NHK教育テレビ(今はEテレと言うそうだ)の「高校講座 現代の国語」の、昨日(1月30日)の放送で、「やさしい日本語」が取り上げられていた。
(私たちが開催したワークショップ)
司会は、お笑いトリオ「パンサー」の向井慧さん。高校生の男女が一人ずつ出演していた。番組では、この2人の高校生が横浜市中区役所を訪問していた。
横浜市役所は「やさしい日本語」を使った外国人とのコミュニケーションに、積極的に取り組んでいる先進地域である。
そこで番組では最初に、中区役所で行われている「外国人向け日本語講座」の講師をしている女性が、2人の高校生に「やさしい日本語」の概要を説明した。
(私たちが開催したワークショップ)
そもそも、28年前の「阪神淡路大震災」の発生時に、情報が上手く行き渡らないなどで、在住外国人の被害は日本人(日本語を第1言語とする人)の2倍以上の比率に達した。
この状況を踏まえて、外国人に伝わりやすい「やさしい日本語」という概念が提起され、それからはこの概念に沿って具体的な中味が研究されてきた。
こうした経緯を踏まえて、日本語教師の方が2人の高校生に、まず「やさしい日本語」の基本的なコツを伝授した。その肝は、「伝わることが目的だから正解はない」ということ。
高校生たちが教えられた、「伝わる日本語」のポイントをまとめると以下のようになる。
・敬語は使わない方がわかる → どちらから × どこから ○ など
・言葉(主語や目的語)を省略しない → 「誰が」「何を」「どうする」をはっきり言う
・話し方は「ゆっくり話す」「はっきりしゃべる」
・文末まできちんと話すが、「です」「ます」で終わればいい
・文章は短くし、1つの文章に多くの情報を入れない
・難しい熟語やカタカナ語は使わない → 避難する × 逃げる ○ など
・あいまいな表現にせず言い切る → 通れるかもしれない × 通れます ○ など
・オノマトペ(擬音・擬態語)を避ける → 雨がしとしと × 雨が少し ○ など
・数量の表現は日本語として正解でなくてもいい → 鉛筆 1本 → 1個 でもいい
(ただし、徐々に慣れてもらうように、正確な表現も同時に教える)
・書く場合、漢字やカタカナにはすべて「ふりがな」を振る
番組では2人の高校生が、日本に来て間がない外国の方に対して、「地震が起きた時にどうするか」を説明し、実際に避難所となる近くの学校までの道案内をしてみた。
最後に高校生2人が、「振り返り」として次のようなことを話し合った。
・無理に英語で話さなくても良いことが実感できた
・同じことを話しても、人によって理解度は異なっている
・伝えたい情報が「伝わること」が、会話の最大の目的である
・伝わりやすい速さや、分かりやすい用語があるから、体験することが必要だ
・正解はない代わりに、伝わっていることを確認しながら話すことが大事だ
(私たちが開催したワークショップ)
まさに、私たちがワークショップを通して訴えていること、分かってほしい内容が、この高校講座にすべて詰まっていた。