葵祭の行列が今年もなかったけれど | がいちのぶろぐ

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今日、515日は、京都では三大祭の一つ「葵祭」が行われる日だ。皆さんが知っておられる「葵祭」は御所を出発し、下鴨神社を経て上賀茂神社まで行列が歩く風景だろう。

 

 

 

これは正式には「路頭の儀」と言われて、賀茂社の祭りの重要な〝神事〟の部分ではなく、賀茂社の祭りに際して、天皇が供物を捧げる「勅使」を派遣する行列を見物している。

 

ではお腰輿(およよ)に乗って、この行列のヒロインを務める「斎王代」は何なのか、ということになる。はい、最近に出来た〝後付け〟みたいなものですね。

 

そもそも「斎王」は、伊勢神宮と賀茂社にのみ存在し、皇族の未婚の女性(内親王・女王)が巫女として神にお仕えした。伊勢神宮では斎宮、賀茂社では斎院とも言われる。

 

それで、葵祭の場合は「斎王」の代理だから「斎王代」ということになる。葵祭の場合は、昭和311956)年に斎王代を中心とした「女人列」が創設された。

 

だから「斎王代」という祭りのヒロイン役は、せいぜい60年余りの歴史しか持っていない。あくまで、葵祭というお祭りをショーアップするための存在、と言っても良いだろう。

 

 

 

こうして種明かしをすれば身も蓋もない話だが、そもそも斎王代を務めるには、一説によれば数千万円ほども経費の持ち出しがあると言われている。

 

だから、立候補や推薦で公募に応じて審査を受けて斎王代、とはならない。母親が斎王代を務め、何十年かして今度は娘が斎王代に、とか、姉に続いて妹が務めることもある。

 

何とも締まらない話かもしれないが、庶民が〝はい、そうですか〟と務めるというわけにはいかない。実業家や資産家の令嬢が、毎年、斎王代を務めている。

 

現に、私の息子の同級生のお姉さん2人が、斎王代を務められたが、このお家は古くから京都市内で病院を経営されており、お爺さまは名医として有名な方だった。

 

ということでもない限り・・・、なのだ。だって本来ならば皇族の内親王や女王の代理として、天皇の名代の勅使が行く行列に、ヒロインとして参加するのだから。

 

シャレでも〝それなりの家柄〟の方でないと、見物する方も有難味が湧いてこないだろうから。というのは冗談だが、このシステムでは、この先も引き受け手があるのかどうか。

 

 

 

という、「路頭の儀」すなわち葵祭のパレード部分は中止になったけれど、上賀茂神社と下鴨神社の神事としてのお祭りは、今日だけのことではなく、すでに始まっていた。

 

新たに生まれる神様をお迎えする、上賀茂神社の秘儀「御阿礼(みあれ)」神事や、下鴨神社の境外摂社である御蔭神社から、こちらも新たに生まれた神様をお迎えする「御蔭祭」などは、すでに行われた。

 

そして祭り当日の今日も、午前中に下鴨神社、午後には上賀茂神社で、それぞれ「社頭の儀」と言われる神事は行われている。

 

神事は、勅使が両神社に供物を捧げて行く〝パレード〟とは別の話なのだ。神職の方々や氏子の役員の方など、まさに関係者が集まって神事を相務めるのだから。

 

ということで葵祭は、コロナ禍のために2年続けて祭礼のパレードが中止となった。この先、7月の祇園祭も神事は行われるけれど、山鉾巡行という祭りのハイライトは中止が決まっている。

 

 

 

祇園祭の山鉾巡行が2年続けて中止となるのは、第二次世界大戦の時期以来のこととなる。だからまあ、東京オリンピックなどは、もうさっさと中止で良いんじゃないかと思う。

 

どうしても開催したいというのなら、神事だけ行う葵祭や祇園祭にならって、聖火リレーを無理に実施したから、新国立競技場で聖火の点火式だけ無観客で行えばいかがだろうか。

 

これでオリンピックは無事開催できた、と言えばどうだろう。最終ランナーは、当然、前回の東京オリンピックにちなんで命名された「橋本聖子」組織委員会会長にお願いして。