予想通り盛り上がることもなく | がいちのぶろぐ

がいちのぶろぐ

環境問題と経営の接点、中小企業の戦略やマーケティング活動,
観光・伝統産業関連などについて、「がいち」が考えたこと、思ったことを書きとめてゆきます。

オリンピックが始まって日本が金メダルの23個も獲れば、オリンピックまでにいろいろとゴタゴタがあったことなど忘れてしまう、と自民党の国会議員か誰かが言ったという報道を見た。

 

そういう傾向があることも、たしかに否めないかもしれない。しかし今朝の新聞のテレビ欄を見て驚いた。テレビ朝日系列が午前中から夜間帯まで、ぶっ通しにオリンピック中継で埋められていた。

 

ほんの数日前まで、モーニングショーでオリンピック反対の報道の先頭に立っていたテレビ局だったはずなのに。このあんまりなご都合主義にはあきれ返ってしまった。

 

さらに開会式で聖火に点火する最終ランナーが、テニスの大坂なおみ選手に決まったらしいという報道が出た途端に、ネット上で彼女の出自に対するいわれなき差別的言辞や、彼女が試合を棄権した行動への非難などが数多く見受けられた。

 

その一方で、女子サッカーの日本代表が、対イギリス戦の前にイギリス選手と一緒にピッチに片膝をついて、人種差別などに抗議する姿勢を示したことも報じられていた。

 

思い返せば、1968年のメキシコシティ・オリンピックで、陸上競技の金・銅メダルになったアメリカの選手が、表彰式で黒い手袋をはめた拳を高く突き上げて、人種差別に抗議の意思を示したことを鮮明に記憶している。

 

2人はこの行動によって失格とされ、メダルも剥奪されてしまった。それから半世紀の時が流れても、IOCは基本的に選手がこうした政治的なパフォーマンスを行うことは認めていない。

 

ただ目立ちやすい表彰式などではなく、試合前などに多少の意思表示を行う程度のことは認めるように変化してきたということが、今回の女子サッカーのパフォーマンスの背景にあるらしい。

 

それにしても、ほぼすべての試合が無観客の中で実施され、これまでは開会式の後で行われていたパフォーマンスもなく、盛り上がらないオリンピックになったことは間違いないと思う。

 

ただ、日本選手が金メダルを23個も獲れば、国民はこの間に起こった全てのゴタゴタを忘れるだろうという、報道にあった自民党議員の思惑は、残念ながら外れるに違いない。

 

コロナ禍で世界中がまだ落ち着いていない中で、こんなにまでしてでもオリンピックを強行開催しなければならなかった理由は、菅総理の口からまだ一言も語られていない。

 

ましてや、開会式で天皇が開会宣言を述べられた時に、横にいた菅総理が最初は座ったまま、なかなか立たなかったのは無礼だと、ネット民から激しく非難されている。

 

そして早くも、柔道や水泳にスケートボードで金メダルの獲得が報じられているけれど、予想通りというか、自民党議員の思惑と異なって、国民の気分はワッと盛り上がっているようには思えない。

 

金メダルと言われても〝何だかなあ〟という気分だし、不倫騒動が大きく報じられた水泳の瀬戸大也選手が予選落ちしたら、テレビ番組で〝あの〟野球解説の張本さんにまでダメ出しされていた。

 

8月8日のオリンピック閉幕までには、まだまだ色んなことが起こるだろうし、それに対する批判や非難も多々起こって来るだろう。

 

ただバスケットボールの八村選手やテニスの大坂選手、陸上のサニブラウン選手など、日本にも多国籍な出自を持つ選手も増えて来たし、日本国籍に変えて出場している選手だって少なくない。

 

女子サッカーで進歩が見られた、人種差別に対する意識という問題や、組織委員会の森・前会長の発言で注目されたジェンダー平等の問題などは、まだまだこの国には根付いていないテーマだ。

 

さらには開会式関連で立て続けに起こった、障害を持つ子どもに加えられた過去の〝いじめ〟や、〝ホロコースト〟に対してあまりにも幼稚で無知な状況なども、この国の内部にまだ存在する問題点として浮かび上がってくる。

 

むしろオリンピックを強行開催した〝おかげ〟で、この国で残されたままになっている、差別に対する課題が浮かび上がってきたことは、この先に役立つことになるのか、それともまた人々の間で亀裂を生むことになるのか。

 

いずれにしても、オリンピックは盛り上がらないまま終わるのだろうし、それ以上に、この先パラリンピックの開催で差別意識がどう変わって行くのか、むしろ心配の種が増えるような気がする。