留学生にインタビューして感じ入ってしまった | がいちのぶろぐ

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今日の午後は、私が関わっている「やさしい日本語」を広めるNPO団体の活動で、定住外国人である日本語学校の学生さんに、ファミリーレストランでインタビューを行った。

 

 

 

私たちは、日本で生まれ育った人と、最近、日本へやって来た人(外国人)とが良いコミュニケーションを図れて、仲良く暮らして行ける社会が出来るように、という目的で活動をしている。

 

だから、「やさしい日本語」という〝道具〟を使うことで、日本人の方から言葉の壁を少しでも取り除けるようにしたい、という趣旨で、日本人向けのワークショップを開催している。

 

しかし残念だけど、昨年から今年にかけてはコロナの影響で、実際に顔を合わせて行うワークショップを開催することが難しく、1回しか開催できなかった。

 

そうとばかりも言っていられないので、この間は対象外国人を定めて、生活の実情についてヒアリングを行ったり、アンケート調査を行ったりして、自分たちの〝引出し作り〟を進めている。

 

今日もその一環として、日本語学校の先生を介して、ご紹介いただいた2名の学生さんに、いろんな話を聞かせてもらっていた。

 

 

 

1人は中国人女性で、来年春から京都市内の大学の大学院へ進学が決まっている。彼女は日本語が上手くて、今ではスーパーとコンビニの店員のアルバイトを、掛け持ちしているという。

 

そんな彼女が、日本語で苦労したのは2点あったそうだ。一つ目は、慣れるまで「早口の関西弁」がわからなかったこと。日本語学校では、たしかに方言は教えない。

 

もう一点は、〝馴染みのない単語〟の問題。彼女は、スーパーの中にある魚屋さんでアルバイトをしているけれど、最初は魚の日本名がまったくわからなかった、というのだ。

 

これはその通りだ。私たちだって、英語を習い始めた中学生のころには、鯛や鮪、鯖や鯵などの英語での呼び方など習うはずもなかった。今もなお、知っている英単語はそれほど多くない。

 

私は魚の名前で言えば、ノドグロなんて最近でこそ聞くようになったけれど、日本語としても知らなかった。クエだってハタと呼ぶ地域もある。ホッケやハタハタの英語名など知る訳がない。

 

だから彼女のこの発言には、その場にいたみんなが一斉に〝わかるー〟という声を挙げた。実に納得できる話である。しかも、「今では全部わかりますけど」と言われて〝ホェ~〟となった。

 

もう一人は、インドのアッサム地方からやって来た青年。彼は日本に来てしばらくの期間、九州の小学校で英語の補助教員をしていたという。真面目で好感の持てる青年だった。

 

彼も方言の面白いエピソードを話してくれた。九州で生活を始めたころ、買い物に行った時に、「これでよか?」と聞かれたという。彼の頭の中は「???」である。

 

「よか?」がわからない。彼が習った日本語では「これでいいですか?」だから、いきなり「よか?」と言われても、何と返事をして良いものやら。こちらも、みんながいたく納得した。

 

彼はまた補助教員の時に、定期健康診断で病院へ行ったそうだ。そこで渡された問診票が、すべて日本語で書かれている。それも漢字混じりで、もちろん振り仮名は付いていない。

 

さあ、彼は困りましたねぇ。しかしそこがIT大国のインドの青年。即座にスマホ・アプリの「Google翻訳」で、問診票を英語に翻訳させて、それに従って記入したのだという。

 

これにはまた、みんなが「すごーい」となった。この機転というか、〝いざ〟のときの危機管理能力の高さは、やはり彼が持っている人間としての能力の高さの証明だろう。

 

インタビューでいろんな話を聞いていると、二人とも実に淀みなく日本語で話してくれる。いや中国人女性の方は、中国人と会話する際に、上手く中国語が話せないことさえある、と言っていた。

 

頭の中の〝言葉切り替えスィッチ〟が、時として上手く作動しなくなって来るのだ。もう〝日本語の頭脳〟の方が、彼女の中で優先権を持っていると言える。

 

彼女は大学院で学んで、中国の大学で教えたいと言っていた。実現すればいいなと思う。インド人の彼は、ゲームソフトの開発で起業したいと言っていた。こちらも夢があって良いな。

 

最後に中国人女性から、「紅葉狩りに行くとしたら、どこが良いですか?」と聞かれた。〝エッ?〟日本人でも、「紅葉狩り」という言葉を使う若い人はもう滅多にないだろう。

 

それを彼女の口から聞いた。完全に〝失礼しました〟という感覚になった。京都だから、有名な紅葉スポットはたくさんある。3つ4つはお教えしたけれど、あらためて〝凄いなぁ〟と思った。