんな事件を起こすとなれば、根本的に考え方を変えないといけないだろう。
安倍・元総理の事件以来、立て続けのテロ事件で示されていることは、この国の〝民主主義の根本がぐらつき始めている〟という兆候かもしれない。
いくらその人物なり、所属政党が嫌いだったとしても、テロによってその活動を封じ込めることはできない。むしろ弔い合戦という雰囲気が出て、かえって逆効果になるだろう。
それにしても、なぜこうも立て続けに理不尽なことが起きるのだろう。人々の頭の中に、言い知れない不満が渦巻いている状態が、生まれているのではないだろうか。
この間の生活苦というか、格差社会が生み出す不条理は、決して他人事として見過ごせるようなレベルではなくなって来たのだろう。
そういった何とも言えない鬱屈した気分が、社会の隅々にまで充満しているとしたら、この先も、何か小さな導火線さえあれば暴発が起きてしまう社会に、すでになったのか。
もしそうだとすれば、社会のあちこちに積もりに積もっている不満に、きちんと対処することこそが、政治家に課せられた本来の仕事そのものだと思う。
少子化対策だと言うけれど、「少子化対策≠産めよ、増やせよ」だと思う。生み育てる環境を良くすることや、何よりも将来を考えられる、ゆとりある社会作りが第一だろう。
この後半戦の統一地方選挙でも、投票率は50%をはるかに下回ることになるのだろうか。「なりたい人より、なってほしい人」と言うが、そんな人は出ていないという声を聞く。
この後半戦でも、すでに市長選挙ですら無投票当選が決まった市もある。無投票どころか、定員割れという市町村議会議員選挙もある。もう、どうすることもできない状況のようだ。
若い人が立候補して万一落選でもしたら、その後、その人は無職の身になってしまう。これでは、リスクを取ってまでチャレンジする気も起きないだろう。
いや当選しても、安月給の地方議員では生活できない。と言って、サラリーマンをしながら副業で議員活動なんて無理だとなれば、立候補者はおのずと限られてくる。
これでは、地方議会が衰退し続けるのも無理はない。まず議会を夜の開催にして、昼間は普通に働けるようにすればいい。その上で、議会開催日だけの出勤手当制度にしてはどうか。
とりあえず制度面から抜本的な対応策を考えないと、このままでは「選挙で代表者を選ぶ」という代議制民主主義の『中味』が形骸化して行くだけだろう。