女子高校生たちの署名活動 | がいちのぶろぐ

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今日のフェイスブックで知人の女性が、コンビニチェーン「ファミリーマート」のプライベートブランド「お母さん食堂」がなくなり、「ファミマル」に変わると書いていた。

 

その女性は続けて、「これで楽しくファミマに行ける」と書いて、名称変更に至った経緯が載ったヤフーニュースか何かの記事をシェアしておられた。

 

私もこの件にかなり興味を引かれたので、シェアされていたニュース記事を読んでみた。

 

そうしたところ、ガールスカウトの活動で知り合った3人の女子高校生たちが、「ジェンダー・バイアス」の問題として、このネーミングに抗議の署名活動を行ってきたらしい。

 

その署名活動を受けてのことなのか、ファミリーマート側がブランドの名前を変更するに至った、ということだった。

 

この高校生たちは、〝お母さん=食事を作る人〟という「性別役割分業の固定化」につながるネーミングだとして、抗議するに至ったらしい。

 

もちろん昔から『おふくろの味』として、母親が料理を作ることは認知されていた。しかし現代社会においては、その言葉の持つ意味を認識せずに済ませるのは困難になった。

 

元のニュース記事でも、彼女たちの署名活動に対して、「言葉狩り」とか「営業妨害」、「日本の家庭を崩壊させる行為」などといった批判や中傷も多かったと書かれていた。

 

その一方で、彼女たちの行動を作り出すきっかけとなったガールスカウト連盟の方の、「社会の空気を作り上げるのは言葉の力」という話が紹介されていた。

 

続けて、「その影響力はとても大きい」とも語っておられた。さらに記事では、平日の家事労働の時間が、現在も妻は夫の7倍も費やしている、という調査結果も掲げられていた。

 

こうしたことも根底にあって、ファミリーマート側がブランドの名前を変更したのだろうけれど、今日もやはりネット上には、同じような言葉で批判がずらりと並んでいた。

 

実は今日の京都新聞の朝刊に、共同通信が配信した記事だと思うけれど、「焦点/争点」という欄で「不安ゆえの暴力を議論」という記事が掲載されていた。

 

 

 

この欄は、月刊誌などの論考を拾い出し、概要をまとめて紹介する記事だが、そこで「中央公論」に掲載の、斎藤環氏と佐藤優氏の対談の内容が簡単に紹介されていた。

 

対談は「優生思想を蔓延させる日本社会の自縄自縛」というテーマらしい。そこで佐藤氏が、「優生思想の典型だとして糾弾」したのは、5月の自民党の会合での発言だったという。

 

これは「LGBTなど性的少数者の理解促進を図る法案が議題となった」会合だった。その場で、自民党の一部の議員が次のような発言をしたという。

 

「生物学的に自然に備わっている『種の保存』に抗っている」と。そして「自民党執行部は法案提出を見送った」のだ。その時点でも、この件は問題視されていた。

 

京都新聞の記事では、このような発言が行われる基底を、「家父長制にこだわる余り『同性婚へのアレルギー反応』を起こす政治の貧困」と続けている。

 

つまり女子高校生の署名活動に対して、ネット上で批判的な発言をする感覚と、自民党の議員の一部に見られる「家父長制」へのこだわりは、同一の地平にあると言えるだろう。

 

それは「オンナ」という「一段下の存在」へ向けた視線であり、「種の保存」などという暴論によって、「性的少数者の理解促進を図る法律」を葬り去ろうとする思考方法である。

 

このように「お母さん食堂」という、一見すれば〝ほのぼの〟とした感覚にも思える言葉が、実はその裏側に秘めている『社会的構造』を見抜いた女子高校生は素晴らしいと思う。

 

それにも拘らず、今日もまだネット上には、「お父さん食堂ならいいのか」とか、「フェミニストは満足だろう」といったコメントが並んでいた。

 

もはや〝保守層〟という言葉ですら括ることができない、固まってしまった思考方法の人たちが増えているのだろうか。

 

私が関わっている「やさしい日本語」を広めるNPO団体など、こうした人たちからすれば、〝媚中・親韓〟などという言葉では済まないくらいの活動に見えると思う。

 

そんな狭い人権感覚で良いのだろうかと、署名活動を行った女子高校生と比べて、悲しくなってしまう。