難読地名を調べたらおもしろかった | がいちのぶろぐ

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先日、友人がフェイスブックで、〝修学旅行中の中学生が『鳥丸(とりまる)』を連発していた〟という内容の書き込みをしていた。

 

もちろん、微笑ましく思っているという書き方だった。分かるなぁ、その〝鳥丸〟。『烏丸(からすま)』の方が異常なんだよなぁ。それも〝からすまる〟でもないのだし。

 

昔々、大人から「烏丸丸太町」を「からすまるまる、ふとるまち」と読むという、笑い話を聞いた覚えがある。それがある意味では、〝普通〟の読み方だろう。

 

京都の人間でなければ、初見でこれを「からすま、まるたまち」と読む人の方が異常だと思う。地名なんて、もともと〝難読〟が多いから、クイズに出るくらいのものだ。

 

大阪にある〝放出(はなてん)〟や〝十三(じゅうそう)〟なんかは有名になったから、知っている人も多いと思う。でも、全国至る所に難読地名はある。

 

私も先日、グーグルマップで神社だかお寺だったかの、所在地を探していた。散歩に行こうと思ったか何かで、その場所を確かめたかったのだと思う。

 

その時、地図上にまったく見慣れない漢字を見つけてしまった。「皀莢町」と書かれていた。想像で読むことすらできない。『莢』は豆科の植物の実の〝さや〟の部分だと思う。

 

『夾』は「狭い」などの〝旁(つくり=右側部分)〟と同じ字だと理解できる。だから『莢』は「きょう」という読みではないかという気もした。

 

ワープロの単漢字というところを丹念に見ていくと、『莢』という文字を発見した。やはりそれでよかった。次は『皀』の番だが、こちらはまったく手掛かりを思いつかない。

 

やむを得ず、〝とんでもない手段〟を使ってみた。地図にあった「皀莢町」をそのままコピペして、「郵便番号」という言葉と組み合わせてグーグル検索をかけてみた。

 

あった、見つけた!!!凄いなぁ。「地名辞典」というサイトに、「皀莢町(さいかちちょう)は京都府京都市上京区の地名です」と書かれているのを発見!

 

京都市上京区の辺りを見ていた時に発見した地名だから、ヒットだった。『さいかち』と読むのだ。つぎに、〝『さいかち』っていったい何なの?〟という疑問が浮かんでくる。

 

ここは、とりあえずWikipediaのご厄介になろう、ということで平仮名で検索をしてみた。

 

「サイカチ(皀莢、皁莢、学名:Gleditsia japonica)はマメ科ジャケツイバラ亜科 サイカチ属の落葉高木。別名、カワラフジノキ」とあった。やはりマメ科だった。

 

Wikipediaによれば、「樹齢数百年というような巨木もあり、群馬県吾妻郡中之条町の「市城のサイカチ」(中略)のように県の天然記念物に指定されている木もある」そうだ。

 

さらに読み進めると、面白い記述にたどり着いた。「莢(さや)にサポニンを多く含むため、油汚れを落とすため石鹸の代わりに、古くから洗剤や入浴に重宝された」らしい。

 

それで、「石鹸が簡単に手に入るようになっても、石鹸のアルカリで傷む絹の着物の洗濯などに利用されていたようである」と書かれているではないか。

 

この地名の町がある場所は、京都市上京区の「堀川中立売」交差点の南西側になる。堀川通という南北の広い通りと、それに交わる中立売通という東西の通りが交わった場所。

 

 

 

グーグルマップを見れば、近くには「セレマ西陣コミュニティ会館」という建物もある。この「皀莢(さいかち)町」は、西陣地区の一角と言える場所なのだ。

 

マメ科の「さいかち」が結実したら、莢(さや)に当たる部分は、「サポニンを多く含むため」に「絹の着物の洗濯などに利用されていた」というのだ。

 

しかも全国には、巨木になって天然記念物に指定されている木もあるという。もう今では、この町内に「さいかち」の木は無いかも知れない。でも、過去には有ったのだろう。

 

西陣織に使う絹糸や、織り上がった布地を洗濯するのに、この「さいかち」の莢を使っていた可能性もある。だから、そんな木が植えられていた。そこから付いた町名かも。

 

たったそれだけのことなのだけれど、難読地名を読めた途端に、その地名に歴史が被さってきたような気がした。

 

「さいかち」の木が植えられていた話は、ホントのことなのかどうかなど、私には確める術はない。無いけれど、それで良いではないかと、私は心のどこかで納得している。