なぜ「やさしい日本語」が必要なのかを考える | がいちのぶろぐ

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観光・伝統産業関連などについて、「がいち」が考えたこと、思ったことを書きとめてゆきます。

昨日のブログで、一昨日の夜に、ある女性の方と私たちのNPO団体とのオンラインミーティングがあり、その方の活動の話を聞いて随分と刺激を受けたことを書いた。

 

ただ昨日のブログでは、その時に彼女の発言から受けた刺激の中味については、あまり具体的に多くのことを書かなかった。

 

それこそ、その女性が住んでおられる大分県で、県庁のある部署と組んで「やさしい日本語」を広めるためのワークショップを企画している、といった話だけになっていた。

 

私が関わっている「やさしい日本語」を広めるNPO団体でも、彼女が取り組んでいる活動でも、根本的なテーマは「定住外国人と良好なコミュニケーションを取ること」である。

 

その目的は、「その地域で暮らしているすべての人が、楽しく気持ちよく暮らせる社会を創りたい」ということである。だから、お互いのコミュニケーションが必要になる。

 

 

 

そこで私たちも大分県在住の彼女も、「やさしい日本語」を用いるという手段がある程度有効であることを前提として、その拡大を目指しているということになる。

 

彼女がミーティングで語ってくれたポイントの一つは、「やさしい日本語」という考え方の基礎として「言い換える能力」が重要だということだった。

 

しかもそれは、日本の子どもたち向けの国語教育の中で、長く問題提起されてきたことだという。だから、「やさしい日本語」のワークショップでも、一つはその点に留意すればいいということだった。

 

その一方で私たちが、なぜ「やさしい日本語」を使ってコミュニケーションをするのかという基本的な部分を十分に煮詰めないまま、まずワークショップありきになっているのではないか、という指摘もいただいた。

 

というか、これはその女性ご自身も、今なお考えている途中の問題ということだった。つまり、「やさしい日本語」に本当にニーズはあるのかという根源的な問い掛けだった。

 

そのために、その女性がミーティングで言っておられたのは、「あなたがターゲットと考えている『ペルソナ』は明確になっていますか」ということだった。

 

「誰に」「何を」「なぜ」「どのように」したいと思って、ワークショップを組み立てているのか、という問い掛けである。これは厳しい問い掛けだが、大切なポイントだと思う。

 

 

 

つまり〝ワークショップというイベント〟を開催するに当たって、対象とする顧客層の姿をどのように理解し、顧客のどのような課題の解決につなげたいのか、ということである。

 

これはマーケティングの第一歩と言っても良い。だからこその『ペルソナ』である。〝多文化共生〟と言うけれど、〝共生〟するための課題が明確になっているか、と言い換えても良いだろう。

 

ここをきちんと整理して、参加者募集の際に上手く伝えて行かないと、「何のため」の「どんなワークショップ」かがわからない。

 

そこを伝えられないと、このワークショップ自体が、極端に言えば外国人向けの日本語教室だったり、日本人向けの英会話教室だったり、といった誤解をされてしまいかねない。

 

ミーティングではそうした点を指摘されたが、私たちもそのあたりに気を配っているからこそ事前に相手先にヒアリングをして、浮かんで来る課題を明確化するように考えている。

 

ただやはり、PRをする段階で漠然と「ワークショップはいらんかねぇ」と売りに出しても、なかなか買ってもらえないのも事実だろう。

 

だから、「やさしい日本語」を使うことでこんな町にしたいという、〝あるべき姿〟を思い描くことから始めて、単なる語学実習ではないことをはっきり理解してもらう必要がある。

 

そうしたことの一つずつを私たちが作る企画書に反映させて、それを訴えたい相手側に向けてきちんと発信することが重要だということになる。

 

一昨日のオンラインミーティングで2時間にわたって話し合った中味を、とりわけ好意的に語ってくれた女性の方の言葉も含めて、どうにか整理できてきたように思う。

 

こちらが訴えかける相手にとって、「やさしい日本語」の『価値』は、「他のコミュニケーション手段との違いの大きさ」と「相手側の理解度」との掛け算で表されるかもしれない。

 

他の手段とは〝違いが大きく、はっきりしている〟ことと、相手にとって「やさしい日本語」への理解度が大きくなることで、「やさしい日本語」の持つ『価値』が大きくなる。

 

その点を、明日の午後にある私たちの団体の定例ミーティングで、皆さんにもお伝えしようと思う。