次は〝IoB〟の時代だそうだ。「Internet of Behavior(行動のインターネット)」という意味だ。
今日、インターネット情報誌を拾い読みしていたら、偶然目に入ってきた言葉だった。記事のタイトルは「IoTのその先は?『行動のインターネット(IoB)』の可能性」だった。
「『モノのインターネット(IoT:Internet of Things)』という言葉」が初めて使われたのは1999年のことだったそうだ。
「それから20年以上が経過したいま、人間以外の機器や設備でもネットにつながるのが当たり前」という時代になっている。
だから、「リアルタイムにデータをやり取りすること」によって、「機器の操作や故障の検知などさまざまな価値が生み出され」る時代になっている。
ここで役に立つのが、スマホのCMでよく耳にする〝5G=第5世代〟通信網である。今までの4Gと比較して、通信速度が100倍ほども早くなるらしい。知らんけど。
技術の進歩というか変化がここまで来たから、次にやってくるのが「『IoB』と略される、『行動のインターネット(Internet of Behavior)』の概念」ということらしい。
「IoBは人間を対象」として、「人間のさまざまな行動や振る舞いをIoT機器で把握・分析し、そこから知見を得る仕組み」だと説明されていた。
では「どうやって人間の行動を計測し、そこからどのような価値を生み出して」いくのだろうか。
IoBは「早くから心理学と結びつき、人間の行動を把握すると同時にそれを(中略)望ましい方向に変えることを目的として」考えられてきたということだった。
例えば「AI(人工知能)による画像分析」によって、工場の従業員が手洗いの時に「石鹸をつけて正しい洗い方をしているか」を機械に判別させ、警告を発することができるという。
もっと大きな規模の例として「IoBを都市全体に応用」すれば、「都市の機能を最適化する」ことも不可能ではないという。
現在でも「先端技術を駆使して『スマートシティ』を実現しようとする試みが各地で行われている」が、そこで「注目される技術のひとつがIoB」ということになってくる。
例えば、「単に自動運転車両を完成させること」ではなく、「都市全体としてスムーズな交通を実現できるような自動運転システムを実現すること」を目指すようになる。
だから、「走行する各種車両が生成するデータを集めて、それに応じて自動運転車両の走行パターンを変える」ことで、「交通の流れを最適化する」ということになる。
こうした世界が実現すれば、交通渋滞などが現状と比較して大きく緩和されるかも知れない。それはそれで、もし実現したなら素晴らしいことだと思う。
その一方で、徹底的な「監視・管理社会が到来するのではないか」という恐怖感や、「蓄積された個人情報が事件や事故で流出するのではないかという懸念」も考えられる。
現在のコロナ禍では、こうした監視・管理手段を用いてでも感染拡大を防ぐことが良いのか、それとも個々人の努力を優先して感染拡大を防ぐのか、といった選択の問題にもなる。
工場などの職場規律として、「マスクや手洗いのチェックにIoBを活用するというアイデア」などであれば、まだ〝許せる範囲内だ〟と考える人も多いかもしれない。
しかし、「何らかの抑圧や差別を目的としたIoBシステムが社会に導入されること」を警戒する気持ちは、やはり払拭されることはないだろう。
そうは言っても、筆者の小林啓倫氏が記事の最後に述べているように、「具体的なメリットの実現とセットでIoBの普及が進んでいく」のは、きっと止めようがないのだろう。
だから私たちにとっては〝せめてものメリット〟として、犯罪の抑止力や感染の拡大防止などに役立ってくれることを望みたい。
いずれ、マイナンバーカードと監視カメラとスマホとが連動すれば、私たちの行動など手に取るようにチェックできるのは間違いない。
ならばせめてものこととして、パンデミックなどの際に、私たちの安全・安心にちょっとでも役立ってくれたらと思う。
でも近い将来には、IoBによって個々人の行動などきっとお見通しになるのだろうなぁ。知らんけど。