ボトル飲料のラベルをはがして持って来いと | がいちのぶろぐ

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東京オリンピックは明後日に開会式を控え、今日から一足早く開始された競技もある。この直前ギリギリになっても、まだ、〝これでもか〟というくらいに問題が噴出し続けている。

 

どこかに書かれていたけれど、まさに『呪われたオリンピック』というにふさわしい状況になっている。それというのも、根本的な部分で時代と完全に〝ずれた〟ガバナンスが原因していると思う。

 

準備がスタートした当初には、新・国立競技場の設計を巡ってのゴタゴタがあった。その後には、エンブレムというのか、シンボルマークの盗用疑惑が起こった。

 

この盗用疑惑というあたりから、雲行きがいささか怪しくなってきた。その時には『デザイン村』という表現で、身内で行うのだろうけれど〝お金の山分け〟ということが問題になった。

 

『デザイン村』といわれるような〝閉じた〟状況も問題だが、それ以上に、こうした問題が生じても、それを上手く制御できない組織委員会などに対する黄色信号が、この時期から点灯し始めた。

 

私たちはそれまで、昭和39年に開催された前回の東京オリンピックの記憶をベースに、素朴な歓迎ムードだったと思う。それがいみじくも、先日のテレビ番組の菅総理の思い出話にも現れていた。

 

菅総理が、あの番組で思い出話を語ったことがとんでもない間違いだったのは、この期に及べば問題は全く違う次元になっているのに、まだ数年前の『素朴』な時期の話をしてしまったことである。

 

よりによって最も責任ある立場の総理大臣が、問題が噴出している真っ最中に、あろうことか3年以上も前の時点のような呑気な発言をした。しかも、その発言を正しいと信じて疑いもしなかった。

 

取り巻きの中に、こんな時期でもそういう内容をテレビ番組で話せば、心情的に受け入れてくれる人がきっといると、総理に進言した『愚か者』がいることがこの国の最大の不幸のような気がする。

 

だからと言うべきか、この数日で噴出した『小山田辞任』問題でも、組織委員会はそのまま押し切ろうとしていた。さすがにこれは、政治家の方から〝このままではまずい〟という判断が出て来た。

 

そして昨日あたりからは、『コカコーラ持ち込み』問題が話題になっている。何と言うか、組織委員会は「愚者の寄り合い」としか思えない。それとも、世論に向かって喧嘩を売っているのだろうか。

 

 

 

「聖火リレー」が始まったころ、各地からもたらされる報告では、この聖火リレーの先頭を切って走るコカコーラの宣伝カーが、大音量で音楽などを流して走ることが疑問視されていた。

 

なぜコカコーラが、こんなにも〝我が物顔〟で聖火リレーを先導するのか、という話から始まって、実は聖火リレーの経費がコカコーラの宣伝費でまかなわれている、という話も聞こえてきた。

 

真偽のほどは知らない。大阪流で言えば「知らんけど」となる。つまり商業主義だとか、「ボッタクリ男爵」だとか言われるくらい、オリンピックが世界的なマーケティング媒体になっていた。

 

その代表というか頂点にコカコーラがあった、ということらしい、知らんけど。その挙げ句、昨日あたりから『コカコーラ持ち込み』問題の発生が大きく報じられている。

 

数少ない有観客の競技となった茨城県鹿嶋市のサッカーの試合の観戦に、学校の引率で参加する子どもたちに、「コカコーラ社製以外の飲料は持ち込めない」と、組織委員会が通告したというのだ。

 

もはやこんな状況の下で、巨額の広告費を支払って、コカコーラがマーケティング的に最低・最悪の効果をもたらすような、下手な広報活動を行っているとしか思えない状態になっている。

 

これではコカコーラという企業が『スカッと爽やか』どころか、子どもたちに対してまで〝えげつない〟やり方で、無理やりの押し売りをする企業という印象になってしまうではないか。

 

こうした事態は、コカコーラという企業が望んだことだったのか。さらに、組織委員会は単にコカコーラと交わした契約通りのことをしただけなのか。そうであるのなら、そのように説明すべきだ。

 

その代り庶民の側からすれば、こうした押し売りまがいのことをするコカコーラに対しては、不買運動などが起こることは間違いがないだろう。

 

実際の契約は有観客の状態を想定して、スタジアムで飲料を販売する場合は、コカコーラの飲料製品だけが販売される、ということが規定されているのではないだろうか、知らんけど。

 

それを組織委員会が何をトチ狂ったのか、今回、子どもたちが持参するペットボトルの飲料はコカコーラ社製以外認めない、と言い出したというのだ。もし他社製品の場合は、ラベルを剥がせと。

 

〝アホか〟としか言いようがない。そこで購入する場合は、特定のメーカーのものだけ販売ということはあり得るだろう。逆に飲食物の持ち込みはいっさい禁止なら、それもあり得るかも知れない。

 

ただ、いっさい持ち込み禁止であるならば、キチンと理由を含めてもっと早い時点で、大々的にPRされないといけないけれど。それがなされていなかった以上、持ち込みは可能だと考えられる。

 

それをこの期に及んで、あろうことか家から持参する飲料はコカコーラ社製品でないとダメとか、他社製品であればラベルを剥がせとか、今ごろ何を寝ぼけたことを言うのか、となるのは当然だ。

 

繰り返して言うが、組織委員会とは「愚者の寄り合い」なのか。コカコーラは、マーケティング的に見て最悪のことを、組織委員会を介して実践しているとしか言いようがない。

 

コカコーラと言う企業は、マーケティングにおける優良会社だと思っていた。それが今回は、聖火リレーの先導車でミソを付け、子どもたちの飲料持ち込み問題で決定的なミスを発生させた。

 

この「持込み」問題は、コカコーラが組織委員会に指示して行ったことでないとすれば、逆に組織委員会に対してペナルティの補償請求と、謝罪文の大々的な発表を要求すべき事案だろう。

 

もし契約に基づいてコカコーラが求めたことであれば、東京オリンピックと言う未来永遠に汚点として残るイベントとともに、コカコーラもその一翼を担ったという評価を抱え込むことになる。