日産が再浮上し、JR東海が頑張れたのは | がいちのぶろぐ

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今朝7時過ぎには、布団から抜け出すのが辛く感じられるほど、外気温が下がっているような気がした。今年になってからも、多分、今日より寒い日はあっただろうけれど。

 

明日からは2月。そして4日の金曜には「立春」だが、「春は名のみの風の寒さや、谷の鶯 歌は思えど、時にあらずと声も立てず」(吉丸一昌・作詞「早春賦」)なのか。

 

ところで、今日配信のダイヤモンド・オンライン誌で、柏木理佳さんが「木村拓哉で好感度アップ!?日産やカルビーが『リブランディング』で復活した理由」という記事を掲載しておられた。

 

「一度ネガティブな感情がインプットされた消費者の知識を再びポジティブな気持ちへ変容させることは(中略)簡単ではない」ことを前提に、再浮上したケースを取り上げていた。

 

「イメージダウンした日産は、2020年にアンバサダーとして木村拓哉さんを起用」し、「黒を基調にした斬新な大人っぽいイメージのロゴに変更」したという。

 

その結果、「2020年9月度のCM好感度ランキング総合1位で、(中略)過去の不祥事のイメージを払拭させることに成功した」と、柏木さんは評価しておられた。

 

このように、企業にとってはある意味〝伸るか反るか〟といった、瀬戸際での再浮上を賭けた「リブランディング」というものは、大変な作業になるということだ。

 

同様に、コロナ禍で観光事業が大きく停滞せざるを得ず、そのため一時期は大きく客離れが起こったJR東海も、「リブランディング」の成功事例として挙げておられた。

 

「JR東海が製品ブランド(中略)をリブランディングし成功」できたのは、旅行が「タブー視されていたときに『ずらし旅』と大胆な名前にしてアピールし」たことが要因だという。

 

「『ずらし旅』は、分散型旅行として新幹線や電車、飲食店」などの「混雑する時間を避け」ることで、「消費者が旅行しやすい雰囲気を作った」のが良かったという。

 

さらに、アンバサダーに起用した俳優の本木雅弘さんが、「シェアサイクルに乗ったり、道頓堀では川から見上げて『街の見方もずらす』などとアピール」したということだ。

 

こうして、「これまでの旅行とはひとつ違う体験ができることを印象付けた」ことで、コロナ禍においても旅行の販売額をアップさせられたそうだ。

 

「消費者の行動は常に変化していることを企業は敏感に察し商品開発に生かさなければならない」けれど、「研究開発費も設備投資の資金もないのが現実」だと、柏木さんは言う。

 

「そこで『ずらし旅』のように商品名や利用方法を変え、浸透させるCMが必要」になって来る。こうすることで、消費者に別の切り口・見方から、商品を見てもらうことができる。

 

こうした事例として、「カルビーは2020年9月から、一人でも食べやすい個食用のお菓子を『otomo pack(オトモパック)』シリーズとして展開」しているという。

 

「在宅ワークのお供(オトモ)となり、働く人の気持ちに寄り添うイメージ」に変更し、「商品の中身はそのままだが、一口サイズで小さめ」にしたらしい。

 

「さらに癒やし系のパッケージに変更」するなど、「ニューノーマル時代に合わせた」商品に作り替えたことで、ヒット商品になったということだ。

 

柏木さんは何社かの事例から、「必ずリブランディングによって売り上げが上がるとは言えないが、臨機応変にリブランディング戦略をする組織文化が売り上げに反映」されると述べている。

 

コロナ禍などのように、社会環境が悪いことを嘆いているだけでは事業は好転しない。何か新しい手を打つことで、社内の空気を変えるきっかけにすることも大事だろう。

 

「リブランディング」という取り組み方だけではないかもしれないけれど、柏木さんも最後に「企業の本気度が試されている」と締めくくっておられた。

 

事業を行っていれば、社会環境には上り坂や下り坂もある。中でももっとも辛い坂道は、「まさか」という坂だと比喩的に言われることもある。

 

コロナ禍などは、その「まさか」の典型例かも知れない。しかし現実に起きている。そうである以上、それに対応する手段を考えることが重要だろう。

 

「リブランディング」というかどうかはともかくとして、事業の中味を再点検し、何か変えられるところを見出して、そこを積極的に売ろうとすることも必要かもしれない。

 

「言うは易く、行うは難し」なのは当然だが、やらなければ始まらないことも事実である。今日の柏木さんの記事を読んでいて、そんな感想を持った。