「ウエルネスツーリズム」と「半径3kmの旅」と | がいちのぶろぐ

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先週の金曜日(416日)のブログで、「ウエルネスツーリズムの考え方」と題して、新しい試みである「ウエルネスツーリズム」について、若干の感想めいたものを書いた。

 

 

 

これは京都市の北部、宝ヶ池地区にある「ザ・プリンス京都宝ヶ池」というホテルが、「日本ウエルネスウォーキング協会」の監修の下で実施しているイベントの話だ。

 

 

また翌日の土曜日には、この「日本ウェルネスウォーキング協会」という団体が実施している〝健康増進〟の取り組みなども、ホームページ情報などに基いて書いておいた。

 

そこで金曜日のブログの最後で、1年間にわたって私が関わってきた同志社大学院の「ソーシャルイノベーション研究プロジェクト」における、「半径3kmの旅」というチームの活動と絡めて、以下のように述べた。

 

 

 

「 」内に示している部分は、長くなって恐縮だけれど、金曜日に書いたブログの最終部分に少し手を加えて引用した。

 

「実際的な問題として考えれば、(ウエルネスツーリズムは)ホテルなどが〝売り物としての近場散歩〟などを組織的に実施する、と考えれば良いだろう」

 

「ホテルに滞在していれば、こうしたガイド付きの散歩に安価や無料で参加できるなら、ホテルの客にとっても適当な〝オプショナルツアー〟ということもできる。そう考えれば、これはホテルにとっても考えられる選択肢の一つになるだろう」

 

「もっと言えば、このウォーキングプログラムのガイドとして、〝それなりの方〟を手配できるなら、『ブラタモリ』風の『知識伝授型町歩き』という楽しみ方も可能になる」

 

「これをもっと進めて行けば、『半径3kmの旅』の一種として、ホテル滞在客が自力で『余白』を埋めながら楽しむという、〝参加型〟ツアーを構成することも無理ではない」

 

ということで、ブログを書いた金曜日の時点では、「半径3kmの旅」という、私もこの1年間関わってきた〝新たなツーリズムに向けた試案〟との関係を、ほんの少し示唆する段階で止まっていた。

 

しかしこのテーマは、もっと考えなければいけない問題を含んでいる、と思うようになった。そこで、「ウエルネスツーリズム」をどのように位置づければ良いかを、あらためて考えてみた。

 

その結果、次の図の右下部分に配置したように、「ウエルネスツーリズム」が対象とする顧客層は「中高年齢層」を想定できるのではないかと考えた。

 

 

 

 

また方向性としては、金曜日に書いたような「ブラタモリ風の知識伝授型町歩き」というよりも、参加者にとっては〝汗を流す〟という点に積極的な意味があると考えた。

 

日本ウエルネスウォーキング協会という団体が、〝ウォーキングを通して健康を考える〟というテーマの下に行っているツーリズムである以上、「知識伝授」よりもウォーキングそのものに意味がある、ということだ。

 

だから、「ブラタモリ」型の町歩きとは〝一線を画している〟と考えた方が良さそうだ。

 

そうだとすれば、このイベントはゲーム的な要素を持った「フォトロゲーニング」や、よく行われている「スタンプラリー」など、〝自分から動く〟イベントの仲間と考えられる。

 

「フォトロゲーニング」とは、渡された地図に示されている〝被写体〟を探しながら町歩きを行い、その被写体を撮影して回るという、ゲーム的要素を持った町歩きである。

 

ところで、私たちが考えてきた「半径3kmの旅」は、現状ではコンセプト自体をなお完全にはまとめ切れていない、という段階に過ぎないことは認めざるを得ない。

 

 

 

しかし対象とする顧客層は、従来行われてきた「ブラタモリ」型の〝町歩き〟で想定してきた中高年といった客層より、もっと若い人たちを想定していることは間違いないと思う。

 

さらにそうした若い人たちが、町歩きそのものを自分の「感性と期待感」に従って〝自分流〟に作り上げる、という考え方を重視しているだろうと思っている。

 

そこで図の左上部分に示したグループは、まず「ウォーキンアバウト」という、その日の対象とする地域の白地図を渡されて、自分がその中で〝何を発見できるか〟を楽しむ、という町歩きのスタイルがある。

 

また「おさんぽ撮影会」であれば、プロのカメラマンがその場所の画作りについてプロとしての考え方を話したり、撮影技術などのお手伝いをしたりしながら町歩きを楽しむ。

 

このように、参加者自身が自分なりに作り上げることができる〝余白〟をなるべく多くして、何よりも〝余白を発見する自分〟を楽しむという〝参加〟型の町歩きスタイルである。

 

だから私としては、「半径3kmの旅」のコンセプトは、次の図に示すような「『余白と発見』が新たな旅の価値を産む」という考え方に集約されて行くべきだ、と考えている。

 

 

 

そのためにも「地域の人たち」と「旅の参加者=顧客」をつなぐ存在として、地域情報を提供できる「媒介者」も含めた、三者の関係性の中で作り上げられるものだと思っている。

 

この点を、さらに詰めて考えることで、「半径3kmの旅」のコンセプトが固まって来ると思えてきた。

 

今回初めて知った「ウエルネスツーリズム」という、少し〝斜め上〟的な位置からの考え方を提示してもらえたお蔭で、また「半径3kmの旅」が深められるように思えてきた。